概要
名前の通りハラビロカマキリの近縁種だが大きさは異なり、こちらの方が大型化する。
本来日本には生息していなかったが、2011年頃のある掲示板での出来事をきっかけに研究が進み、存在が確定した。
学名は長い間に不明(たまに見る Hierodula venosa は誤同定)だったが、その後、岐阜県で採集された個体が Hierodula chinensis と同定された。
特徴
名前の通り胸部の部分が紅色に近い赤色であるのが特徴。鎌にあるイボは細かく小さいもので、胸部自体も細長いなど、よく見るとハラビロカマキリとは大きく異なる。
大きさも後述する通り最大で8㎝とオオカマキリの特大個体程ではないにせよそれでも大柄である。
性格もハラビロカマキリに比べて荒い。
ハラビロカマキリと同じく樹上性で、飛行能力がハラビロカマキリと比べてかなり高い。
存在が確定するまで
時は2011年頃。
ある掲示板の昆虫板と呼ばれる板に建てられたあるスレッドにて一人のユーザーによるオオカマキリともチョウセンカマキリとも違う謎のカマキリを捕獲したという画像を添付した書き込みがあった。
そのカマキリはハラビロカマキリに似ていたのだが捕らえられた個体はオスだったにもかかわらず、ハラビロカマキリのメスよりも大きいという特大個体でもあり得ない程の巨体で正に未知の存在であった。
同じ頃に調査を行っていた研究者がこの書き込みを見たのか、情報を公開し、存在は確定することとなり、当時はまだ名前が付けられていなかったことからユーザーの間で仮称として呼ばれていたムネアカハラビロカマキリという名前が付けられることになる。
そしてその書き込みを皮切りに似たような謎のカマキリを捕獲したという書き込みが相次ぎ、専門家や研究者も本格的に調査を開始したところ、恐ろしい事実が発覚する。
なんと在来のハラビロカマキリは駆逐されてしまい、殆どムネアカハラビロカマキリと入れ替わってしまっていたのである。
現状
残念ながら日本各地で存在が相次いでおり、九州、四国、関西、関東での定着がすでに確認されている。
飛翔能力が高く、他の地域に広がりやすいことも原因の一端である。
ただ、日本への定着が確認されている他の外来種の昆虫の中では大柄なので見つけやすい方ではある。
原産国は中国という説が有力で、侵入経路については中国産の竹ぼうき、庭木や材木に付着していた卵塊が持ち込まれた可能性が高いと言われている。
実際に、ホームセンターの竹ぼうきから卵塊が発見されており、店内で孵化した個体も発見されている。
発見された地域では、ハラビロカマキリや他のカマキリ、大型昆虫の数が激減する事例が多数確認されており、生態系への悪影響は高いと見られる。
余談
個体差は激しいが最大でオスは8㎝、メスは7㎝ほどとオスの方が大きくなる(ただしメスよりは細いが)傾向にあるようでカマキリはおろか虫の中でもかなり珍しい特徴を持っている。
ムネアカハラビロカマキリのオスがハラビロカマキリのメスに無理やり交尾を迫り、メスの交尾器を破壊して殺害してしまう事例が確認されている。
存在が確認されたのは2011年ごろと書いたが実はそれ以前から一部のマニアの間で
存在自体は示唆されていたようである。
ネット上でのユーザー間での仮称から公式での呼称に採用された珍しい生物でもある。
関連タグ
同じく中国産竹ぼうきから日本に侵入、定着した外来種。
タケオオツクツクは竹林に住み、竹の汁を吸うクマゼミ程の大型のツクツクボウシ。
タイワンタケクマバチは竹内に巣を作る全身漆黒のクマバチ。