曖昧さ回避
三重県伊勢市に実在するグランピング施設についてはこちら→グランオーシャン伊勢志摩
概要
トロピカル〜ジュ!プリキュアに登場する人魚の国で、ローラの生まれ故郷。
深海にある小さな都市国家で、人魚だけでなく海の妖精も住んでいる。
地球の海に所在している為、厳密にはヒーリングガーデン同様異世界には該当しない。
平和な国ではあったが、「あとまわしの魔女」が率いる召使い達の奇襲によって、住民の「やる気パワー」が根こそぎ奪われてしまった。
人魚の女王こそ無事であったものの、国民のほとんどは無気力状態で人事不省に陥っており、国としての機能は停止している。
女王はこの一大事をどうにかすべく、運良くやる気を奪われなかった人魚のローラに「伝説の戦士・プリキュア」を見つけ出すよう使命を与えた。
そしてローラがプリキュアを求めて地上世界へとやってきたのをきっかけに、本作の物語が始まるのである。
国土の構造
前作のヒーリングガーデンはストーリー進行の都合上、最終回までプリキュア達には行く必要の無い場所だったが、第36話にてまなつ達は遂に足を踏み入れる事態となり、グランオーシャンの細かい様子が明らかになった。
グランオーシャンはシャボン玉の様な巨大な泡の中に作られた都市であり、貝や珊瑚を模した王城を中心に、周囲には鮮やかな色合いの城下町が広がっている。尚、泡の中も水に包まれているので、水中で呼吸できない者はここでは生活できない。
グランオーシャンを包んでいる泡のシャボン玉は、海底を流れる秘密の海流を漂っている。シャボン玉の周囲は巨大な渦潮に囲まれており、外部からの侵入者を拒んでいる。人魚や海の妖精のみが渦潮のセキュリティを通って入国出来る。
グランオーシャンを包む泡は周囲の激流から都市を守っており、その内側での水の流れはとても穏やかである。
一方、この泡は内部からの衝撃にはあまり強くなく、泡の中から強い衝撃を受けると、容易くヒビが入って外からの激流が雪崩れ込んでしまう。
国の中にはシャボンフラワーと呼ばれる花が生育する場所があり、ローラのお気に入りの場所である。因みに貝がらクッキーの原材料はこのシャボンフラワーの様だ。
人魚族の生態
尚、このグランオーシャンにいる人魚族、今の所イメージも含めて女性タイプしかいないように見えるが、第36話にて「人魚族は雌雄の交尾で生まれるのではなく、巨大な真珠貝から誕生する」事実が判明。
中々にファンタジックな設定のはずなのだが、「人魚は貝から生まれる」とだけローラから聞かされたまなつ達は、アサリやシジミやホタテやハマグリ等の食卓に並ぶ具材のイメージで理解してしまった(そしてローラに怒られた)
ちなみに第25話では、ローラには血縁上の親がおらず女王に育てられた事実が示唆されていたが、これは伏線だったようである(もっとも、この当時は「ローラは孤児なのでは?」とする推測の方が主流だったが)
くるるんの好物である貝がらクッキーやトロピカルパクトの他、建造物にも貝の意匠が見受けられるが、グランオーシャンの住人にとって貝は極めて身近な存在なのである。
住民
余談
過去のシリーズでは魔法界にも人魚が住む海底都市が登場していた。ちなみにその魔法界も厳密な意味での異世界ではない。
ネタバレ注意!
禁忌の掟
人魚や海の妖精たちは地上と関わる事を固く禁じられており、関わってしまった者はその時の記憶を消されてしまう実態が、第37話で明かになった。
地上で人間と交流した大切な思い出も絆も、全てが「なかった」扱いにされるのである。
一見すると、華やかで明るく楽しい世界に見えるグランオーシャンの暗部とでも称せるだろうか。
記憶の抹消は王宮の隠し部屋に設置されている“記憶を吸い取る装置”によって行われる。吸い取られた記憶は青白く光る貝殻に封印され、王宮のとある一室に保管される。この記憶の貝殻に触れれば、封じられた記憶の断片を知れる。
地上へ干渉してはならない掟は、グランオーシャンの国民にとって周知であるが、掟を破ると記憶が消されてしまう実態は秘密にされている。
記憶を消された国民は、『記憶を消された事実』自体を認識できなくなる。ローラも幼い頃にこの装置によって記憶を消されたが、そのような処置を受けていたのをまったく知らず、覚えてさえなかった。
第37話で貝殻に封印された自分の記憶を発見した時は、自分の知らない自分が存在する感覚に、激しいショックを受けている。
記憶の抹消処置は女王の一任で行われるようである。
尚、女王がグランオーシャンを救う為に、ローラを地上に派遣したのは当然ながら掟に相反するが、すべてが終わって国が救われた後に、ローラの記憶を抹消してしまう計画であった。
もちろんこの事実はローラには秘密であった。更に後に女王自身も自らの記憶を消し、グランオーシャンが地上に関わってしまった事実を葬り去ろうとしていたのである。
記憶を消す装置の存在がローラに知られた後も、女王の決意に揺るぎはなく、「地上に関する記憶の抹消は義務なので受け入れて欲しい」とローラに理解を求めている。
何故、人魚が人間と関わってはいけないのか。この辺りについてはこの37話時点ではまだ明かされなかった。
メルジーヌ曰く、この掟は古来からのものであり、たとえ「ローラが女王になっても変えることはできない」としている。
ただ、グランオーシャンが人間と関わってはいけない理由については、「人間を恐れている」とかではないのは明らかである。
そもそもグランオーシャンは不可侵の激流に守られているので、「人間が侵略するかも」とかを恐れる必要はない。
また、女王の言葉から、女王自身や先代達もその記憶を抜き取っている為、結果的に掟の起因や理由を知る術がなく、知った者もまた結局記憶を抜粋されるので、掟を変えられない状態に陥っている。
また、43話でローラは「消えるのは人魚の記憶だけなの? 人魚と関わった人間の記憶も消されちゃうの?」と人間の記憶も消されている可能性を指摘している。
幼い子どもで、比較的記憶を抜き取りやすそうな過去のまなつの記憶は抜かれてはいなかったが……。
女王は肯定も否定もせず、目を伏せて「あなたにもいずれ、わかる日がきっと来るでしょう。自らその記憶を消してしまいたいと思う日が……」と答えた。
以下、最終回ネタバレ!
