ラギュ・オ・ラギュラ
ひゃくまじゅうのおう
ゲーム作品ワイルドアームズシリーズにおける様々な隠しボスの頂点に君臨する、最強の怪獣もとい魔獣である。
別名「百魔獣の王」。シリーズファンからは「ラギュ様」とも。
全シリーズを通じて登場し、その全てがラスボスを超える戦闘力を発揮する。
ただし、ストーリーに直接関わらない隠しボス、言うなれば「やりこみ要素」の一つであり、倒さずともゲームのクリアは可能。
奇数ナンバリングタイトルでは「ABYSS」と呼ばれる隠しダンジョンの最奥に封印され、そこへ到達する事で戦う事ができ、偶数ナンバリングタイトルでは過去に訪れたダンジョンのどこかに封印されている。
ワイルドアームズシリーズは「トニー」という名前の人物が物語冒頭で主人公に行動のキカッケを与え、ゲームを最後までやりこめばラギュ・オ・ラギュラと戦えるというパターンがほぼ確立されているため、資料集でもファンの間でも
「ワイルドアームズはトニーに始まりラギュ・オ・ラギュラに終わる」
とも言われている。
正攻法ではまず勝てないステータス設定、「1000000000000℃の炎」に代表される強力無比な攻撃は全シリーズに共通している。一部作品ではバランスブレイカーとなるキャラクターの存在故に最強モンスターという立場を危ぶまれる事もあるが、逆に言えば、バランスブレイカーを投入しないと容易な勝ちなど掴ませてはくれない強敵という証明でもあろう。
シリーズによってデザインが変わっているが、巨躯を二足歩行で支え、引きずるほど長く太い腕を備えたシルエットは共通している。
後年のデザインでは背中にも四本の手のようなものが生えており、背後からの攻撃を受け付けない。
顔の部分は結晶体のようなものがついていて、それがこの怪物の眼だとも言われているが真偽は不明。1000000000000℃の炎もここから光線として出るようである。
代表技である「1兆度の炎」でピンときた人もいるかもしれないが、元ネタはウルトラマンに登場した怪獣ゼットン。
初代WAでは白い身体に長い金色の角、蛇腹状の手足という外見で「ややエレキングっぽい」という声もあるが、WA2以降は黒白ツートンカラーにオレンジの発光体がついた身体と顔、鎌のような角、目の位置にある角柱型の器官などなど、隠す気が皆無なデザインへと変化している。
公式資料集などでも言及されているのだが、WAのモンスターは怪獣の着ぐるみをモチーフにしたものも多い。その頂点に居るラギュ・オ・ラギュラもまた、制作スタッフが如何に特撮好きであるかを物語る存在である。
隠しダンジョン奥地や特定の封印装置に対して、モンスターとのエンカウントを発生させるグッズを使用する…というのがお決まりの遭遇パターンとなっている。
WA1
【百魔獣の牢獄】または【怪獣監獄】という隠しダンジョンの最奥にて出現。
プレイヤーは転送装置【エルゥのほこら】の故障による偶然でしか、このダンジョンに入ることはできない。
【百魔獣の牢獄】の内部は基本真っ暗闇であり、窓や出入口などは一切ない。エルゥ曰く、誰も入ることも出ることも出来ないように厳重に封印してあるそうだ。
その他にもギミックやトラップ、万能鍵のデュプリケイターで開けなければいけない扉が存在するため、簡単に奥まで行くことは難しい。
それらを突破して最奥の部屋に行き、描かれた円の中心でザックのグッズ【オールドギター】を弾けば出現する。
シリーズの中では然程強くもないので、各地の隠しボスを倒せる腕前なら十分に勝機はある。
WA2
アグエル坑道にある封印柱に、マリアベルのグッズ【マイマイク】を使えば出現する。
こちらのラギュ・オ・ラギュラはターンによって、ある程度決まった攻撃をしてくると言われている。おなじみの1兆度の炎も出すが、『ブラックノヴァ』という闇属性の攻撃もしてくるので、単に『ほのおリング』で対策しただけでは全滅必至である。
確率によるが『スリープ』が効くらしく、それを駆使して攻略できる。
本作ではボスモンスターの出現時に専用演出と二つ名が表示されるのだが、コイツの別名は【始まりと終わりを司る】という壮大なもの。
WA3
隠しダンジョン【ABYSS】にて出現。階層は全100フロアになり、様々な強敵を退けて辿り着く最下層の封印柱にて挑戦者を待っている。
この封印柱にギャロウズのグッズ【クレイマードールズ】を使うと目覚めて襲い掛かって来る。
お馴染みの『1兆度の炎』を使うが、本作では属性攻撃を無力化する対策が充実している上、クライヴにギア『ヴァイオレイター』の《ファイネストアーツ》をプラグインさせておけば凄まじい攻撃力を発揮するため、楽々倒せるようになっている。
