デイノテリウム
でいのてりうむ
新生代第三紀中新世前期(約2300万年前)から更新世前期(約100万年前)の長期間に渡り、アフリカとユーラシアに広く分布した長鼻目の哺乳類。学名は「恐ろしい獣」を意味し、古い図鑑ではダイノテリウムとも呼ばれている(表記揺れであり意味するものは同じ)。原始的なゾウから独自の進化の道を辿った古代ゾウで現生のゾウとは遠縁。
長い期間栄えたが、ユーラシアにいたものは中新世の間に絶滅し、鮮新世からはアフリカにのみ生息していた。
初期の種は2m程度と小ぶりだったが、最大種であるギガンテウム種は体高約4m・体長約5mに達し、これは現在の象より一回り程ビッグ。パラケラテリウムやトロゴンテリーゾウ(ステップマンモス)等と並び史上最大の陸生哺乳類の一つとされている。
最大の特徴は下顎から顎髭のように下向き(やや内側)に向かって伸びた牙であり、他のゾウと異なり上顎には牙はなかった。この牙は象牙質より頑丈な材質でできている上に摩耗痕も確認されていることから、単なる飾りではなかったようだが、現在のところ正式な用途は判明してない。
かつては半水棲と考えられていた事から、川岸に引っ掛けて休憩するのに使用したとする説や、地下茎を掘り起こして食べるのに使用したなどとする説があったが、デイノテリウムは現生のゾウと同様に陸生であり、かつ、背が高すぎて非効率だとして否定されている。現在のところは、樹皮を引き剥がして食べたり、ミネラル補給のために岩塩を掘り起こすのに使われたとする説が一般的となっている。
ちなみに歯の作りから草よりも木の葉を食すスタイルだったらしい。
なお100万年前は既に原人(ホモ・エレクトゥス等)が誕生しており、アフリカなどでは彼らと共存しており、化石には石器で傷つけられた痕跡も確認されているが、体格差があまりにもあり過ぎることや当時の人類の進化レベルを考慮すると、単に死骸を漁った時についたものであると見なされている。
長期間にわたって生存していたが、100万年程前を最後に姿を消した。原因は寒冷化する地球の環境に適応できなかった、新しいタイプの象との競合、などが考えられる。