最終回にて、ローラは「みんなのことは忘れない。だからみんなも絶対に忘れないで」と仲間達と約束してグランオーシャンに帰還。
だがその願いは虚しく、ローラの地上での記憶は消されてしまう。
そればかりか、ローラと関わった人間達からも記憶が消されてしまった。しかも、写真等の記録媒体からも悉く姿が消えてしまう程と、徹底した事実隠蔽が行われる実態が明らかになった。
かつて幼いまなつの記憶が消されていなかったのは、相手を人魚だと認識していなかったからなのだろう。
想像以上に恐ろしい装置だったが、その開発理由は「人魚の寿命が長く、親しくなった人間が先に死んでしまうことが避けられず、その寂しさに耐えられない人魚の為」であった事実も判明。(グランオーシャンの人魚族の寿命は他の海洋生物と比べても、268歳のホッキョククジラや512歳のニシオンデンザメよりも遥かに長く、生態としてはベニクラゲに近いか)。
記憶の抽出装置が非人道的な目的で作られたものではないのも、グランオーシャンの人魚族が前作のとあるヒーリングアニマルのように人間という種を疎んでいるわけでもなかったことも分かった。
実際、最終決戦で判明した破壊の魔女(あとまわしの魔女)とキュアオアシスの悲劇は、寿命が違うもの同士が惹かれあったが故の悲劇である。本作をここまで見続けた視聴者であれば、人魚達がこのような掟を作った理由は理解できるであろう(もっとも、死別は人間同士であれ人魚同士であれ、痛く悲しい出来事なのは変わりない以上、少々酷だが人魚側の身勝手にも見えてしまうが……)。
なお、最終回ではチョンギーレ達あとまわしの魔女たちの(旧)部下達は「人魚でも海の妖精でもない為、“記憶を吸い取る装置”の対象外」であるとも判明した。
その為、ローラはグランオーシャンに戻る前に魔女の部下達に「もしも記憶を消された自分が後にあなた達の許に訪れたなら、あなた達が知るプリキュアの物語を語ってほしい」とお願いする。
そしてローラは自分の部屋に「魔女の部下たちの元に赴くように」とのメッセージを隠しておき、記憶を消された後のローラはそれを見つける。そしてローラは自分が忘れた「誰か」を探すべく地上に再び赴き、それがまなつとの再会に繋がるのである。
そして、ローラとまなつが再会した時、装置が爆発・大破。ローラとまなつだけではなく全ての関係者の記憶や、改竄された記録も元に戻ったようである。
(爆発の原因については「まなつとローラが自力で記憶の一部を取り戻した影響」「長年記憶を貯め込み過ぎたためオーバーフロー」「単なる老朽化」「ご都合しゅ…もとい、神の粋な計らい」等々、諸説あり)
その後、ローラが処罰された様子もなく、それどころか次期女王の証であるティアラを身に着けたまま人間に対する自らの見聞を、他の人魚に講義しそれを女王が温かく見守る様子が描かれていたので、装置の大破を契機に人間との交流禁止の方策自体が見直された模様。
海の未知なる領域
上述のように、最終回にてあとまわしの魔女のかつての部下達は、人魚の視点では「海の妖精」ではない実態が明らかになっている。また、エピローグでは深海魚が擬人化したような種族が確認される。
最終回一話前の第45話では平林まふねが「海には私たちの知らないことがまだまだある」と語っているが、それは人間だけでなくグランオーシャンも同じであろう。事実、この話ではグランオーシャンは「自分達の知らない新しい海」へ旅立つと宣言している。グランオーシャンでさえ海の神秘を全て知っている訳ではないのである。実際、破壊の魔女は当時のグランオーシャンにとっては、未知にして強大な脅威だったのだから。
グランオーシャンは上記の通り、人間界に対して鎖国(めいた)政策をかつて採っていたが、他の海の種族に対して、如何なる外交政策を採るのかは明らかにはなっていない。
願わくば、恒久的な繋がりへと至る事態を望むばかりである。
関連タグ
トロピカル〜ジュ!プリキュア ローラ くるるん 人魚の女王 人魚
プリキュアシリーズ
魔法界(プリキュア):5作前に登場した地球発祥の異世界の元祖。こちらは魔法界の住人が人間界で魔法を使用しているのがバレたら魔法の杖の没収と言う比較的軽い処分で住んでいる。また、後続の2つの地球発祥の異世界と違い、人間界に対しては基本的に友好的。
ヒーリングガーデン:こちらは上記の魔法界と違って、前作『ヒーリングっど♥プリキュア』最終回で、ヒーリングアニマル達は無条件に人間に友好的な訳ではない実態が明らかになった。
他作品
アクーシャ:グランオーシャンのモデルだと思われる、15年前のとある映画の舞台の海中神殿。
ナイトレイダー:あることの記憶を消去するメモリーポリス、消去した記憶を封印する装置の存在など、共通点が多い。