概要
脚本：金城哲夫
監督：円谷一
特殊技術：的場徹
テレビドラマ『怪奇大作戦』第6話。
吸血鬼になった女性とその恋人の男による殺人を描く。
あらすじ
高倉ニーナと山本周作はドライブデート中にトラックと衝突事故を起こし、助手席に座っていたニーナが死んでしまう。
葬式に来た周作は娘を殺したと養父に罵られて追い返されてしまった。
だがその夜に雷鳴と共にニーナは醜い顔の吸血鬼となって蘇り、通りかかった警官の血を吸い殺害してしまう。
そして2日に1度の割合で失血による死体が多発し、その中にはニーナの養父である高倉氏も含まれていた。この連続した失血殺人事件に際してSRIは売血業者の仕業ではないかと推測する。
大分県警はSRIに操作の協力を要請し、依頼を受けた牧と野村が別府へ向かう。二人は現場で行方不明になっていた周作とニーナを目撃した。
どうやら事件の前の晩である1週間前から滞在していたようだった。
的矢所長は高倉の妻から、ニーナはポーランドで引き取った養女で、しかも死後棺の中から蘇ったと聞く。また周作は汚職問題で新聞を騒がせた資産家の次男坊で父の汚職騒ぎ以来から瘋癲の仲間になって薬物中毒になったりとすさんだ生活を送っており、その頃からニーナと付き合っていたと言う。
牧と野村は二人が泊っているホテル白雲山荘で張り込みを敢行、周作は血を求めるニーナの為に野村を手にかけようとするも失敗、襲われた野村は牧にニーナは吸血鬼の末裔で交通事故のショックで吸血鬼としての本能が覚醒してしまったと推測するが牧に一笑に伏されてしまう。だがその後、周作はニーナをホテルから連れ出してしまった。牧と野村はニーナによる被害を防ぐべく大分県警に全市非常警戒を頼みつつ、本部へ連絡した。
ニーナと周作の部屋には周作の置手紙があった。
「私はニーナを愛し続けました。血に飢えた彼女に血を与え続けたのも私の変わらぬ愛の証だったのです。しかし、ニーナをこれ以上生かす事は犠牲者を増やす事になります。私はこれまでの罪を自ら償う為にこのホテルを出ます。どうぞ私とニーナを追わないでください。私達は二人だけの静かな世界へ旅立つのですから」
周作はニーナが吸血鬼になっている事を知りながらも愛の為に他者を襲うように仕向けていた。高倉を殺したのもニーナ本人であった。だが殺人を繰り返していくことには心を痛めているようだった。
そして的矢が高倉の妻を連れて別府へ来た。そして二人が近海にある高島という無人島に渡った事を知る。
一行はそこへ向かったが、周作は彼らの前でニーナと共に崖から飛び降り自ら命を絶ってしまった。
ニーナはなぜ蘇ったのか。本当に吸血鬼の末裔だったのか。すべては謎のまま事件は幕を閉じた。
高倉ニーナ
デート中に交通事故で亡くなったはずだったが雷鳴と共に棺の中から蘇り吸血鬼になった。
高倉（一部資料では「朝倉」と記載されている）がポーランド大使館に勤務していた頃に養女としてもらい受けたらしく、孤児院の話では冬の寒い日に産着だけ着せられて凍り付いたように捨てられていたと言う。これだけでも怪しいがとんでもない生命力があったようだ。
吸血鬼になってからは48時間ごとに血を求めるようになる。吸血鬼の姿はお岩のような醜い顔となる。
素性もわからないのだが吸血鬼ドラキュラの末裔ではないかと野村は推測している。
蘇った直後に警官を殺害し、それを皮切りに養父を含む人々を手にかけていく。
東京から恋人である周作と共に別府へ駆け落ち、そこでも殺人を行っていたが殺人行為に耐えられなくなった周作と共に高島の崖から身を投げて死んだ。
余談
トラウマ回?
『怪奇大作戦』の主題である「科学」から外れた異色回。
放送当時吸血鬼としてよみがえったニーナのおどろおどろしい顔の影響で以後『怪奇大作戦』を見られなくなった視聴者がいたとされる。
また2019年にBD-BOXが発売された際のTVCMの冒頭がニーナのおどろおどろしい顔であり、後日お詫び（を兼ねた『マイティジャック』BD-BOX発売の告知）CMが放送された。
ゲスト出演者
山本周作役は『ウルトラマンA』の梶洋一役でおなじみ中山克己。
ニーナ役はローラ・マン。吸血鬼と化した姿は飯田テル子が演じた。
大分県警の矢ヶ部刑事役は『ウルトラセブン』マナベ参謀役でおなじみ宮川洋一。
高倉（一部資料では「朝倉」）慎一郎役は斎藤英雄、妻の佐和子役は徳大寺君枝。
その他ニーナに殺されてしまう警官役で越後憲、検査官役で緒方燐作（クレジットは「紡方燐作」）がゲスト出演している。
