データ
役職 | エルフ王 |
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住居 | エルフ国王城 |
職業レベル | ドルイド?lv、ハイドルイド?lv、サモナー?lv、エレメンタリスト(アース)?lv |
誕生日 | ラビット・14日 |
趣味 | エルフたちを鍛えること |
二つ名 | エルフ王 |
概要
エイヴァーシャー大森林内に存在する、森妖精(エルフ)の王国を統治する王。
存在が明かされたのは書籍版11巻からで、本名は長らく不明だったが15巻にて明かされた。
人物像
かつて自分の父が、「エルフはどんな生物よりも強くなれる素晴らしい種族」と証明してくれた経験から、エルフの誰もが「素晴らしい強者」になる可能性があると信じている。
そうした経緯から、『自分の子供で構成された最強の軍団を作る』という野望に取り憑かれており、自国の女エルフを片っ端から孕ませている。しかも己の野望のためなら、近親相姦も強姦も辞さない。
更に国王であるにも拘わらず、自国や民達に対して関心が薄い。そればかりか弱い国民を救う事にも興味は無く、名前すら覚えていない。
加えて他者の心情を慮る事も理解する事も出来ず、作中では弱者が己の子供を喪った悲しみや妻を王である自身の元に捧げねばならない憤りを、「強い子供を産めなかった身を恥じている」・「強者である自分に妻を献上できて喜んでいる」などと、実に自分に都合良く捻じ曲げて解釈している。
極めつけは、当の本人は自分の事を慈悲深い性格だと思っている。
とにかく強い子供を作る事に執着しており、いつの日か自分の子供達の軍隊での世界征服を夢見ている。
なお、強い子を産めない女エルフや最強には程遠い己の子供達に対しては、「ゴミ」・「弱者」・「失敗作」と見下している。
国民(女エルフ)相手では良い結果が一向に出ないため、そろそろ他の人間種族に手を付け始めようかと考えている。
以上の事から、自らの強大な力に溺れる事なく常に慎重に動くアインズやツアーとは対極の位置に存在するとも言える。
また、他者を「ゴミ」だと見下すのはナザリックのNPC達に通じるものがあるが、彼等が主人のアインズに対する絶対的な忠誠心や身内への仲間愛を持っているのに対し、デケムの方には愛国心も家族愛も同族愛すらも無くただ自己愛が存在するのみだという決定的な違いがある。
更に生まれた時から血統・権力・力が保証され、望めば何でも手に入れられた環境のせいで井の中の蛙の如く自分が世界最強だと思い込み、欲望のままに行動するその姿は前述の野望も合わせると、何でも力で解決出来ると信じて疑わない考えなしの幼稚な人物である。
これまで作中で登場した王やそれに近い立場の者の中でも、最低最悪の暴君と言っても過言では無い。
作者は15巻&16巻雑感にて、彼を「薄い敵役」と称している。
容姿
15巻では顔の部分がぼかされた状態で描かれていたが、16巻の挿し絵やキャラクター紹介でビジュアルがはっきりと明かされた。
白い鎧に緑色のマントを纏い王冠を着けた、外見年齢20代位の細身の男。髪型は白髪のロングヘア。オッドアイを持つが、色は不明。
強さ
火滅聖典の副リーダー・シュエンからは「逸脱者すらも超えた存在」と評され、後に現れたアインズ一行からは推定70~80レベル未満、HPは最低70レベル、MPはシャルティアに近いと分析及び推測された。
また過去には、『古老(エインシャント)』の種族クラスを習得しているドラゴンすら討伐した事がある。
使える数こそ少ないが、第十位階魔法を行使出来る。職業(クラス)は『ドルイド』以外にも『エレメンタリスト(アース)』を習得しているが、ナーベラルやイビルアイなど、これまでこの職業を持つ者達は純粋な魔力系魔法詠唱者(マジック・キャスター)のみだった事を考えると、非効率的なビルドとも言える。
