概要
ワライカワセミと同じで「鳴き声が笑い声みたいだから」名付けられたフクロウの仲間。体長40cmほどで、フクロウらしく夜行性。
"笑い声"は高笑いのような感じだったとされるが、笑っているというよりも誰かが騒いでいるようなやかましさだったという記録も。
同じフクロウ類の絶滅種であるオルニメガロニクス(4400年くらい前に絶滅)ほど極端ではないものの、やはり脚が長めで翼は短いという体格だったため、長い時間は飛べなかったという。
仕留めた獲物は地上で食すというスタイルもそのオルニメガロニクスと同じ。
さすがに彼のような「地上ドタバタ大爆走」なんて事はせずに樹上から奇襲するスタイルだったようだが。
ちなみにワライカワセミは今も元気に生きているが、ワライフクロウは残念ながら1914年に絶滅。
この年はかのリョコウバトのマーサ(飼育されていた最後の個体)が死に、リョコウバトが絶滅した年でもある。
絶滅の原因
ズバリ人間のせい。
この手の話は決まって
「食用などのため無慈悲に狩り尽くされた(リョコウバトやステラーカイギュウやオオウミガラスなど)」
か、
「害獣なので駆除されまくった(ニホンオオカミ、エゾオオカミ、フォークランドオオカミ、フクロオオカミなど)」、
「生息していた場所に天敵がいなかったため、そこに持ち込まれた外来種に駆逐されて滅びた」
のどれかだが、ワライフクロウは一番下のパターン。
元々ニュージーランドには天敵となるような捕食者がおらず、本来生態系の真ん中辺りに位置するこの鳥が実質的なトップ。
これはドードーやスチーフンイワサザイなども同じような事情であった(飛べること以外)。
そのニュージーランドに人間が入植したのに伴ってネズミやウサギが現れたが、彼らは難なくハンティングできる相手なので、この鳥にしてみれば「獲物増えたんですかやったー!」状態だった。
しかし野生化したウサギはあまりにも急速に増えていき、住民の畑や作物を荒らすので、これでは困るということで肉食動物であるイタチやオコジョが参戦。
ワライフクロウにとっては「変なゲスト増えてるじゃないすか!」とでも言いたくなった事だろう。
ついでに笑い声が面白いのでペット用に乱獲されて数が減っていった。
で、元々天敵がいないところに肉食獣が放たれたという状況。
この手の話のお約束なので諸君も察しはつくだろう。
そう、当然彼らが野ウサギやネズミだけを都合良く狩ってくれるはずもなく、ワライフクロウまでおいしくいただき始めたのだ。
野ウサギは激減したが、それ以上にワライフクロウも犠牲になった(他にも色々なところで影響は出ていたらしい)。
彼らに紛れて乱入した肉食系ネズミも卵やヒナを食い荒らし、ワライフクロウは絶滅に追いやられたのだった。
余談
ワライフクロウは絶滅したが、「どこかで生き残ってるかも」と一部では期待されている模様。
その根拠が「卵のカラの発見例」との事だが、真新しい巣があったとかそれっぽい鳥を見たとか鳴き声を聞いたとかいう有力情報はまったくないため、この程度で生存説はあまりにも説得力がない。
もしかしたら本当に生存しているのかも知れないが、現時点では完全に絶滅したと見なすしかなさそうだ……。
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→フクロウ絶滅種の先輩。彼はキューバ在住だった。
→笑っているような鳴き声の鳥つながり。こっちはオーストラリア在住。
→絶滅年の同期生。北アメリカ在住だった。