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本記事では運営会社及び運営路線の「高千穂線」について記載する。


会社概要編集

宮崎県西臼杵郡高千穂町にかつて存在した第三セクター鉄道会社で、株式会社。略称はTR

1984年(昭和59年)6月22日に第二次特定地方交通線に指定され廃止承認された日本国有鉄道(国鉄)の高千穂線を継承する為、1988年(昭和63年)12月4日に設立。1989年(平成元年)4月28日九州旅客鉄道(JR九州)から高千穂線を引き継ぎ運営していた。

本社は高千穂駅駅舎の向かい側に存在していた。株主は宮崎県を筆頭に沿線自治体や延岡市に所縁のある旭化成等。


天岩戸伝説等の神話の舞台となった高千穂町や高千穂峡といった宮崎県有数の観光地を沿線に抱え、高千穂線名物の東洋一の高さを誇る「高千穂鉄橋」を活用して展望車やトロッコ列車を導入し、経営改善兆候が見られていた。

しかし2005年(平成17年)9月6日台風14号「ナービー」による暴風雨の為全線に渡り甚大な被害が発生。当初は被害の比較的少なかった高千穂町側での復旧を検討していたものの、結局2007年(平成19年)9月6日延岡駅槇峰駅間、2008年(平成20年)12月28日に槇峰駅〜高千穂駅間がそれぞれ廃止され、1月6日に会社を解散、3月末をもって清算完了し法人格としての高千穂鉄道は消滅した。


路線データ編集

路線名高千穂線
路線区間延岡〜高千穂
路線距離50.0km
軌間1,067mm
駅数19駅
最高速度95km/h(車両性能)
非電化区間全線
単線区間全線
閉塞方式特殊自動閉塞式
第一種鉄道事業者高千穂鉄道
廃止日
  • 2007年(平成19年)9月6日:延岡〜槇峰
  • 2008年(平成20年)12月28日:槇峰〜高千穂

路線概要編集

延岡駅(宮崎県延岡市)と高千穂駅(西臼杵郡高千穂町)を結んでいた高千穂鉄道の鉄道路線。国鉄時代に第二次特定地方交通線に指定されていたJR九州高千穂線を転換して1989年4月28日に開業した。


本来は現在の南阿蘇鉄道高森線高森駅(熊本県阿蘇郡高森町)まで線路を繋げ、JR九州豊肥本線(阿蘇高原線)区間の熊本駅(熊本市西区)〜立野駅(阿蘇郡南阿蘇村)間を併せた熊本駅〜延岡駅間の九州横断鉄道路線として計画され、1935年(昭和10年)2月20日鉄道省日之影線として延岡駅〜日向岡元駅間が開業。

最終的に1972年(昭和47年)7月22日鉄道公団の建設区間である日之影駅(後の日之影温泉駅)〜高千穂駅間が延伸され、路線名が高千穂線に改称された。


その先の区間も建設が行われていたが、1975年(昭和50年)2月、高森駅に程近い高森トンネル内で誤って地下水の大元の水脈を切断してしまい大規模な出水が発生。熊本県阿蘇郡高森町内にある8箇所の湧水が枯渇し、井戸水を利用していた1082世帯が水道を使用できなくなる等の被害を受け、農業用水としても使用出来なくなってしまった。

住民からの切実な要望もあり鉄道公団は井戸の試作を行うが、結局新たな水脈を発見出来ないまま1977年(昭和52年)12月に工事を中断。被害者への補償や国鉄の財政悪化、モータリゼーションの進展等により1980年(昭和55年)の国鉄再建法成立も相まって遂に正式に工事が中止され、未成線となった。


なお未成線のうち高千穂町内の葛原トンネル内及び周囲は神楽酒造の貯蔵庫及び「トンネルの駅」として、出水時の起きた高森トンネル入口は「高森湧水トンネル公園」としてそれぞれ整備された。


