概要
1941年10月4日公開。
鉄道省の老機関士と鉄道連隊の若き機関特業兵が蒸気機関車の運転の指導を通じて交流し、機関特業兵が機関士として、人間として成長していく姿を描く。
すでに日中戦争が勃発し、太平洋戦争の開戦が近づく中での作品であり、戦意高揚を担う面も含まれる一方で、教え子が戦地に赴くことに苦悩する老機関士の姿が描写されるなど単なるプロパガンダ映画ではない。
また鉄道省の全面協力を受けC58の実機がほぼ全編にわたって登場。元国鉄職員である鉄道研究家の久保田博は「この映画の主人公はC58である」と評するほど本作の蒸気機関車の描写を高く評価していた。
主に撮影に使用された2両のC58のうち217号機が千葉県旭市の中央児童公園に保存されている。
映画冒頭の2両の蒸気機関車が並走する場面が有名で、『RAILWARS!』の原作およびコミック版ではオマージュらしき場面がみられる。撮影は佐倉駅付近の総武本線と成田線の分岐で行われたとされる。
夜間のシーンは当時のカメラでは光量が足りず、模型を使った特撮を使用している。当初は模型を新造する予定だったが、予算不足から鉄道博物館の1/10スケールの機関車を借用、客車を同一スケールで新造し背景の家屋は1/15で制作したとされる。
鉄道ファンの間で隠れた名作とも呼ばれる映画だが、過去にキネマ倶楽部からVHSが発売されて以来ソフト化されていない。
キャスト
老機関士・瀬木:丸山定夫
その長女・邦子:原節子
次女・咲子:若原春江
三女・好子:三谷幸子
機関員の兵士・佐川新太郎:藤田進
機関員の兵士・草野淳:中村彰
機関助士・北原:北沢彪
機関士・田町:藤輪欣司
機関助士・志村:津田光男
老炭水夫:横山運平
指導員:小杉義男
初年兵教官:沼崎勲
班長:柳谷寛
佐川の母:馬野都留子
スタッフ
原作:上田広
脚色(脚本):澤村勉
監督:熊谷久虎
製作:森田信義
撮影:宮島義勇
製作主任:佐伯清
歌:牧嗣人
後援:鉄道省・陸軍省報道部
検閲:鉄道省・陸軍省