他には人間程度なら軽く粉砕出来る身体能力と、魔法やスキルに頼らずに《不可視化(インヴィジビリティ)》や《静寂(サイレンス)》などの隠密系の魔法を看破出来る、すば抜けた知覚力を持つ(ただし竜王(ドラゴンロード)の知覚能力には劣り、アウラの様な探知に特化した職業を習得してはいないため、アインズの使う高位の不可視化を見破る事は出来なかった)。
また、土の精霊“ベヒーモス”(詳細は後述)を使役する事ができ、作中ではシュエンを容易く殺害している。
弱点は戦闘の大部分をベヒーモスに依存しているため、そのベヒーモスが倒される、または後述する代償でMPが尽きるかすれば無力化されてしまう事や、外伝で登場したキュアイーリムや自身の娘のアンティリーネの様な最上級の強者に見られる経験不足により、戦闘センスそのものは非常に低い事などが挙げられる。
主な使用魔法
- 精霊の相(アスペクト・オブ・エレメンタル)
第八位階。毒や病気などの様々なバッドステータスを無効化する。また、クリティカルヒットやそれに付随する効果も無効化する。
- 緑の鎖(グリーンチェイン)
詳細及び、魔法とスキルのどちらなのかは不明。作中ではアウラとマーレに向けて使用した。
- 陽光爆裂(シャイニング・バースト)
第七位階。太陽の様な輝きと灼熱が炸裂し、白い光が半球状に顕現する。相手のカルマ値が低ければ低い程ダメージを与えられるが、高いと大したダメージは無い。
- 暴風雨(テンペスト)
第九位階。荒れ狂う暴風と吹き付ける豪雨を生じさせる。
- 振動感知(トレマーセンス)
第四位階。床などから伝わる微細な振動を検知する魔法。床よりも地面のほうが効果を発揮出来る。
- 沙羅双樹の慈悲(マーシー・オブ・シヨレア・ロブスタ)
第十位階。その中でも消費魔力はトップクラスで、《現断(リアリティ・スラッシュ)》に匹敵する。主な効果は以下の通り。
- かなり微量であるが、徐々に体力が回復する
- 即死に対する完全耐性
- HPが0になり死亡した際の復活(これによる復活はレベルダウンを起こさない。しかし、ダメージによらない場合(溺死など)で死亡した場合は対象外)
この魔法は蘇生魔法にも属しているので、アインズの切り札である《The goal of all life is death(あらゆる生ある者の目指すところは死である)》による死亡を回避する事が出来る。更に効果時間が残っていても、蘇生が発動した瞬間この魔法は消える。
なお《ユグドラシル》ではこれらの効果を得るために、『ドルイド』の職業を持つ者の多くはこの魔法を習得していたとの事。
ベヒーモス
87レベルの根源の土精霊(プライマル・アース・エレメンタル)。召喚される際には周囲の土砂を肉体へと変え、岩や鉱石などを積み上げた様な巨体と、厚くて長い腕と短い足を持つ外見になる。
召喚主のデケムよりもレベルが高いが、デケムの職業(恐らく『サモナー』)により使役を可能としている。しかしその代償により、召喚している間はMPが消費され続けていく。
装備
- 移動阻害耐性アイテム(仮称)
拘束及び移動阻害に対する耐性を付与する。
- 恐怖に対する耐性を付与するアイテム(仮称)
恐怖に対する耐性を付与する。
- 時間対策アイテム(仮称)
作中で所有しているとの明確な記述は無いが、一般的に時間対策はマジックアイテム以外では難しいため、アインズはアイテムで対策していると推測している。
作中の動向
スレイン法国の当時の切り札とされていた女性・ファーインを騙して強姦するが、出産前に漆黒聖典に奪われてしまった(かつては協力関係にあった法国と現在戦争状態に陥っているのは、恐らくこの事が原因。そしてその生まれてきた子供が、漆黒聖典の“絶死絶命”ことアンティリーネである)。
