概要
朝鮮人民軍陸軍が多数保有する自走砲の一種。主体砲(チュチェポ)という名は北朝鮮での呼称とされており、主体思想に由来する。米国防総省が与えたコードネームは「コクサン」。黄海北道谷山(コクサン)郡で最初に確認されたため、こう呼ばれている。
海外にも輸出された。詳細は以下項目を参照。
M-1978
1978年に確認された。T-54/55または中国製59式戦車の車体に170mmカノン砲を搭載。砲は砲架を介して搭載されており剥き出しである。車体後部には発射時の衝撃を抑える駐鋤を装備している。車体には砲弾や人員を収めるスペースは無く砲弾、人員輸送や補給は別途車両が行う模様。
射程は40km程とされており、他の自走砲と併せて軍事境界線に配備されていると推測される。
M-1989と交替して退役したと思われていたが、金正恩政権に移行後もまだ現役を務めているらしく、金正恩第一書記が現地指導する画像にてその姿が確認されている。
20両程がイランに輸出され、イラン・イラク戦争にてイラクへの砲撃に使用された。その後イラクが鹵獲した車両が湾岸戦争にて発見された。この車両はイランが独自に開発したもので、東ドイツのBLG-60架橋戦車にソ連製S-23 180mm砲を搭載しており見た目は似ているが実質別物である。米軍がイラクのアンバル大学近くで発見、イラク側の許可の下調査された。
M-1989
1989年に確認された。同じく170mmカノン砲を搭載するが、車体はT-62から派生した天馬号でキャビンを備えており、砲弾や人員を収めるスペースが確保されている。外見はソ連の2S7ピオンに近い。
射程は40km程で、ロケット補助推進弾(RAP)を使用すれば60kmにまで届くと推測される。
UAEに輸出された実績があるが、同国では既に退役済み。
カノン砲の謎
双方が搭載するカノン砲はネット上ではソ連製170mm沿岸砲とされる。しかし実際に外観が該当するものが見つかっていないためその正体、起源は不明である。第二次世界大戦でソ連が鹵獲したドイツ製野砲が朝鮮戦争時に供与され、そこからドイツ製がベース等とも言われるが未だに不明。射程をなるべく稼ぐためかかなりの長砲身で、高い圧力で砲弾を撃ち出せる。これにより長射程を実現可能な一方、その分かかる高圧力で砲身が破損する、寿命が短いといったデメリットもある。