彼らが盗んだのは"キズナ"でした
概要
2018年6月8日公開の日本映画。『そして父になる』『三度目の殺人』の是枝裕和監督が、家族ぐるみで軽犯罪を重ねる一家の「家族の絆」を通して、人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマ。
第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドール受賞したほか、第91回アカデミー賞では日本映画では10年ぶりとなる外国語映画賞ノミネートを果たすなど、海外でも高い評価を獲得。第42回日本アカデミー賞では最優秀作品賞を含む8部門で最優秀賞を受賞した。
あらすじ
東京の下町。高層マンションの谷間に取り残されたように建つ今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦・息子の祥太・信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金。足りない生活費は万引きで稼いでいた。社会の底辺にいるような家族だが、いつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしている。
冬のある日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子・ゆりを、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの少女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラになり、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく……。
登場人物
- 柴田治 - リリー・フランキー :本作の主人公で日雇い労働者。
- 柴田信代 - 安藤サクラ :治の妻。クリーニング店の店員。
- 柴田亜紀 - 松岡茉優 :信代の妹。JK風俗店に勤務している。
- 柴田祥太 - 城桧吏 :治の息子で親子で万引き行為をしている。
- ゆり - 佐々木みゆ :治が連れて帰った少女。実は児童虐待の被害者。
- 柴田初枝 - 樹木希林 :治の母で年金生活者。
- 4番さん - 池松壮亮 :風俗店の常連客。発話障害があり、亜紀とは筆談で会話する。
スタッフ
監督・脚本・編集 - 是枝裕和
助監督 - 森本晶一
音楽 - 細野晴臣
音響効果 - 岡瀬晶彦
撮影 - 近藤龍人
美術 - 三ツ松けいこ
余談(ネタバレ有り)
松岡演じる亜紀は「さやか」という源氏名でJK風俗店に務めており、常連客である4番さんに対してあのシーンを見せつけたが、PG-12指定という事もあり僅か数秒程度であったがこれ以上長かったらPG-15指定になっていた事だろう。
この作品の名誉の為に書いておくが本来なら亜紀は初枝から生活費を入れなくていいと言われているものの、心の中ではそれだけでは生活できないと分かっている為にやむなく務めざるを得ない状況に陥っている。
ちなみに、松岡は役作りのために実際に是枝監督とともに風俗店に足を運んだとのこと。
あるシーンでの安藤サクラの演技が海外の俳優からも絶賛されているが、実は当該シーンは脚本なしのアドリブだった(安藤サクラ演じる柴田信代に、ある質問をする登場人物からのみ見える位置に置かれたホワイトボードに質問内容を書き、どう答えるかは安藤サクラに任されてる)。
また、本作の(日本での)正式タイトルが中々決らず、英語版タイトルの「Shoplifters」が先に決ってしまった為、それを日本語に意訳して現在のタイトルとなった。
その為、撮影スタッフが現場で着用していたTシャツには、「万引き家族」ではなく仮タイトルの「声を出して呼んで」のロゴが入っていた。
なお、この家族についてのある秘密が明かされる前に、互いが互いをどう呼んでいるかによく注意していると……?
関連イラスト
予告編
関連タグ
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