概要
「トロピカ卒業フェスティバル(トロフェス)」にてトロピカる部が演劇で演じる物語のタイトル。
脚本を執筆するのはみのり。
元々は、ローラが「演劇をするなら自分が主役!」と言って聞かなかったので、ローラが主役なら人魚が主役の物語がいいだろうと、かつてみのりが執筆した小説『マーメイド物語』を底本にした演劇する予定だった。
しかし第40話でみのりが自分が創作家として足りなかったものを自覚したため、自分達がローラと出会ってから経験してきたトロピカる気持ちを取り込んだ新たな物語を作ることになった。
第41話では、その新しい物語をどういうお話にするかの会議が開かれたという体裁で、今までに経験したことを振り返る総集編が放映されている。その41話で演劇のタイトルが『トロピカる物語』になること、舞台は中世ヨーロッパの海辺の小さな町であること、そして各人の役柄はリアルな自分達をモデルにしたものでやるということになった。
最終的に決まった役柄は以下の通り。
- ローラ……どこか遠くの国のプリンセス「ロザリア」。女王になる修行のために素性を隠してこの街にやってきたという設定。
- まなつ……街で一番トロピカってる女の子「ナッチー」。まなつの脳内設定では、トロピカるをひろめるために世界中を旅しているということらしいのだが、みのりから「それを生かす尺はない」と却下された。ただし、舞台上では水兵服を着ていたので旅をしているという設定を一応拾われてるのかもしれない。
- あすか……まなつが「やっぱりあすかさんは番長役で!」と強く押したが、中世ヨーロッパに番長はいないのではという真っ当なツッコミから、城を守る衛兵か騎士というポジションになった。
- みのり……港の倉庫に事務所を構える名探偵…というのは仮の姿で実は封印されたパパイアの秘宝の記憶を失ったドラゴンの末裔。という設定にしようとしたらあすかから「設定盛りすぎだろ」と怒られたので、実際の舞台では作家という形になっていた。
- さんご……中世にメイクショップはないだろうということで、街のお花屋さんの女の子に。実際の舞台ではさんごの原点である「紫のチューリップ」のエピソードをもとにした場面も取り入れられていた。
この演劇が上演されたトロフェスは、最終決戦が終わって平和になった後に行われている。
作中では最終話がトロフェス回となった。
この最終話では断片的ではあるが舞台の模様が劇中劇として描写されており、そこから推測できる筋書きは以下の通り。
「遠い国の姫であるロザリア。彼女の国は実力主義であり、姫といえども女王になるためにはなんらかの偉大なクエストを達成しなくてはならない。
そこで、ロザリアは『伝説の灯台』を探索するために旅に出ることにした。
とある港町に着いた姫は、素性を隠して街の住人たちと接触し灯台の情報を集めていく。
最初は街の人たちを利用しようとだけ考えていた姫だが、さまざまな出会いを経験したことで、次第にこの街に愛着を持つようになっていく。
そしてこの街で出来た友人たちの力と共に遂に灯台を見つける。しかし姫はそれ以上に大切なものをすでに見つけていた……」
最終的なオチについては、みのりが脚本を書き上げた当初は「この街で培った友との絆こそが本当に大切なものだと知った姫は、灯台のことを故郷には伝えず、そのままみんなと一緒にこの地で暮らすことにした」というものにするつもりだった。
しかし、奇しくもトロフェス開催の直前に、ローラにグランオーシャンからの帰還要請が下されていた。
帰還すればこれまでの功績からローラは女王にしてもらえるという。しかし、もしもローラが地上に未練があるならそのまま地上に残ってもいいという。ただし、その選択をした場合はグランオーシャンの地を再び踏むことはできなくなるという条件付きであった。
劇の内容とリンクするかのようなこの状況に、ローラは悩み、結論を出す。
そして、『トロピカル物語』が自分達の経験をもとにしたものを入れるというコンセプトである以上は、自身の決断を劇にも盛り込まなくてはいけないとして、上演当日にクライマックスの流れを再調整。
演劇は、ロザリア姫が夢を叶えるために友達と別れ、故郷へ帰るということで結末を迎える。
そして、遠く離れていてもずっと友達だという誓いを表すために、『なかよしのうた』を5人で合唱し、観客の拍手のもとに劇はカーテンコールを迎える。
…のだが、この時にローラは「聞いて、話があるの!」と叫んで観客席たちの注目を集めさせたかと思うと、なんと人魚の姿に変身して、自分は人魚の国からきた女王候補生という素性をバラしてしまう。
もうローラにとってはトロピカる部の仲間たちだけでなく、この学校でこの街で出会ったみんなとも仲間だったのだ。だから、別れる最後に自分のことを示したのである。
このことに観客席はパニック…になどならず、夢とロマンは本当にあったんだとみんなで大フィーバー。一年間のまなつの布教(?)の成果で、学校のみんなにもトロピカる精神がちゃんと根付いていたのであった。