概要
経口感染症の原因となるウイルスの一種。主に赤ちゃんに激しい下痢を起こす。
同じ下痢・胃腸炎を起こすウイルスであるノロウイルスよりも重症化しやすく、赤ちゃんがいる家庭にとっては危険なウイルス。
主に3歳未満の赤ちゃんに感染しやすく、5歳までにほとんどの人が感染していると言われる。
世界では発展途上国を中心に、毎年50万人の子供がロタウイルス胃腸炎で死亡していると言われる。日本でも毎年10~20人の赤ちゃんがロタウイルス胃腸炎で亡くなっている。
症状
下痢・嘔吐・発熱がみられる。下痢は激しく、真っ白い便が出ることもあるため、仮性小児コレラや白色便性下痢症、白痢(はくり)などの異名が付くこともある。
急速に水分が失われるため脱水症状に陥りやすい。万が一、白い便が出た場合は、すぐに病院に行くこと。
なお、基本的には赤ちゃんや小さな子供がかかりやすいが、まれに大人がかかることもある。しかし、大人や5歳以上の子供の場合、ほとんどが軽症である。
合併症
ロタウイルス感染症では、先述の脱水のほか、まれに以下の合併症を起こすことがある。
- 腸重積症:赤ちゃんに多い重篤な腸の病気。腸同士が重なって詰まってしまい、ひどくなると腸が腐ってしまう(壊死)。激しい腹痛・血便・顔面蒼白がみられた場合は救急車を呼ぶなど、一刻も早く病院に行くこと。
- 脳炎
- 心筋炎
- 腎不全
- 肝炎
- 溶血性尿毒症症候群(HUS)
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)
治療方法
とにかく水分補給が基本。下痢によって失われた分以上に補うこと。軽い場合はスポーツドリンクや味噌汁の上澄み程度で十分だが、重症の場合は入院して点滴を受ける必要がある。
予防方法
- 十分に手を洗い、清潔に努めること。
- 最近、ワクチンで予防できるようになった。料金は他のワクチン(麻疹、インフルエンザなど)に比べて高価だが、万が一発症してしまった場合の危険性を考えると、なるべく受けるべきだと思われる。