概要
Youtubeにて配信されているインディーズカートゥーンアニメ。
ヴィヴィアン・メドラーノとブランドン・ロジャースが脚本を務めている。
同じくヴィヴィアン原作のアニメ『ハズビン・ホテル』のスピンオフ作品にあたり、世界観も完全に同一だが、『H・H』本編のキャラクターは一部を除きほぼ登場しない。
『H・H』の特徴である売春や犯罪、暴言などの過激かつお下品な要素やエログロ描写は一切衰えを見せておらず、公式でも前書きに注意がされているほど。
なお、『H・H』は「悪魔の償還」をテーマにしているが、本作は「地獄の住人と社会」つまり「地獄世界の日常」に焦点を当てている。
2019年11月にパイロット版が配信され、1年後の2020年11月から本編の配信がスタート。不定期ではあるものの1〜2ヶ月間隔で最新話が配信されている。スピンオフ元の『H・H』よりも現時点ではこちらの配信がメインとなっている模様。シーズン1は第8話クイーン・ビーをもって終了、シーズン2が7月から開始された。
作中では日本の文化に触れていることもある。特にシーズン1第6話目では江戸時代の日本の武器縛り(登場人物の発言によると「格好いいから」だという)でアクションシーンが描かれていた。『H・H』でも日本のエンタメをよく知っていないと表現できないシーン(東方二次創作「Bad Apple!!」のオマージュなどが例)も描かれていたため、作者は相当な日本好きだと考えられる。
ストーリー
本作の舞台である地獄。
その中でも主に2角の長い角と赤い肌、尖った尻尾を持つ悪魔の種族インプの地位は下層だった。
ある日、インプであるブリッツは「Immediate Murder Professionals(I.M.P)」(直訳すると「即暗殺プロ」)という企業を立ち上げる…。
登場人物
I.M.P社
ブリッツ(Blitzo) |
---|
CV:ブランドン・ロジャース |
|
モクシー(Moxxie) |
CV:リチャード・ホーヴィッツ |
|
ミリー(Millie) |
CV:ヴィヴィアン・ニクソン(本編)、エリカ・リンドベック(パイロット版) |
|
ルナ/ルーナ(Loona) |
CV:エリカ・リンドベック |
|
ゴエティア家
ストラス(Stolas) |
---|
CV:ブライス・ピンカム(本編)、ブロック・ベーカー(パイロット版) |
|
オクタヴィア(Octavia) | ステラ(Stella) |
---|---|
CV:Barrett Wilbert Weed,Juliana Sada (幼少期) | CV:Georgina Leahy |
思春期に突入したストラスの気難しい娘。灰色の羽毛で覆われていて、父親に似た仮面のような白い顔と赤眼、ボサボサな後ろ髪が特徴。まるで西洋貴族のように豪華な服を着る両親と違って、星柄のワンピースに黒いショールという大人しめの服を着ている。両親の不仲と思春期が重なって反抗的な態度が加速していったようで、普段は父のことを嫌いだと行っているが、本当は大好きで離れたくないと思っている。父親がブリッツと駆け落ちして、捨てられるのではないかと恐怖を感じている。同じ境遇を持つ(父親に深く愛されている)ルナとは少し分かりあえるところがある。父と似て少し人見知りな面もある。とある事情で人間界に行ったときには、知らない人に声をかけることができずにいた。しかし親しい人(父含む)に対してはだいぶ荒々しい態度で接する。 | ストラスの妻。日常的に夫が抗うつ剤を飲まなければならなくなるほどのDV(言葉の暴力)を行っている。オクタヴィアが生まれてからは自分の役割を果たしたと考え夫の弱気なところに付け込んで自分勝手な言動を繰り返していた。ちなみに愛情はなくてもストラスの不倫については嫌だと思っているらしい。 |
その他の悪魔
ヴェロシカ(Verosika) | ストライカー(Striker) |
---|---|
CV:Cristina Vee | CV:Norman Reedus |
地獄と人間の世界両方で人気を博しているサキュバスの歌手。実はブリッツの元カノで交際していたが、上手くいかず破局してしまった以降は、ブリッツとは犬猿の仲となっている。シーズン1第3話から初登場。 | シーズン1第5話で登場した悪魔。カウボーイハットに金の牙が特徴の殺し屋。ステラにストラスを始末するように雇われた。ブリッツとほぼ近い実力(無論あっちのほうではない)を持つ強者。 |
フィッザローリィ(Fizzarolli) | アスモディアス(Asmodeus) |
CV:Alex Brightman | CV:James Monroe Iglehart |