しかし、これで終わりではない。
実は今作から2戦目が用意されている。
魔獣の王に勝利し、いざ外へ出ようとすると1層目の出口にて再び封印柱が登場。
炎だけではなく全属性の範囲攻撃という厄介な能力で本気を出したラギュ・オ・ラギュラを倒さなければABYSSからの帰還は叶わない。
重ねてになるが、本作では属性攻撃を無力化する対策と大威力の攻撃が充実しており、特に《全属性耐性》を起動できるギア『虹の額冠』を全員にプラグインしておけばこちらのダメージを抑えて倒せる。
もっとも、『虹の額冠』はレアアイテムなので、楽々と勝つためにはやりこみが必要になるのだが。
WA:F
こちらも同じく【ABYSS】にて登場。
初代と同じように【エルゥのほこら】の転送事故で行けるようになる。
全100層まであり、『魔獣のメダル』を100枚入手すれば出現する。迷路状とは言え、100層まで近道する手段があるのも嬉しいところ。
100層にて戦えるのは「ラギュ・オ・ラギュラ(幼生体)」。
パーソナルスキルで炎耐性とファイネストアーツをロディに装着させておけば、楽々倒せるようになっている。ただし反撃『アゴニーアフェクト』もあるので注意。
さらに前作と同じように、1層にて「ラギュ・オ・ラギュラ(完全体)」も登場。
幼体は任意エンカウントだが、こちらは100枚の『魔獣のメダル』を集めないと現れない。
幼体とほぼ戦い方は変わらないが『パラダイムポリューション』だけ何故か連発してくることがあるので注意が必要。
WA4
穴を潜っていくABYSSとは反対に、塔を登っていくダンジョン「遙かに掲げし決意の塔」に出現する。
聖カリュシオンという人物に封印されたと言われており、この歴史に因む四つの聖遺物を祭壇に捧げることで戦える。
相変わらず強力なボスではあるのだが、今作ではレギュラーメンバーにとんでもない火力を出せる女の子が居るので、凄まじい結果を拝めることも…。
WA5
恒例となった隠しダンジョン【ABYSS】で出現。
ファルガイアマップに散らばる4つの遺物『十戒の碧柱』『柊の額冠』『黒尖槍』『聖骸布』を集めなければいけない。フロア24にて4つの遺物を置けばフロア30への道が開かれ、そこにある封印柱にディーンの『デュエルサイン』を撃てばラギュ・オ・ラギュラが出てくる。
1戦のみとなっているが、相変わらずステータスは高く、お馴染みの『1兆度の炎』に加えて、対となる『マイナス1兆度の氷結』なる物理法則を蹴っ飛ばした技まで使ってくる。
パーティのHPがかなり高めでないと即死全滅もあるので気を付けて挑んで欲しい。
どうしても勝てなければ裏技として『オレンジ300』(与ダメージも被ダメージも100になり、回復しない)というバッジを合成で造り、一人がそれを装備してひたすら『リヴァイヴ』で仲間を生き返らせながら敵のHPを削っていく戦法がある。
『こんな強いやつを倒して何か得があるのか?』
――と言われれば無くも無い。
『シェリフスター』(全ステータスアップ&特定スキル会得)や作品によっては『EXファイルキー(WA3、WA:F)』や『オールオーバー(WA5)』といった強い装備やオマケ要素が手に入るようになっている。
勿論、これらが無くても本編をクリアすることは出来る。
だが、これはワイルドアームズをここまで楽しんでくれたスタッフからの『御礼』でもあり、プレイヤーにとって『勲章』でもある。
もし良ければ一度は彼に挑戦をしてみて欲しい。
そして、新たなる可能性と視野をもって楽しんで貰いたい。
『ファルガイアの荒野(明日)を飛び立つ【渡り鳥】である君たちに栄光あれッ!』
その1
ワイルドアームズ2では同じく隠しボスの顔である『魔王アンゴルモア』の方が強いという意見もあるが、これは発売時期的に「ノストラダムスの大予言」が近かった為であり、それが過ぎ去った後に発売されたワイルドアームズ3においてアンゴルモアは(以降の作品で復権するものの)序盤のボスモンスターという扱いを受けている。
その2
ワイルドアームズシリーズの産みの親である金子彰史氏が脚本を務めた戦姫絶唱シンフォギアシリーズでは過去作のセルフパロディがかなり登場していて、往年のファンからは、ラギュ・オ・ラギュラも登場してくれないかと期待されていた。
もちろんラギュ・オ・ラギュラそのものが登場することはなかったが、第2作「G」に登場した完全聖遺物・ネフィリムは、ラギュ様と同じくゼットンをモチーフにしたモンスターとなっている。