ヘクター(COCO)
りめんばーみーのへくたー
CV
英語版:ガエル・ガルシア・ベルナル(メキシコ人)
摩訶不思議な出来事で死者の国に立ち入ってしまった主人公ミゲル・リヴェラと共に冒険をする相棒。
誕生日は11月30日。
身長170cmで、享年21歳。
他の死者の住民と同じくガイコツの姿である。
陽気な人情派で仲間や知り合いこそいるがみすぼらしい身なりに現れているかのごとく孤独で、現在では全く疎遠になってしまった生者の家族にもう一度会いたいと願っている。
死者の国に迷い込んできたミゲルと出会い、彼をサポートする代わりに「ある願い」を託そうと考える。
死者の知り合いからは死因がチョリソーを詰まらせたことによる窒息死だとバカにされているが、本人は「食中毒だ」と反論している。
また作中での国民的ミュージシャンであるエルネスト・デラクルスの友人(師弟関係)を自称したり、ミュージックコンテストにおいて人前でギターの弾き語りをした事のないミゲルに適切な手ほどきをして助演し好成績に導いたりする一方で、ミュージシャンを「くだらない」と言うなど、意味深重な言動をとる。
なお彼の名前(Hector)について、日本語版の吹き替えと字幕ではローマ字読みで英語風でもある「ヘクター」であるが、英語版では物語の舞台メキシコの公用語であるスペイン語での読みに合わせて「エクトール」(Héctor)になっている。
ボロボロの服装で、靴等は履いておらず裸足。
外見は死亡時の若い年齢ではあるが体のあちこちの骨が脆くなっており、一部をガムテープらしきもので補強している他、肋骨も一本途中から無くなっている(作中の「死者の国」における死者は、生者の国の人々の記憶から忘れ去られていくと「二度目の死」という消滅に向かって弱体化していくため)。
変装が得意で、作中でフリーダ・カーロ(史実のアーティスト)に扮した女装を度々披露し、出国審査の機械判定を除いては基本的に見破られないクオリティの高さを見せつけている。
また生者であるミゲルに対しても後半のプールへの落水で露呈するまで周囲に気づかれないほどのガイコツメイクを施している。
小説版では女装した初登場シーンで「オシャレな服を着た女性」と表現されていた。
生前は困り眉が特徴の端正な顔立ちの青年で、ミゲルに写真を渡した際に「ハンサムだろ?」と得意げに述べている。
なお一本だけある金歯はこの頃から。
ミゲルとのデュエットシーン。
以下ネタバレ |
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デラクルスとの友人関係は事実で、二人が久々の対面を果たして判明した直後にそれ以上に衝撃的な事実が発覚する。
デラクルスが発表していた曲は実はヘクターが作詞・作曲したもので、二人はデラクルスが有名になる前から同郷のコンビとして地道な音楽活動をしていた。
そしてヘクターの死後、デラクルスはそれを自分の創作として発表しメジャーデビューも果たす。
音楽を忌み嫌うヘクターにとってそれに関しては責める気はもう無かった。
ところがその時に背後でデラクルスが生前に制作した主演映画のワンシーンが流れ、彼の大ファンでこの作品も知っていたミゲルの解説によって事態が急転する。
その場面でデラクルスは仲間に裏切られて酒に毒を盛られていたが、その一部始終の会話を目の当たりにしたヘクターが死亡直前の記憶の詳細を思い出したのである。
当時ヘクターは長旅で妻子が恋しくなり、故郷に帰ることを望んだ。
ミュージシャンとして成功したいデラクルスは慰留するがと彼が首を縦に振らなかった(その際「お前の夢だろう!」と言い返す所を見ると旅に同行したのは友人として協力していただけと思われる)ため、「せめて最後に乾杯してくれ」と自身が注いだ酒を差出し、ヘクターはこれを受け入れた。
そしてデラクルスに送られながらヘクターが駅へ向かう途中、急に腹痛を起こして道の真ん中で倒れてしまう。(なお、デラクルスの映画では毒が入っている事にデラクルスが気付くになっている。)
そして、気が付くと、彼は死んでいた。
ヘクターは腹痛を起こしている最中にデラクルスに「チョリソーに当たったんじゃないか?」と言われ、それをずっと信じ自分は運が悪かっただけだと思っていたが、実はデラクルスによって毒殺されていたのである。
この時のデラクルスの心境について、『I Love My Family!』(ミゲル視点で映画本編の状況を綴った洋書)でミゲルは「ヘクターが自分を置いていこうとしたから怒って毒を盛った」と解釈している。
真相を知り、裏切った事を憤るもその直後にデラクルスの警備員によってミゲル共々洞窟の泉(モデルはセノーテの泉)の中に放り込まれた後、初めて家族の詳細を話す。
彼には幼い娘がいて、自身が死してなお「死者の日」での里帰りでずっと会いたがっていたが祭壇に写真を飾ってもらえず、ずっと会えずにいた。
その娘の名前はココ。
曾祖母と同じ名前に気づいたミゲルは、所持していたココの父親の顔だけが無い家族写真をヘクターに見せ、ココは自分の曾祖母であると断言。
ここで彼のフルネームがヘクター・リヴェラで、すなわち彼こそが顔のわからなかったミゲルの高祖父であったことをミゲルは知った。
写真の高祖父がデラクルスと同じギターを持っていたのは、元々このギターがヘクターの物であったからである。
『リメンバー・ミー』も本来は最愛の娘のココの為に作った曲なのも明かした。
まさかの対面に二人は大喜びをし、その直後ヘクターの妻でミゲルの高祖母であるイメルダらによって救出。
ミゲルの証言により自身に持たれていた誤解を解かれたヘクターは、死者の国の妻や兄弟、子、孫達に迎え入れられた。
最終的にヘクターの写真は海に落ちて消失してしまうが、家族の機転でデラクルスの悪事を暴き彼を失脚させることには成功。
生者の娘であるココの認知症の進行によって二度目の死が近づくなか、自分の消滅よりも生者として同じく肉体が消滅しかけていた玄孫のミゲルの命を優先し、無条件で「先祖の許し」を与えて生者の国へ帰す。
その後元の世界に戻ったミゲルはヘクターの二度目の死を阻止するため、高祖父が聞かせたかった『リメンバー・ミー』を曾祖母の前で弾き語りをする。
音楽を厳しく禁じてきた祖父母や両親におじとおば、いとこ達が見守る中でココが失いかけていた記憶を取り戻し、さらにヘクターの顔部分の写真と生前に父親から送られてきていた歌詞付きの手紙をこっそり保管していた事を明かし、家族に両親は素晴らしいミュージシャンであることを話した。
それから1年後、手紙などの資料によってデラクルスの生前の悪行が生者の国の住民にも知れ渡り彼の名声はヘクターに取って代わられた。
デラクルスが盗んだ曲は本来の作詞・作曲者であるヘクターのものとして世間に認識されるようになり、遺品のギターもリヴェラ家に戻る。
一方死者の国では二度目の死を回避できたヘクターと妻イメルダとの仲は完全に修復されており、長年離れ離れであった娘のココとも死者の国で再会を果たす。
生者の国のリヴェラ家で修復された写真が飾られたことで、彼はようやく生者の国へ赴くことができた。
そして、新たに誕生したミゲルの妹・ソコロも含めて生者・死者が揃ったリヴェラ家で、ミゲルとヘクターは共に歌い踊りながら死者の日を楽しむのであった。
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