長きに亘る法国との戦争を「女エルフを強くするチャンス」と捉えており、窮地に陥らせる事で潜在的な力の解放を目論んだが、上手くいっていない。
そんな中、アウラとマーレに同族の友達を作ってやろうと自らも幻術でダークエルフに化けた上で3人でダークエルフの村を訪れていたアインズの耳に、スレイン法国が王都まで侵攻して来たという知らせが入る。
アインズとしては、当初はアウラとマーレのダークエルフの子供達との交流に支障が無ければ、別に構わないという考えだった。しかし王国が陥落する直前だという情報が新たに届くと、このまま王国を陥落させたスレイン法国の手に国の秘宝のマジックアイテムが渡ってしまう事を懸念し、そうなる前に王城に侵入しアイテムを全て盗んでしまおうと考える。
そうしてデケムは、城内に侵入した彼等と遭遇した。
当初はアウラとマーレが王族の証であるオッドアイを持っていた事で、自分の孫だと思い込み(ダークエルフと子を成した事は無かったため)2人にも子作りを迫るが、激怒したアインズから殴られたため戦闘に突入。
再びベヒーモスを召喚するも、対するアインズはデケムのMPが尽きるまでの持久戦を挑んだため、目論み通りデケムのMPは尽きベヒーモスは破壊された。
なおアインズは自分がデケムより弱いと勘違いさせるため、防戦一方の振りをしながら気弱で臆病な演技をしつつ油断を誘い、即死魔法を放つ様に見せかけて《一方的な決闘(ロプサイデッド・デュエル)》の魔法で転移への対策を行い、観戦しているアウラとマーレにも《伝言(メッセージ)》で予め指示を送っておくなどしていたため、まさに終始アインズの掌の上であった。
更にアインズの《現断》で致命傷を負わされ、初めての絶対的な恐怖と絶望に襲われながらも、アインズの後方にある階段を使い逃走した(なおそこにも当然アインズの魔法が仕掛けられていたが、死にたくない一心で逃げ切った)。
すぐさまエイヴァーシャー大森林を去る準備をするべく自室へと向かうが、今度はデケムの子供達を全て殺害した上で待ち構えていたアンティリーネに遭遇。MPが枯渇した状態では何も出来ず、そのままデケム自身も呆気なく殺害された。
かくしてデケムは命のみならず、自身の子供達・父が遺した国宝のマジックアイテム・己が支配してきた国といった全てを一度に失うという、他者から奪う事しかしてこなかった利己的な暴君に相応しい最期を迎えた。
ちなみに彼の遺体は、アインズがパンドラズ・アクターに回収するよう命じている。
父親について
傲慢なデケムすらも敬愛する強さの持ち主だったが、ハイエルフでもエルフロードでもない、ただのエルフだったとの事。その正体は、八欲王の1人だった事が16巻で判明した(この事から、デケムが父親から受け継いだというルーギに貸し与えた弓と矢筒は、《ユグドラシル》産のアイテムで間違ないと思われる)。ちなみに、職業は軽戦士だったらしい。
つまりアンティリーネは、六大神と八欲王の血を引いている事になる。
皮肉にも欲に溺れて我が身を滅ぼした父親と同様に、その息子もまた己の圧倒的な力と権力を誇示して暴れた末に、度が過ぎた貪欲さによって自らを滅ぼす事となった。
なおWEB版にて明かされた、十三英雄のメンバーの1人である“祖たるエルフの特徴を持った者”は、エルフ王家の者だという記述があるが、デケムの父親との関連性は不明。
余談
『真なる竜王』達が、デケムが不倶戴天の敵である八欲王の息子であるにも拘わらず放置していたのは、彼の活動範囲が飽くまでエイヴァーシャー大森林内に留められていたためだと推測される(もっともデケムが満足するだけの強さを持つ子供達が生まれ、いよいよ世界征服に乗り出したら、その時こそ動いただろうが)。