概要
表記ゆれでディルドーとも。日本語では張り型(はりかた、はりがた)、形状が似ていることからコケシと呼ぶこともある。
電動モーターを内蔵し、振動するものは、バイブレーター(バイブ)や電動コケシと呼ぶ。
主に勃起した陰茎(男性器)を模して作られており、タイプによっては陰嚢を模したパーツが着いているもの、吸盤で床に固定できるタイプのもの、ベルトで腰に固定できるもの(ペニスバンド)、リアルな形を再現したものに対し、デフォルメされたデザインのものなど、多彩な形状がある。
性行為中のセックスパートナーへの刺激、オナニーなどに用いる。
主に膣へ挿入して使うが、肛門用のやや細いタイプ(アナルディルド)もあり、後者は歴史的背景からヨーロッパやアメリカで強い人気がある。口に入れる疑似オーラルセックスにも使うことがある。両端に亀頭がある双頭ディルドは主に女性同士の合体に使われる。
日本では、バイブと呼ばれることの方が多いが、振動機能が付いていないものは本来バイブとは呼ばない。中国では「角先生」と書くらしい。
南方熊楠によるとお釈迦様の御世にトゥッラナンダー(Thullananda)という尼僧が勝曼妃(シュリーマーラー)から「旦那のいない間使ってるやつ」を聞き出し、メーカーへ問い合わせて、「樹膠(ゴム)製のソレ」を入手し、情欲の発作に喘いでいたところを釈迦に見つかってえらい怒られたそうである。また『十誦律』で、比丘尼がそれを作って、自分の中に突っ込むと波夜提(はやだい 罪の名前) 他人の中に入れると突吉羅(罪の名前) とある。
石製、木製、陶器製、金属製、ガラス製、鼈甲など動物の骨を加工したものが古くから作られていた。
1940年代後半からプラスチック製のものがアメリカで開発された。安価に量産できるものの、発癌性や毒性の問題が挙げられている。フタル酸エステルで作られたものは、軟化剤などが使用され、健康上の問題があると指摘されている。またプラスチック製のものは、細かな傷ができ、雑菌が繁殖してもお湯で滅菌することが難しいという点も無視できない。
できれば膣や肛門、口などを傷つける可能性があるため、コンドームをかぶせることが望ましい。
ガラス製のものは、パイレックスやホウケイ酸ガラスなどで作られている。お湯で滅菌もでき、傷も着き難く、安価で手に入り易い。また透明な素材を生かしたデザインで作られており、人気がある。さらにプラスチック製に比べ、硬い素材であるため強い刺激を与えるという特徴がある。
金属製のものは、ガラス製に近い性質を持ち、そこに加えて電流を流すなどSMプレイで使用されることがある。また温めることができる。
ガラス製、金属製、共に潤滑油を使った時、すべすべした独特の感触がある。
他にキュウリ、ニンジン、ズッキーニ、バナナ、ソーセージなど食べ物を代用品として使用することもある。
ほとんどのディルドは、人間の男性器を模しているが、中には動物の生殖器をモデルとしているタイプのものもある。また手、キャラクターを元にデザインされたものもある。
語源
今をもってディルドの語源は、謎である。
ニューファンドランドのディルド町、カナダのディルド島など地名に見られる。
16世紀に活躍した作家、トーマス・ナッシュは、ロンドンの猥雑な事情をまとめ、その中にディルドの語が出てくる。