ブリッツの幼馴染のインプ。地獄で大人気のピエロ。愛称はフィズ。幼少期にブリッツと同じサーカス団に所属しており当初は仲も良かったが、とある事故から二人の仲は険悪なものとなっていた。手足を機械に改造しており、伸縮自在のパフォーマンスを繰り広げる。アスモディアスの仕切るオジーの店で司会としても働いている。ピエロらしく飄々と人を食ったような言動をするが、パフォーマーとして真摯に取り組んでおり、難聴の子供のファンに手話で対応するなどファンサービスも欠かさない。彼の外見を模したロボットが量産され、サーカスで使われているらしい。恩人であるマモンの期待に応えることと、アスモディアスに相応しくありたいという重圧に神経をすり減らして行くが… | 七つの大罪の内色欲を支配する古代の悪魔。フィッザローリィの恋人。青い炎のような体の巨体をしており、髪には牛と山羊の顔が浮かんでいる。色欲をアートと捉え、堕淫に溺れるようなことはなく自身のディルドメーカーで新製品の開発に勤しんでいる。フィズのパフォーマーとしての直向な姿勢と才能に心底惚れ込んでおり、彼が誘拐され会社の権利を要求された際には、怒り狂いながらも迷わず誓約書にサインしようとしたほど(彼ら原初の悪魔の契約は半永久的な拘束力を持つ)自身のイメージもあり自分たちの仲は隠している……つもりだがあまりのイチャイチャぶりに周りからは暗黙の了解となっている。 |
ヴォルテックス(Vortex) | クイーン・ベルゼブブ(Queenbeelzebub) |
CV:James Monroe Iglehart | CV:Kesha Sebert,Rochelle Diamante(歌) |
ルーナが一目惚れしたヴェロシカのボディガードのヘルハウンド。強面な見た目だがとても社交的。しかし人間界のライブでステージに上がろうとした迷惑な観客を力ずくで排除するなど容赦無い一面もある。 | 七つの大罪暴食を支配する悪魔。ヘルハウンドのような見た目をしているが、4本の腕や、触覚、羽があり、蜂の要素も入っている。ヴォルテックスの恋人。シーズン1第8話 Queen Bee にて初登場。綿菓子やタコス、フルーツポンチ等の食べ物を出すことが出来る。パーティー中にはブリッツと、彼女の私物で1番強い酒を早飲み対決したり、参加者に定期的に声をかけて回るなど、人と楽しく関わることが好き。また、ルーナがブリッツのことについて彼女に色々反論していた際は、巨大化した悪魔形態を現し、かなり怒りを露わにしていた。本人にもカッとなりやすい自覚があるのか、気持ちが落ち着いた直後にヴォルテックスに謝っている。出会った直後に、ルーナに「貴方は私の新たなお気に入りよ」と言っている。 |
マモン(Mammon) | クリムゾン(Crimson) |
CV:Michael Cusack | CV:Richard Horvitz |
七つの大罪の内強欲を司る古代の悪魔。四本腕を持つ肥満体で、あちこちにドルマークをあしらった緑色の道化師の衣装を着ている(緑はドル札のシンボル)。その名に違わず強欲な拝金主義者。怒ると額に三対の目が現れ蜘蛛の下半身となる。毎年開催するピエロコンテストでフィズを見出しスターへと祭り上げた。フィズの義手義足とクラウンハットを仕立てたのも彼であり、それゆえフィズからは尊敬と恩義を向けられている。フィズを「息子同然に育て上げた」と豪語するが、実際は自身が荒稼ぎするために搾取しているだけであり、彼のセックスロボットを安価で売りさばき、演目中自身の幻影に踏みつけられるフィズを見て大笑いする等、フィズ自身のメンタル等は全く考慮しておらず、その本性は原初の悪魔らしく傲慢で邪悪そのもの。演目中に堂々と罵倒されても名前を呼ばれるまで自分のことだと気が付かなかったことからもその傲慢さが窺える。 | ノタマフィアタウンのマフィアを指揮する頭領であり、モクシーの父親。跡を継がせるためモクシーにはかなり厳しく当たっていて、モクシーを愛し優しく接していた母没後(クリムゾンに殺された可能性大)は一層強く当たるようになった。モクシーが銀行強盗により逮捕された後は関わらなくなったようだが、後継者問題からモクシーを呼び戻し元カレのチャズと結婚させようとした。ちなみに彼はモクシーの性指向を正しく認識してなかったようで、ゲイだと捉えていたことから家中に動く男性器(性玩具)を設置し、モクシーを困惑させていた。 |
アンドロアルフス(Andrealphus) | バービー・ワイヤー(Barbie・wire) |
CV:Jason LaShea | CV:Jinhee Joung |
