概要
イランや北インド、中東諸国で食べられるパン。日本ではタンドールで焼かれる薄く平べったいナーンがよく知られる。日本ではインド料理として知られるが、その発祥はペルシャ(イラン)にあり、イランではパン類全体の総称で、菓子パンのようなものも含める。
小麦粉を水で練って発酵させてつくるDoughと呼ばれる料理の一種で、中尾佐助は「皮パンと並ぶDough料理の双璧」と主張する。なお、中尾の影響を受けた宮崎駿の漫画『シュナの旅』では、劇中の普通の食物として「ナン」が登場する。
日本で市販されるナンは大きいものでも長さ20cm程度だが、インド料理店で出る本格的なナンはこの2倍くらいのサイズで出ることが多い。初見でその大きさに面食らう日本人は少なくないだろう。店によってはさらにデカいのが出る。
なお、日本のインド料理店におけるナンの形・サイズはバブル期に「欧米のインド系のシェフが居るインド料理店」で修行した日本人が日本で作ったインド料理店で話題性の為に大型のナンを出したのが起源とする説も有り、インドや中東・中央アジアでは円形のナンや小型のナンも存在する。
本場のナン
日本のインド料理店では、カレーと並ぶインドの代表料理のような扱いを受けているが、インドでは諸々の事情で家庭料理としては食べられていない。特に北インドで常食されているパンといえば一般にはチャパティやプーリーである。食文化の異なる南インドではそもそもナーンを食べる習慣がない。ナンを作る為の窯は一般家庭には無く、扱いや管理に手間がかかることが要因。
日本や欧米で喩えるならば、自宅で本格的なパンを焼ける設備が整っており、自宅での食事の際は自家製のパンを食べるぐらいにはレアケースと思って差し支えない。
インドであっても、ナンは「外食」か「テイクアウト」が基本なのである。