注意
機動警察パトレイバー以外のフィクション作品に似たような名前の火器が見られるほか、実在の兵器にもリボルバーカノンが存在しているが、この「リボルバーカノン」と直接の関係はない。
また「機動警察パトレイバー」はメディアミックス作品の為、作中での描写、設定資料全集、ムック、雑誌によって設定の相違点が非常に多く、ひとつに確定していない情報がある点に注意。
実は名称ですら、漫画版では「リボルバー・キャノン」と異なる表記になっている。
概要
『機動警察パトレイバー』に登場する主人公機『98式AVイングラム』の主力火器として配備されているレイバー用拳銃。
外見は人間が使用する回転式拳銃とほぼ同じ。それを全高8メートル程度のヒト型レイバーサイズに合うよう巨大化させたもの。
形状はS&W社のM586やミネベア社のニューナンブM60といった警察用拳銃に近く、登場メディアによっては銃身の大きなコルトパイソンやスマイソンなど、モチーフとなっていそうな銃は複数挙げられている。
旧OVAと劇場版以降でデザインが変更されているのだが、作中の描写に混乱が見られ、TV版以降に旧OVA版のデザインが登場することも。立体化にあたってもデザインの入れ違いがあり、具体的な正解は判らなくなっている。
運用・特徴
基本的には人間の警察活動における拳銃同様、格闘で取り押さえることが困難な凶悪犯の制圧に使用される。
とはいえ、パトロール・レイバー隊は「器用な巨大ロボットのお巡りさん」として、ありとあらゆる厄介ごとに投入されたため、時に犯罪者、時にテロリスト、時に暴走無人機、時に怪獣と、様々な相手にぶっぱなされた。
イングラム側には銃の狙いを定めるソフトウェアあるいは動作学習パターンが存在するようだが、銃本体は火器管制システムなどの電装とはまったく連動しておらず、劇中では指揮車両の屋根に括り付けての人力での発砲シーンがあるほか、イングラムの後継機であるAVS-98から奪った敵機TYPE-J9 グリフォンでも使えている。
「握るための手」と「引き金を引く指」に相当する構造があれば撃ててしまう、本当に外見どおり「アナログに巨大化させただけのリボルバー拳銃」であるようだが、逆に言えば、人間に近い手指の構造をした高度なマニピュレータを備えた機体でなければ取り扱うことができない。
本格的な火器の使用を前提にした軍用レイバーの多くは、指を介さず火器管制と連動させた武器を採用しており、イングラムの兄弟機とも言え器用な指を持つ自衛隊用99式ヘルダイバーも主力武器は前腕マウント式の速射砲となっている。詳細な背景は不明だが、リボルバーカノンは非軍事用でありながら銃を使用する警察向けレイバー独自の仕様になっているようだ。
火砲としての詳細
設定上の口径はメディアミックスによって37mmだったり20mmだったりするが、劇中で人間などと比較してもかなり銃口や弾薬が大きい。スピンオフ劇場公開作品の『ミニパト』でも「20mmにも37mmにも見えん」「弾薬全体もペットボトルほどで、75mmはある」とツッコミが入っていた。
メイン作品群の劇中で明確に説明された事はないが、ミニパトではこの弾薬についての考察にまるまる1話を割いており、確定情報ではないものの解説担当の後藤隊長は
- 街中で徹甲弾や榴弾の類など危険すぎて、警察が使える訳がない
- そもそも外装がFRPや薄い鋼板程度の民間レイバー相手に強力な銃弾など必要ない
- そのため、おそらく弾頭は貫通力が低く跳弾もしにくい軟頭弾やホローポイント弾である
- なのに弾頭の先端が尖ってる?それは空気抵抗を逃がすためのキャップなの(投げやり)
という結論に至っている。
いちおう漫画版では装甲の厚い軍用レイバー「ブロッケン」が犯罪者の手に渡った事案から、「徹甲弾が開発中」という太田の発言も確認できる。
いずれにせよ、軍用機でなければレイバーの頭部を破砕するほどの威力があり、単純な構造から、弾倉に収まるよう設計すれば磁気ネット弾や対生物兵器用の免疫細胞弾頭なども使用可能。劇中ではここぞという時の印象的な決め手となるシーンもあった。
実写版では専用弾丸「37mm執行実包」が登場した。劇中でも弾丸が37mmに見えないと突っ込まれたが、実は37mmとは口径を指すのではなく、弾丸内部に詰め込まれている軟鉄製球弾9発の直径ということになった。
要するに見た目は拳銃だが中身は散弾銃だったのである。これはレイバーとの近接戦闘のみの使用を目的とした為であり、リボルバーカノン自体も銃身先端の内径(チョーク)を深くして射程距離を短くしてある。それでも作業用レイバーや重機、トラックのエンジン部なら一撃で破壊できる威力を有しており、軍用レイバー相手でも条件次第では十分使える。
劇場版では、ある人お手製の「九十八式榴弾」も登場した。
人間用の拳銃弾薬にも数発の散弾を収めたものは実在し、アメリカなどでは害獣駆除や護身用という触れ込みで販売されている。
前述の『ミニパト』では、弾薬についての考察に加えて、『三十七粍機動速射野砲』なる日本語名称が設定された。
1990年代以降に旧軍的な名称を付ける意味がわからないうえに、元来野砲とは70~75mmの口径の物を指すのだが…分類上は小型カノン砲の一種であるため、楽屋ネタ満載のミニパトとしては、リボルバー「カノン」の呼称に引っ掛けたお遊びなのだろうか。
これと言えば・・・
リボルバーカノンと言えば太田功、太田功と言えばリボルバーカノンと言えるほど、彼の乗機であるイングラム2号機が毎度の様にぶっ放している。
宝島社刊『別冊宝島 機動警察パトレイバークロニクル』よれば、アニメ作品において通算241回の発砲が確認されているらしい。
同火器は彼の迷台詞である、「俺に銃を撃たせろ」と共に在ると言っても過言ではない…が、いちおう彼の名誉のために言っておくと、太田(が操縦するレイバー)の射撃技術自体は非常に高く、複雑に動きまわらない目標ならほとんど中央に当てる技術を持っている。
当たらないのは誤射によるレイバー塔乗員の殺傷といった人的被害を避けるため、暴れる機体の末端を狙うが故であり、この点は隊長の後藤もしっかり気付いていた。発砲癖については特に責めておらず、むしろ主人公の野明に対して「射撃精度が悪い以上、野明が銃を使わないのは正解」と評している。