ゴエティアの1柱であるクジャクの悪魔。ステラの兄であり、ストラスの義兄に当たる。ステラを大事に思っていて、ステラが感情的になって行動しているときはアドバイスをすることもある。しかし自身も高飛車なナルシストであり、魔法を暴発させたり当人の前で高らかに勝利宣言するなど、妹ほどではないとは言え感情を抑えるのが難しい性格。ストラスを失脚させ財産を奪う為に妹共々共謀し、ストライカーを暗殺に差し向ける等暗躍していたが、妹の自己中心的で癇癪持ちな性格のせいでなかなか計画が進展しないことに辟易している。氷に関する能力を使える。 | ブリッツの双子の姉妹。双子とあって容姿はかなりブリッツに似ている。写真から察するに昔は親密だったようだが、恐らくある時からブリッツを心底恨むようになったようだ。つい最近まで麻薬中毒で病院に入院していたが退院し、青少年相手のコカインの受け渡し(本人によれば「ちゃんとした仕事」)をしに人間界へ行ったところを兄のブリッツに遭遇した。また、ブリッツと違い人間に変身することが可能で、人間界では茶肌のツインテール姿となっていた。 |
キャッシュ・バックゾー(Cash・Buckzo) | |
CV:Jonathan Freeman | |
ブリッツの父親。規模は中程度〜のサーカスの団長。父親とあってやはりブリッツに似た容姿をしているが、タレ目気味で白い髭が生えている。歳はちょうど壮年期を超えたくらいに見える。当時は息子のブリッツよりも、同い年で売れっ子ピエロのフィズをかわいがっていた。フィズに本当の息子だったら良いのにというカードを渡したりもしていた。幼少期のブリッツには彼の母親などを盾に、貴族の家で盗みを働くように指示したり、息子をはした金で売ったりと、息子なのに使い勝手の良い道具のように扱っていた。その姿はどう見ても毒親である。 | |
ヴァサゴ(Vassago) | |
2024年のトレイラーに登場したゴエティアの1人であるオウムの悪魔。元ネタはゴエティアの序列3番目、君主のヴァサゴ。モチーフ故か興奮すると度々スペイン語が混ざる。星形の魔方陣に乗り空中を移動出来る。ラテン系ながら公平性を重視する性格で、ブリッツの裁判中、他のゴエティアの悪魔たちが面倒臭がりおざなりなまま判決を下されようとする中、真っ先に詳しい審議を申し立てていた。実はハズビンホテルのパイロット版に姿が少しだけでている(ヴァギーがアラスターについて解説している時のオーバーロード集合絵)。そのため本編が出る前はオーバーロードかと思っていたファンも多かった、アンドレアルフスとのやり取りからストラスの味方とも思われる |
・サタン(Satan)
七つの大罪の内、憤怒を支配する古代の魔王。パンクファッションを着た四ツ目の巨大な赤いドラゴンの姿をしている。現在の地獄において全て悪魔たちを総括する存在であり、彼の歌パートではゴエティアの悪魔たちだけでなく(不在のルシファーを除く)他の大罪の魔王たち全員がコーラスに参加していた。アンガーマネジメントのために小さな悪魔のセラピストを傍に控えさせており、激高するたびに彼から治められている。曰くインプ族は彼が従順な労働者として創造した存在であり、ルシファーが堕天する以前から地獄を支配していたと語っている。
・レヴィアタン(Leviathan)
七つの大罪である嫉妬を司る古代の魔王。愛らしい女性と険しい海蛇の二つの頭を持つ。マモンから言い寄られた際女性の顔はまんざらでもない表情だが海蛇の頭は鬱陶しげな表情を浮かべさりげなく移動していた。
・ベルフェゴール(Belphegor)
七つの大罪において怠惰を司る魔王。頭に蝋燭を乗せた羊の姿をしており、長い首には複数の目が縦に並んでいる。常にうとうとと眠たげだが、サタンの歌の際には起きてコーラスに参加していた。
専門用語
Immediate Murder Professionals(I.M.P)) |
---|
ブリッツが立ち上げた暗殺代行会社。プライド・リングの一角に存在する「インプシティ」の雑居ビルにオフィスを持つ。業務内容としては、地獄に落ちて来た悪魔達が生前恨みを持つ人間を殺し、地獄に堕とす事。この恨みの内訳は様々で、真っ当なものもあれば逆恨み同然のものもある。社員は社長のブリッツ、暗殺実行役のモクシ―とミリー、受付のルーナの4人。 |
地獄 |
---|
『H・H』からお馴染み、罪を犯した人間が堕ちる死後の世界。本作では七つの大罪を冠する七つの階層で構成されている事が明示され、このうちI.M.Pとハズビン・ホテルが存在するのは一番上の階層であるプライド・リング(傲慢の階層)である。各階層は巨大なエレベーターで行き来できる一方、元人間の悪魔はプライド・リングから出る事が出来ない模様(これが魔術的に出入りが封じられているのか、単にエレベーターに乗ろうとしても門前払いされるという意味なのかは不明)。 |
プライド・リング(傲慢の階層) |
---|
