概要
豊田線の新規開業に伴う車両増備、及び豊田線から名古屋市営地下鉄鶴舞線への直通用車両として1978年に登場した。
1979年1月に営業運転入りし、同年7月から新たに開業した豊田線で地下鉄鶴舞線との直通運用を開始した。
設計は同時期に登場した6000系がベースとなっている。20m級片側4ドアの車体を持ち、貫通形スタイルの前面で、これは最終増備まで変わらない。
当時クロスシートを推進していた名古屋本線系統とは異なり、乗り入れ協定との兼ね合いからオールロングシートを備える。完全な通勤形仕様だが、カーテンは珍しく横引きタイプであるのが特徴。
走行機器は実績のある抵抗制御で、主制御器も6000系とほぼ同じ。加減速性能を重視し4両全てが電動車となっている。電動機の定格は6000系の端子電圧750V150kW×4基/ユニットから375V100kW×8基/ユニットへと改められた。
当時も乗り入れ先の鶴舞線車両は電機子チョッパ制御=回生ブレーキ装備車の3000系だったが、それぞれで主電動機出力が異なること、基本的に名鉄・地下鉄共々固定窓・車両冷房完備だったため車内温度の問題もなかったことから単純に走行距離だけで使用料相殺をしていた。
しかし常磐緩行線・千代田線の問題が飛び火し、名古屋市交通局が会計検査院の指摘を気にするようになったため、「次の増備車からは回生ブレーキを付ける」という条件でその後も既存車については単純な走行距離だけでの精算とした。111~115編成のうちこの時点での組成車両がこれに当たる。
また、1989年製造の116編成では制御装置に添加励磁装置が追加され、回生ブレーキが使えるようになったが、それにはこうした背景が存在する。
ここまでの車両が100系に分類される。
一方、地下鉄鶴舞線は名古屋市街地を経由して上小田井駅から犬山線と相互直通する計画であったため、名鉄はこの100系を犬山線向けにも増備する予定であった。
しかし、工事の完了まで相当の期間を要することから、逼迫する朝ラッシュ時の需要状況を打開するため100系を予定より大幅に早く導入し、犬山線の最混雑列車で集中的に運用させることとなった。ほか、名駅を経由して常滑線での運用も行われた。
基本仕様は116編成と変わらないが、4両編成を2本繋いだ8両編成での運用を想定し、ブレーキ管とジャンパ栓の増設を始めいくつかの改良が施されている。仕様変更を表すため車番が200番台に変更され、1から振り直された。
これらの車両は1991年に増備され、100系200番台に分類される。
1993年に漸く犬山線と鶴舞線の相互直通運転が開始されることが決定し、輸送力増強のため既存車両を全て6両編成に増結することとなった。
100系は編成中央に新造車2両を差し込む形で増結が行われた。この新造車は電動車・付随車1両ずつのユニットで、VVVFインバータ制御となっているのが最大の特徴である。そのほか機器類を中心に仕様変更が行われているが、車両番号は組み込まれる編成に揃えられている。
また、1994年には6両編成1本が増備された。この編成は電動車が3両で、全てVVVFインバータ制御となっている。この編成構成の違いから編成各車両の形式も他編成と異なり200系に分類されているが、車番は100系200番台の続番であり、215編成である。116編成や増結車も含めて非常にややこしいので要注意。
なお、この215編成が100系の最終増備車となった。
2011年から2013年にかけて、抵抗制御である111〜115編成内の4両をVVVFインバータ制御に改造する工事が行われた。この装置は瀬戸線用4000系に準じた最新型となっている。改造と共に電動車が5両→3両に減少した。
増結車は従来通りのままであるため、編成内で2種類のインバータ音を聞くことができる。
なお本系列の形式番号が3桁なのは、側面の車番表記に使用するメッキの数字が高価で費用を抑制するためである。
すべての編成に急行や準急の幕も入っている(211F以降は広見線・各務原線の幕もある)が、長らく日の目を見ることはなかった。2024年3月のダイヤ改正で犬山線の急行運用が名鉄車でも行われるようになったため、ようやく使われることに。
主要諸元
営業最高速度 | 100km/h(地下鉄線内は75km/h) |
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起動加速度 | 3.0km/h/s |
減速度 | 3.5km/h/s(常用最大)、4.5km/h/s(非常) |
歯車比 | 14:85=1:6.07 |
駆動方式 | 平行カルダン駆動
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制御方式 | 直並列組合せ抵抗制御+界磁添加励磁制御(3・4次車) |
電圧形PWMインバータによるVVVF制御(1・2・5・6次車) | |
制動方式 | 回生ブレーキ併用電磁直通式空気ブレーキ |
台車 | SUミンデン式軸箱支持空気ばね台車・住友金属工業製
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製造所 | 日本車輌製造 |
編成表
編成 \ 形式 | モ110 | モ120 | サ150 | モ160 | モ130 | モ140 | ※備考 |
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111編成 | 111 (Tc) | 121 | 151※ | 161※ | 131 (T) | 141 | 1次車・VVVF化済 |
112編成 | 112 (Tc) | 122 | 152※ | 162※ | 132 (T) | 142 | 1次車・VVVF化済 |
113編成 | 113 (Tc) | 123 | 153※ | 163※ | 133 (T) | 143 | 2次車・VVVF化済 |
114編成 | 114 (Tc) | 124 | 154※ | 164※ | 134 (T) | 144 | 2次車・VVVF化済 |
115編成 | 115 (Tc) | 125 | 155※ | 165※ | 135 (T) | 145 | 2次車・VVVF化済 |
116編成 | 116 | 126 | 156※ | 166※ | 136 | 146 | 3次車・添加励磁制御 |
211編成 | 211 | 221 | 251※ | 261※ | 231 | 241 | 4次車 |
212編成 | 212 | 222 | 252※ | 262※ | 232 | 242 | 4次車 |
213編成 | 213 | 223 | 253※ | 263※ | 233 | 243 | 4次車 |
214編成 | 214 | 224 | 254※ | 264※ | 234 | 244 | 4次車 |
編成 \ 形式 | ク210 | モ220 | サ250 | モ260 | サ230 | モ240 | ※備考 |
215編成 | 215 | 225 | 255 | 265 | 235 | 245 | 6次車・200系 |
・斜字は100系200番台、太字は200系。
・※印付の車両は増結用の5次車。
・VVVF化済の編成はモ110・モ130を付随車化。