剣咲

けんさく

アニメ『蒼穹のファフナー』における近藤剣司×近藤（旧姓：要）咲良のカップリング。

目次 [非表示]

1 概要

1.1 １期

1.2 劇場版

1.3 Preface of 蒼穹のファフナー　HEAVEN AND EARTH

1.4 ２期

1.5 公式イベント

2 関連タグ

概要

アニメ『蒼穹のファフナー』シリーズにおける近藤剣司×近藤（旧姓：要）咲良のカップリング。

１期

剣司は幼馴染である咲良に対して長年片思いをしており、要流合気柔術の有段者である両親から手ほどきを受け「島で最強の少女」と形容される咲良に認められるために真壁一騎に勝負を挑んでいた。しかし身体能力に長けた一騎に敵うことなく、毎回惨敗に終わっていた。

剣司は生前、母・彩乃の胎内にいる頃に父親・竜司を亡くしており母子家庭で育っている。そのため第１話で父親を亡くした咲良の辛さをよく知っており、そのうえでそばにいたいと思い無理をしてでもファフナーの訓練を受けようとする。（小楯衛談）松下朋未先生による漫画『蒼穹のファフナー』２巻巻末の番外編「赤-かじつ-紙」においても、訓練参加メンバーに咲良の名前を見つけた後にプロジェクトへの参加を決意する描写がある。そのため、剣司がプロジェクトへの参加を決意した背景には咲良への恋心が大きな要因として関わっていることが考えられる。

自分から父親を奪った敵を一体でも多く倒す、つまりフェストゥムへの憎しみを原動力とする咲良は次第にその力の限界を知ることとなる。１９話で島を襲ったコアギュラ型に同化されかけてから、「生きててよかったって思ってんの」（２０話）と本人が言うように、それまで抑えていた本心や弱音がここから少しずつ出てくる。それは同時に咲良の「憎しみ」という原動力を弱める結果となる。またその限界に彼女自身気づいており、合宿のシーンで剣司に「全然強さに結びつかなかった」と話している。

一方コアギュラ型との戦闘後、咲良が父を亡くしてから初めて泣くのを見た剣司。そして剣司の咲良への長年の想いが一気に溢れ出す。盆踊りでは「咲良のこと、守れるようになるから」と告白にも近い言葉を伝えたり、合宿シーンでは咲良の手を握り「俺がなってやるよ、お前の父さんみたいに」と積極的にアプローチをしている。咲良にとって、父親＝理想の男性像であり、剣司もこのことを知っていたため、このセリフは告白に近いものともとれる。

しかし着実に積み上げていった恋愛フラグはしっかり回収するのがこの作品のセオリーである。

２１話で久々に一騎へ挑戦状を送りつける剣司。それは「父親より弱い男はお断り」な咲良へ告白するためのものだった。だが、そんな剣司を待つために校舎裏へ向かう咲良を激しい頭痛が襲う。髪の毛が抜けおち「心が消えていく」ような意識の中、咲良は意識を失い、昏睡状態へと陥る。意識が失われていく中、咲良が手を伸ばして呼び続けたのは剣司の名前だった。

直後、フェストゥムが島を襲う。同化現象により昏睡状態に陥った咲良の代わりにカノン・メンフィスが配置され、戦闘は無事終了。招集されたメディカルルームで、剣司は目に飛び込んできた咲良の姿にショックを受ける。そんな剣司と咲良の仲を見守っていた衛まで次の戦闘で死亡。目の前で親友を失った剣司は自室へと引きこもってしまう。そんな剣司に優しく「守ってあげる」と伝えた母・彩乃まで次の戦闘で他界。半ば自暴自棄になっていた剣司を、咲良の母であり彩乃の親友でもあった澄美が引き取りに来る。その途中で一騎たちと遭遇し、剣司は泣きながら一騎に勝負を申し込む。この時、一騎は同化現象によって右半身が思うように動かせず松葉杖をついているような状態だったが、剣司の勝負を受ける。何度も一騎に投げ飛ばされながらも立ち向かう剣司。ようやく一本とった剣司は咲良への想いを口にし、再びファフナーに乗る決意をする。その後、剣司は蒼穹作戦に参加し、咲良が眠る島へ無事に帰ってくる。

劇場版

劇場版『HEAVEN AND EARTH』のPV映像で回復した咲良の姿が確認され、感涙したファンも少なくないはず。

１期終盤でミョルニアによってもたらされたデータによって回復、昏睡状態から目覚めた咲良。体に後遺症は残っているものの、調子が良い日は自力で歩けるまでに回復していた。

一方、剣司は咲良の面倒を見ながら、妻子を失い呑んだくれになっていた衛の父・保のもとへも通い、銭湯の清掃などを手伝っていた。咲良の負傷や衛の死の責任を感じている剣司の立場を思いやる咲良は、剣司の苦しみを共に背負おうとする。

新パイロットの訓練の面倒を見て「やられ役」を演じた剣司に「やられ役ご苦労様」と労いの言葉をかけ、そのうえに剣司の飲みかけの缶ジュースをひったくり間接キスをした後に「あたしも一緒に背負わせなっての」と剣司の目をまっすぐ見て伝えるシーンは何度見ても号泣ものである。大切なものを奪われた二人が手を取り合って「絶対に死んじゃダメだ。生き残らなきゃダメだ」というシーンは、このあとの２期にもつながる大事なシーンである。