会社概要の項で記載した通り、宮崎県有数の観光地を沿線に抱えている為観光列車を運行する事で利用者の確保に奔走し、国鉄・JR時代に比べ一定の成果を挙げていた。


しかし2005年9月6日の台風14号によって甚大な被害を受け、全線が運休し、沿線自治体の支援を受けられなかった事から復旧を断念。2006年(平成18年)3月に高千穂町関係者により設立された「神話高千穂トロッコ鉄道」(現・高千穂あまてらす鉄道)によって復旧を目指したものの、前述の通り最終的には全線が廃止された。但し同社は現在も旧線区間の高千穂駅〜高千穂鉄橋間でスーパーカートによる遊具扱いの保存鉄道を運営しつつ、まずは日之影温泉駅まで、次いで槇峰駅、最終的に延岡駅までの全線復旧を目指している。


運行形態編集

高千穂鉄道への転換後は1両編成はワンマン運転、稀に運行される2両編成は車掌が乗務していた。日豊本線への直通運転は転換後は行っていなかった。

転換時は普通列車のみ運行されていたが、これに加えて1991年(平成3年)から2003年(平成15年)まで指定席の展望車を連結した快速「たかちほ号」が、2003年から運行休止までトロッコ車両を連結した「トロッコ神楽号」が運行されていた。

運行頻度は概ね1〜2時間に1本。国鉄・JR時代は日之影駅(当時)発着の列車も設定されていたが、転換後は全列車が全区間を走破していた。


駅一覧編集

高千穂線編集

●:停車 レ:通過

駅名トロッコ乗換路線備考
延岡JR日豊本線
西延岡
行縢
細見
日向岡元
吐合
曽木
川水流
上崎
早日渡
亀ヶ崎
槇峰
2007年9月6日廃止/↓2008年12月28日廃止
日向八戸
吾味
日之影温泉
影待
深角
↓高千穂あまてらす鉄道による保存区間
天岩戸
高千穂

未成線編集

※未開業の駅名は工事時点の仮称

駅名接続路線備考
高千穂高千穂線終点
上野
田原
河内
宮崎県/↓熊本県
日向泊
高森高森線

使用車両編集

高千穂鉄道転換後の車両のみ記載。全て高千穂車両基地所属の気動車。TR-300形以外には車両毎に愛称が設定されている。


開業時から運用されている車両で、TR-100形5両は一般形、TR-200形2両は観光用。

TR-101・TR-202は高千穂あまてらす鉄道による体験運転イベント用に高千穂車両基地跡で保存され、TR-104・TR-105は車体を半分に切断の上、日之影温泉駅の施設を利用した「TR列車の宿」として使用されている。またTR-202は廃止後に阿佐海岸鉄道に譲渡され、ASA-300形301号に改番の上で阿佐東線及びJR四国牟岐線直通列車として運用されたが、阿佐海岸鉄道のDMV導入に伴い2020年(令和2年)11月30日をもって運用を終了した。

なおTR-102・TR-103は廃止後解体された為現存しない。


  • TR-300形

転換後に観光用車両としてTR-301・TR-302の2両を導入。秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線急行「もりよし」やJR東日本奥羽本線直通列車で運用されたAT-8900形をベースとしている。

片運転台の為必ずTR-100形・TR-200形と連結して運用された。

TR-400形導入に伴い2003年9月30日に廃車。2両とも神楽酒造に譲渡され、8620形蒸気機関車と共にトンネルの駅入口で保存されている。


  • TR-400形

高千穂鉄道車両

2003年にTR-300形に代わって導入されたトロッコ用気動車。実働僅か2年で高千穂線が休止され、導入後5年で全線廃止されてしまった。実働期間が短く車暦も若かった為JR九州に売却され、日南線D&S列車として特急海幸山幸」で運用されている。


関連項目編集

第三セクター 廃線 日豊本線 豊肥本線 南阿蘇鉄道

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