傲慢の大罪ルシファーが治める地獄の最上層であり、本作及び『H・H』の主要舞台。上記の通り地獄に落ちて来た元人間の悪魔達がすし詰めにされており、また統治者であるルシファーが王としての職務を実質放棄している事もあって治安はかなり終わっている。 |
ラース・リング(憤怒の階層) |
---|
憤怒の大罪サタンが治める地獄の第二層。農場と荒野がどこまでも広がっており、何処か西部劇のような風景となっている。主な住民はインプらしく、モクシ―とミリーもこの階層の出身。 |
グラトニー・リング(暴食の階層) |
---|
暴食の大罪ベルゼブブが治める地獄の第三層。南国風の木々に囲まれたリゾート地のような雰囲気で、各所にはホテルやレストランが立ち並ぶ。主な住民はヘルハウンド。 |
グリード・リング(強欲の階層) |
---|
強欲の大罪マモンが治める地獄の第四層。薄汚れた工場地帯と倉庫街で構成され、空は常にスモッグで覆われている。マモンが経営する遊園地やサーカス舞台も存在。主な住民はサメの姿をした悪魔。 |
ラスト・リング(色欲の階層) |
---|
色欲の大罪アスモディアスが治める地獄の第五層。ネオンで包まれた歓楽街で、アスモディアスが経営するクラブや大人の玩具工場もこの階層に存在する。主な住民はサキュバスやインキュバス。 |
エンヴィー・リング(嫉妬の階層) |
---|
嫉妬の大罪リヴァイアサンが治める地獄の第六層。現時点では詳細不明。住民には魚の姿をした悪魔たちが確認出来る。 |
スロウス・リング(怠惰の階層) |
---|
怠惰の大罪ベルフェゴールが治める地獄の最下層。巨大な病院やリハビリ施設が存在する。住民の多くは頭に蝋燭を乗せた山羊または羊の姿をした悪魔。 |
各話リスト
シーズン1
No. | タイトル |
---|---|
0 | パイロット |
1 | Murder Family/殺人家族 |
2 | Loo Loo Land/ルールーランド |
3 | Spring Broken/ブチ壊し春休み |
4 | C.H.E.R.U.B/ケルブ(智天使) |
5 | The Harvest Moon Festival/月見祭 |
6 | Truth Seekers/真実の探求者達 |
7 | OZZIE’S/オジーの店 |
8 | QUEEN BEE/女王蜂 |
シーズン2
No. | タイトル |
---|---|
1 | THE CIRCUS/サーカス |
2 | SEEING STARS/星が見える |
3 | EXES AND OOHS/元カレとため息 |
4 | WESTERN ENERGY/西部の力 |
5 | UNHAPPY CAMPERS/不幸なキャンパー達 |
6 | OOPS/おっと |
7 | MAMMON'S MAGNIFICENT MUSICAL MID―SEASON SPECIAL (ft Fizzarolli)/マモンの華麗なるミュージカル 特別編(ftフィザローリ) |
8 | THE FULL MOON/満月 |
9 | APOLOGY TOUR/謝罪行脚 |
10 | GHOSTF**KERS/ゴーストファッカーズ |
11 | MASTERMIND/黒幕 |
短編
No. | タイトル |
---|---|
1 | HELL'S BELLES/地獄の美女たち |
2 | MISSION:ANTARCTICA/南極任務 |
3 | MISSION:WEEABOO-BOO/日本オタク |
4 | MISSION:CHUPACABRAS/チュパカブラ |
なお、最新情報ではシーズン2は15話まで放送予定であり、シーズン3の制作は決定しているようだ。
関連動画
パイロット版
シーズン1
第1話
第2話
第3話
第4話
第5話
第6話
第7話
第8話
シーズン2
第1話
第2話
第3話
第4話
第5話
第6話
第7話
第8話
第9話
第10話
第11話
短編
第1話
第2話
第3話
第4話
MusicVideo(公式)
OH MILLIE(あぁミリー)
JUST LOOK MY WAY(私だけを見てくれ)
公式日本語訳は投稿されていないが、非公式日本語訳字幕(動画付き)が最新話まで上がっているものもある。視聴機会を平等にする都合上ここには載せられないが、興味のある方はぜひ調べてみると良いと思う。
……というか英語が母語なみに堪能な方以外はそちらを見るのをおすすめする。
なぜならこの文を編集した現在(2024/4/6)では自力で調べた限りどの動画もかなりクオリティが高く、正直悪い意味で唸ってしまう、つまり矛盾のあるような動画は見つからなかったからだ。
しかしこれを読まれた方が調べてみた際、もしストーリー微妙……と思ったのならば違う投稿者の動画を探すことをおすすめする。どれも訳し方は異なっているため、自分に合っているものを選べば良い。