概要
CV:東地宏樹
アンダーワールドのダークテリトリーに存在する暗黒騎士団を束ねる暗黒将軍。暗黒界十候の一人でもある。
暗黒将軍と呼ばれてはいるが、ゴブリンやオークと異なる純粋な人族でダークテリトリー全体の安寧を第一に望む穏健派。
和平への想い
ダークテリトリーは100年前までは戦乱の時代であった。人族に加えて山と平地のゴブリン、オーク、オーガ、ジャイアントの五つの種族が覇権を争い、その果てに五族平等の元で暗黒騎士団、暗黒術士、拳闘士ギルド、暗殺者ギルド、商工ギルド、山ゴブリン、平地ゴブリン、オーク、オーガ、ジャイアントの長達が協定を結ぶ『十候会議』で辛うじて均衡を保っていた。
が、暗黒界人の中でも亜人族は人界への憎悪をたぎらせており、いかに整合騎士が強大といえど、全面戦争になれば最終的に数で押し切って勝利は出来る。だが、その果てに全軍がどれほどの損害を被るかは想像も付かなかった。そうなれば十候会議でかろうじて保たれていた均衡が崩れてしまい、五族平等の約定も失われる。それによってダークテリトリー全体がかつての戦乱の時代に逆戻りすることをシャスターは恐れていた。
故にシャスターは和平を模索していたが、アドミニストレータが実権を握る人界ではそれが望み薄であった。しかし、アドミニストレータの死を受けたシャスターは交戦経験があり人格的に信頼できるベルクーリ・シンセシス・ワンを通じて和平交渉を決意した。
しかし、オークの長リルピリンを始めとした亜人族の長達と暗黒術士ギルド総長のディー・アイ・エルがそれを良しとするはずもないのを熟知していたシャスターは彼らを殺害して暴走を抑制、その隙を突いてベルクーリに和平を申し込もうとしていた。
暗黒神ベクタの復活
和平を決意した矢先、折悪くダークテリトリーを創造した暗黒神ベクタがオブシディア城の玉座に皇帝として君臨する。
ベクタは人界への全面戦争を宣言し、全軍が戦争に歓喜する。シャスターの和平への望みは絶たれてしまった。それを憂い、直前にシャスターから求婚され、受け入れた側近のリピア・ザンケールが独断で皇帝暗殺を強行。返り討ちに遭う。
その首をさらしものにされ、激昂したシャスターは全身全霊の殺意によって心意の竜巻を起こした。その竜巻は山ゴブリンと平地ゴブリン、暗殺者ギルドの長を巻き添えにしてベクタに襲いかかった。しかし…………
この男は…殺意の剣では倒せない!なぜなら…この男の魂は生きながらにして死んでいるからだ…無念…リピア…
予想だにしていなかったベクタの虚無の心意は暗黒将軍の殺意を飲み込んだ。妻に迎えようとした女性を奪われ、全てのダークテリトリーの人々を案じた男は暗黒神の餌食となってしまい、ダークテリトリーは人界との戦争に突入する。
後にベルクーリも彼の死を感じ取っており、シャスターの死は同様に和平を望んでいたベルクーリにとっても痛手であった。
ダークテリトリーの人工フラクトライトは人界のと比べて欲望に忠実に働くように設定されている。そういう意味では彼もまた欲望に忠実とは言えるのだが、それが戦争という負の側面での欲望ではなく、国に住まうもの全ての存亡を優先して和平を望むというダークテリトリーの人工フラクトライトにおいて、極めて異質な存在であった。
人界の人工フラクトライトは現実世界の人間の影響を受けたために柔軟な思考を身につけていたが、彼は自力でその境地に達していたのである。
ラースが彼の存在を察知していたらどのような対処をしたかは不明だが、最終負荷実験においては相応しくないのは明白。しかし、それはそれでまた彼も研究対象としては極めて興味深い対象となったかも知れない。