感染症の原因となる危険なウイルスの一種。主にネズミやリスなどのげっ歯類が媒介する。
名前は最初にウイルス抽出に成功した韓国の川、漢灘(ハンターン)に由来する。
ハンタウイルスが起こす感染症
ハンタウイルスは以下の2つの感染症を起こす。どちらも治療が遅れると死亡することがある、危険な病気である。
腎症候性出血熱
主に東アジア(韓国・中国)、東欧、北欧で流行する病気。腎臓が壊れて尿が出なくなり(あるいは出ても血尿ということもある)、それに並行して血小板が減少し、全身から出血しやすくなる。
日本でもかつて大阪梅田で流行して梅田奇病と呼ばれたり、実験動物のラットが感染源となり大学や研究所で流行したことがあったが、現在では発生がみられなくなっている。
ハンタウイルス肺症候群
主に北米・中南米で流行。重度の肺炎を起こし、最終的に肺水腫を生じて呼吸困難を起こし死に至る。
ラットから人へのみ感染するが、南米では人から人への感染も見られた。
発症から死亡までわずか2、3日と非常に早く、それ故に感染を広域に広げられず早期に終息した。
なお感染源であるラットはこのウイルスに耐性を持っており、無害な状態で体内に生かしている。