デューン(プリキュア)
ぷりきゅあのでゅーん
CV:緑川光
ハートキャッチプリキュアにおける敵組織砂漠の使徒の首領。
劇場版まで含めた今までのプリキュアシリーズのラスボス達の中でも、容姿はさわやかな好青年、むしろ少年とも取れるような風貌であり、一風浮いた存在でもある。
しかし、その目は大抵死んでいるため、どこか不気味でもある。
当初は宇宙空間で惑星城なる移動要塞に居を構えており、サバーク博士に指示を出したりからかったり、デザートデビルを放ったりしながらゆっくりと地球に近づいてきていた。
かってキュアフラワーと戦って力を封印され、以降はキュアフラワーにご執心の模様。
肩に怪生物を乗っけている。
一見すると穏やかな人当たりであるが、その心の中はあらゆる万物に対する『憎しみ』の思いに囚われている。その憎しみこそがデューンの絶大な戦闘力の源になっている。
44話でついに地球に到来。つぼみ達に急接近し、プリキュア4人をあっという間に倒した後、キュアフラワー=花咲薫子を惑星城に連れ帰り、彼女のペンダントに封じられた自身の力を奪還。
青年の姿に成長後、こころの大樹を枯らして地球に大量のデザートデビルを降下。
大樹が枯れたことで地球の人々は結晶化し、大地は完全に砂漠化し勝利を宣言する…
しかし、プリキュアに浄化されこころの花が強くなっていた人達(=今までの放映話でデザトリアンにされた経験がある人達)は健在で、彼らのこころの花のおかげで大樹も完全には枯れていなかった。
デューンは彼らのこころの花と大樹を完全に枯らすため、人類の希望であるプリキュアを倒すことを宣言。薫子を人質として惑星城にプリキュアをおびき寄せ、最終決戦を行った。
当初はプリキュア4人を変身解除にまで追い込むほどの実力を見せ付けたが、『憎しみ』ではなく『愛』で戦うプリキュア達の前に徐々に追い詰められてしまう。一時はスーパーシルエットの必殺技であるプリキュア・ハートキャッチ・オーケストラに浄化されるも自力で脱出。自身の憎しみを爆発させて地球並みの大きさをした巨人へと変貌する。
最期は4人のプリキュアとパートナーの妖精達が合体変身した無限シルエットのプリキュア・拳パンチに胸に受け、浄化されながら消滅し、最期を迎えた。
なお2016年3月公開のオールスターズ映画『プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!』において歴代のラスボスと共に登場しているが、こちらは魔女ソルシエールがプリキュアの記憶を元に再現した複製体で本物ではない。
テレビシリーズ本編ではデューンの出自や背景が一切語られないまま最終回を迎えたので、彼がなぜ地球を砂漠化させようとしていたのか、そして彼が『憎しみ』に囚われるようになったのは何故なのかなどが全くの謎のままである。
そもそも『ハートキャッチプリキュア!』のストーリー上での実質的なボスキャラはサバーク博士なこともあって、デューンの人となりは作中ではあまり掘り下げられなかった。
これについてはファンの中でもずっとモヤモヤしたものとして残されていた。
2015年に刊行された『小説ハートキャッチプリキュア!』にて詳細を描いている。
それによると、デューンは銀河系の遥か彼方からやってきた宇宙人である。
デューンの種族は母星の資源を吸い付くしたことで流浪の民となり、他の星を侵略し資源を吸い付くしてはまた旅に出ることを繰り返している。彼らによって資源が吸い付くされた星々は砂漠と化すため、「砂漠の使徒」と呼ばれるようになった。
この小説版の冒頭では「砂漠の使徒にとっては、砂漠の環境こそが自らの生存に適している」という記述があるのだが、これについては厳密には「デューンとその手下達にとっては」という意味合いであって、元々の砂漠の使徒はそうではなかった可能性が高い。詳細は後述。
デューンはこの民達を率いる王族の一員であったのだが、実は義母は彼を密かに疎んでおり、自分の子である義弟を王にしようと企んでいた。そのため幼少期の頃、王位を継ぐ身であるデューンを殺害するよう、義母は先代の王であった父を唆す。所謂お家騒動が起こってしまい、その末にデューンの乳母が殺害されてしまった。デューンは必死に逃げ回った末に「邪神教」の教会に辿り着き、そこで復讐のために父を殺す力を求めたデューンは「デビル」という悪魔に自身の魂を引き換えに強大な力を得る。そしてその力で父と元凶である義母、更には義弟を切り刻んで殺害した。これが原因で憎しみの感情が止まらなくなり、父が欲していた地球を砂漠化して穢すことで父を貶めようと、地球にひたすら固執するようになった。
なお明言はされていないが、砂漠の使徒にデューン以外の宇宙人がいないことから、故郷の民は既に滅んだ(デューンが滅ぼした?)可能性が高い。父が欲する物を穢すことに固執する彼が王座に就いたら、その父に導かれていた民達を愛することはなかっただろう。
たった1人になった寂しい王様は地球人達をたぶらかして手駒にし、砂の人形兵を作り出して何百年も地球侵略を繰り返してきたことになる。
つまり元々は「地球の資源を奪って砂漠化するまで吸い尽くす」というわかりやすい理由で地球が狙われていたのだが、デューンが王になってからは地球を砂漠化して滅ぼすことで、奪うべき資源をなくしてしまうことが目的となったのである。
そしてデューンがそのような屈折した行為に拘るのは、そうすることで民の繁栄のために略奪を行ってきた父の名誉を踏みじれると考えたから。つまりは死者への嫌がらせを延々続けているのだ。
ただ上述したように、「現在の」砂漠の使徒のメンバー、つまりは悪魔に魂を売って人間ではなくなったデューンと、彼によって変異させられた地球人幹部にとっては、砂漠の環境こそが自らの生存に適している。なのでデューンが地球を砂漠化しようとする理由は砂漠化した地球を支配するという実利も伴ってはいる。
(このことから、デューンの父の時代の砂漠の使徒は砂漠の環境に適応していなかったと考えるのが自然。そうでないと地球の砂漠化が父を貶すことに繋がらないし、星が砂漠化したら星を捨てて流浪の旅を続けた意味もわからない)
ただし、これらの設定がアニメ放映当時に存在していたかどうかは明言されていないことは注意しておくこと。父親との確執などはアニメ本編ではそれを匂わす描写も一切なかったので、小説のために新たに作られた設定の可能性もあることは留意すべきである。
なお、上北ふたごによる漫画版でもデューンの出自や目的が補足されているのだが、それは小説版とは若干異なっている。
漫画版での砂漠の使徒ははるか昔に母星を失った彷徨える民で、第二の故郷を求めて地球を狙っている。この辺りは小説版とほぼ共通しているが、デューンが憎悪に囚われた理由は異なっており、プリキュアを生み出して自身を排除しようとする地球に憎しみを抱くようになったとされている。
声はプリキュアシリーズ初出演の緑川光が担当。
緑川はニチアサ枠では『ねぎぼうずのあさたろう』に続く出演である。
プリキュアの黒幕兼ラスボス声優としては出演時点の年齢が42歳と比較的若く、月影ゆり/キュアムーンライト役の久川綾女史とは同い年。
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