概要
曲の発表、発売は1939年(昭和14年)。
それまで出征兵士の見送りの際には「日本陸軍」や「露営の歌」等が歌われていたが、前者は日露戦争前後の明治時代の軍歌で時代にそぐわない部分があり、後者は短調な曲調から厭戦気分を助長しかねないとされ、これらに代わる歌が求められていた。
大日本雄辯會講談社(現在の講談社)は陸軍省と連携して曲と歌詞の一般公募を行い、歌詞は兵庫県神戸市の一読者である生田大三郎の作品が、曲は歌手の林伊佐緒の作品が当選した。
林は講談社系列のキングレコード専属歌手であったが、一般応募で曲を送って当選したとされる。
一方生田については林が「神戸の大丸の店員だった」と証言している。
最初のレコードは林伊佐緒のほか樋口静雄、児玉好雄、三門順子、井口小夜子、横山郁子、永田絃次郎、長門美保と専属の人気歌手を総動員した。
この曲にかけるキングレコードの熱意には並々ならぬ物があり、レコードレーベルとジャケットも専用のものが用意されている。
更に、朝日映画社によって曲のPR映画まで製作されるほどの熱の入れようで、このために同年に発表され各社競作となった「空の勇士」の制作にはキングレコードは参加していない。
時勢に合致した歌詞と軍歌というカテゴリーやイデオロギーを抜きに考えても高い完成度を持つ曲により好評を博し、本来の出征兵士の歓送だけでなく軍民で愛唱され、軍歌の白眉ともいえる知名度を獲得した。
歌詞
著作権が有効であるので、気になった方々は各々調べてほしい。
作詞者の没年は不詳であるが、作曲の林伊佐緒氏は1995年没。パブリックドメインとなるのは2066年である。
レコード
レコードは1939年10月発売。
A面「出征兵士を送る歌」
レコード番号39001
作詞:生田大三郎
作曲:林伊佐緒
歌唱:林伊佐緒、樋口静雄、児玉好雄、三門順子、井口小夜子、横山郁緒子
B面「出征兵士を送る歌」
歌唱:永田絃次郎、長門美保
他にも河村順子、キング児童合唱団歌唱の児童歌唱版、行進曲として編曲された陸軍戸山学校軍楽隊演奏の行進曲版等の複数のバージョンが存在している。
戦後は林伊佐緒とボニージャックスが吹き込みキングレコードから発売した音源が存在する。