HAEで再びフェストゥムが島に到来し、そのため咲良もパイロット復帰するが、その際の咲良の変性意識は１期での「敵への憎しみ」ではなく、「自由に動けることへの感謝」へと変化し、以前のような命を粗末にするような戦い方や戦闘への姿勢は見られなくなった。

劇場版後半で剣司と咲良も第二次蒼穹作戦に参加し、ボレアリオスへと乗り込みフェストゥムと闘う。本編ではふたりと西尾姉弟の生死は不明のまま終わっているが、インタビューで４人が生存していることが明らかにされている。

Preface of 蒼穹のファフナー　HEAVEN AND EARTH

TV版と小説版の1期、更にTVスペシャル版「RIGHT OF LEFT」をもとに、劇場版前日譚として『冲方ムック』に掲載された小説。

同化現象による後遺症の治療のため遠見医院に通う咲良の姿や、そんな咲良を学校まで自転車で送り迎えする剣司の姿が描かれている。剣司の存在が咲良にとって得難い安らぎをもたらしてくれるものだ、と一騎目線で語られている。

２期

剣司、咲良ともに１９歳。公式設定で恋人同士になっている。竜宮島学園中等部の保健医となった剣司と、竜宮島学園中等部体育教師となった咲良。剣司の「一騎のとこで飯食うか」に対して「あら、私の料理じゃ嫌だってわけ？」発言から、EXODUS１話の時点で剣司が未だに要家で生活している可能性が考えられる。（ただし、『冲方ムック』掲載の「蒼穹のファフナー　HEAVEN AND EARTH企画草案」では、咲良が回復するとともに要家を出て、もとの家で一人暮らしをしていることになっている。）

DVD、Blu-rayに収録されている１話長尺版では、「人の心配ばかりしてないで自分の好きなことをしろ」という咲良に「してるだろ。お前と飯食うとか」とさりげなくバカップルさを見せつけてくるふたりである。

またこの直前の、ふたりで喫茶楽園に入るシーンでは、杖をついて歩く咲良のためにカバンを持ちドアを開けてあげる紳士っぷりを見せつけ、１期の頃から剣司がどれほど成長したのかをしみじみ感じさせる。

２話では遠見真矢がラフな格好でメディカルルームに入ってくるシーンがあるが、一緒にいた皆城総士が顔を赤くしているのに対して、剣司は目をつむり「あのな～～」と困った様子でいるだけで、「彼女持ちリア充」と「片想いしていた女の子のラフな格好を見てしまった男の子」の違いを感じる。

ファフナーパイロット達の教官として訓練などの面倒を見ている咲良が「（パイロット達が戦闘から）帰ってきたら反省会ね」と憤るのに対して「その前に検査だ」と諌めたり、パイロット達の前で一騎に理不尽な仕打ちをする咲良に「まぁまぁ」と宥めたり、夫婦漫才を要所要所で繰り広げていた。

パイロットを引退していた剣司が、島を出て行く総士の代わりにジークフリードシステムに乗ることになる。システム搭乗からくる身体的負荷によって横になりながらも他のパイロットを心配する剣司に対して、「少しは自分の心配しなっての」と背中にビンタをかますシーンは、公式による１１話名シーン投票で２位にランクインした。

その後、同じくパイロットを引退していた咲良もカノンと共にパイロット復帰を果たし、システムに乗っている剣司と背中あわせで戦う様子が描かれる。EXODUSでの咲良の変性意識は、劇場版の「自由に動ける喜び」から打って変って、攻撃的かつ好戦的なものとなっている。咲良のSDPが発症した際には、剣司が咲良のことを心配するあまり指揮官としての冷静さを欠くシーンもあった。

その後、島を襲ったリヴァイアサン型とグレンデル型の影響で、咲良の母・澄美が人類軍からの核攻撃による被曝の症状のために倒れる。そんな澄美を「安心させてあげよう」と、剣司は咲良についにプロポーズする。劇場版の頃から「結婚しろ」「リア充爆発するな」と言われ続けたふたりの結婚式は鈴村神社で執り行われた。島の人間、そして衛や彩乃、誠一郎の遺影に見守られる中、式を済ませるふたり。

その後は剣司が彩乃と住んでいた家で2人で暮らす。ちなみに結婚指輪は金属加工の職人・御門昌和に作ってもらった模様。そんな結婚指輪をうれしそうに眺めて「近藤咲良、か」と呟く咲良。そんな嫁・咲良の手を握って「死んじゃダメだ」「２人で生きよう」というシーンは１７話でのカノンのシーンと同時に劇場版のシーンも彷彿させる。

島に帰ってきた総士に「おめでとう」と言われた際には、「近藤咲良で再登録よろしく」と剣司の腕を取り、剣司が顔を赤くさせることも。

その後、再び第四次蒼穹作戦に二人とも参加し、最終的に生き残るが、咲良の母であり剣司の後見人であった澄美は夫の眠る島と共に海の底へ沈むことを選んだ。