概要
かつてJR西日本が営業・運行していた鉄道路線の1つ。広島県にある三次駅と島根県にある江津駅を結ぶ全線108kmの路線であった。全線非電化・単線。
1930年に島根県側の江津駅-川戸駅間がまず開業、その後1937年までに浜原駅まで伸びたものの、長年この駅が島根県側の終点になってしまっていた。しかも、広島県側については1955年になってようやく三次駅-式敷駅間が開業する有様で、さらに口羽駅まで伸びたのは1963年のことだった。そして残りの浜原駅-口羽駅が開業したのは1975年になってからであり、全線開業まで45年もかかってしまった。江の川に沿って線路を敷いたのは良かったものの、恐ろしく遠回りになってしまった。もっとも、全通時には過疎化がすでに始まっていたが……
というのは実はすべて余録であり、最大の問題は村落が存在している江の川の対岸に線路を敷いてしまったこと。この為ほとんどの駅は大回りして橋を渡らないといけないという計画したやつ出てこい状態で、沿線の過疎化という点ではどっこいの木次線や芸備線などと比べても駅が生活の拠点となるということすらない有様、挙げ句の果てには輸送密度がJRの運行中の路線で最下位、超が三つ付くほどのローカル線となる程の有様であった。2012年には増便実験が行われたが、乗客増は2割程度であり悪あがきにしかならなかった。
利用者が全く増えないどころか減少しているうえ、増やす手段がまったく皆無なため(仮に人口が増えてもそもそもクソ不便なため自動車利用となり三江線は使われない)、ついにJR西日本は2016年9月1日に三江線の廃止を表明、2018年3月31日をもって運行を終了、翌日の4月1日付で廃止する事となった。JR発足後、本州で100kmを超える鉄道の全線廃止は初となる。
車両・運行本数
運行末期は「三江線色」を身にまとったキハ120形による普通列車のみの運転で、江津駅-浜原駅間と口羽駅-三次駅間が5往復、浜原駅-口羽駅間が4往復となっていた。運行本数が極端に少なく、5時間以上運行されない時間帯があった。
駅一覧
駅名 | 乗り換え路線 | 備考 |
---|---|---|
江津 | 山陰本線 | |
江津本町 | ||
千金 | ||
川平 | ||
川戸 | ||
田津 | ||
石見川越 | ||
鹿賀 | ||
因原 | ||
石見川本 | ||
木路原 | ||
竹 | ||
乙原 | ||
石見簗瀬 | ||
明塚 | ||
粕淵 | ||
浜原 | ||
沢谷 | ||
潮 | ||
石見松原 | ||
石見都賀 | ||
宇都井 | ||
伊賀和志 | ||
口羽 | ||
江平 | ||
作木口 | ||
香淀 | ||
式敷 | ||
信木 | ||
所木 | ||
船佐 | ||
長谷 | ||
粟屋 | ||
尾関山 | ||
三次駅 |
代替交通
他の廃路線同様に代替の路線バスが運行を開始したが、旧三江線の全線を通しで運行するバスが存在しないばかりか、そもそもバス路線自体が鉄道線のルートを全く踏襲しておらず、特に広島県および邑南町内は全くのゼロベースで路線網自体を再編している。このことは、三江線のルートがそもそも沿線住民の生活動線と全く合っておらず、ルートを計画した人間のアホさ加減が見て取れる。需要の低下で廃止となった鉄道路線は多いものの、そもそものルートが住民の動線を無視していたために使い物にならず廃止された路線は、新幹線の開業で住民の動線自体が変わった十和田観光電鉄や栗原電鉄、長野電鉄屋代線のような例を除けば非常に珍しい。
余談
2012年10月、JR西日本三江線沿線自治体で構成される「三江線活性化協議会」が同線観光キャンペーンにあわせて萌えキャラ「石見みえ」が登場していた。詳しい概要は「石見みえ」の記事を参照。