概要
1922年または1924年に南アフリカのマーゲート海岸で目撃されたUMA。
目撃者によると、海上で2頭のシャチが見たこともない生き物と争っている様子が見え、その日の夜に力尽きたその生き物の死体が砂浜に打ち上げられた。
その生き物の死体は全長は14mもあり、全体の印象はホッキョクグマのような哺乳類のようであった。
しかし、全身が20㎝ほどの白い毛のような組織に覆われており、頭部にあたる部分が無い代わりにゾウのような長い鼻があるという異形でもあった。
そのため象の鼻を意味する英語トランク(trunk)から、トランコ(trunko)と呼ばれるようになったのだという。
その生き物の死体は腐敗しており、正式な調査が行われる前に波にさらわれて行方不明となった。
正体は、クジラなどの死骸が腐敗して、筋繊維がほぐれて白い体毛状にささくれだったものであることが判明している。
未確認生物に関心を持っていることで知られる古生物学者のダレン・ナイシュはぼろぼろになった大量のコラーゲンと、見えづらいながら確かに存在する内骨格、そしてその巨大な体格からこれがクジラの死骸であることを見抜いた。
シャチとの交戦時にはすでに同様の容姿が報告されていること、漂着時点ですでに相当に腐っていたことから、すでに最初の目撃の時には腐敗してこの状態になっており、2体のシャチがこれを放り投げて遊んでいたのだろうと言われている(シャチは餌のアザラシなど、他の生物を使って遊ぶ性質がある)。
シャチが死体で遊んでいた説をさらに否定する声もあるものの、生物としてのトランコの妥当性はさまざまな観点から否定されている。
完全水棲ならば毛は失われるはずだが、トランコには20センチの毛がある。また、このことから本来は陸棲なのではないかとする意見があるが、あの体格の生物が陸上に出ると自重で潰れてしまう。
さらに、シャチとの交戦で死亡したなら、正体がどうあれ血まみれであるはずだが、血がなく真っ白な状態で漂着した点もトランコが独自の生物だとする見解と矛盾する。
山口敏太郎は、インドを中心に信仰されるヒンドゥー教のヴァーハナのマカラと同様のものであるといわれ、この幻獣自体もUMAとしてインド沖で目撃されているとしているが、少なくとも幻獣ではなくUMAとして「マカラ」という名が使われている事例はない。