概要
米田一基率いる、帝国華撃団の前身である対降魔部隊に所属していた陸軍の少佐。(資料によっては中尉。ただし、当時の日本軍では大きな功績を遺した戦死者を二階級特進させる事があるため、下記のように帝都防衛の基盤を作り上げたと言える彼も、この特例を受けた可能性がある)
後の葵叉丹である。愛刀は「二剣二刀」の一つである『光刀無形(こうとうむけい)』。
対降魔部隊時代、サクラ2、TVアニメ20話とそれぞれ微妙に髪型が変わっている。
米田が「本当の意味での天才」と評した優秀な技術者であり、かなりの秀才。光武等の花組の主戦力となる兵器の設計者であり、降魔戦争時において既に桜武から神武などの霊子甲冑、及び轟雷号や翔鯨丸の設計図を完成させていた。日本、後に海外でも結成された華撃団の礎を築いた人物である。
※図面は、ある人物が大切に保管している。曰く『ウチの大切な宝物!』とのこと
光刀無形
二剣二刀の一振り。持ち主の気分や野心を増幅し、希望や野望を達成せしめる力があるという。後に鬼王を経て、さくらの手に渡った。
闇神威搭乗時の叉丹や鬼王がしきりに「光刀無形の切れ味を~云々」と口にしていたところを見るに、魔操機兵の力をも増幅させうるのかもしれない。
TV版での最終決戦においては、さくらの放った「桜花放神」を全開放した妖力と共に受け止めるも、耐え切れずに折れてしまう。
葵叉丹
降魔戦争の際に消息不明となり、その後どの様な過程を経てかは不明ながら強大な妖力・妖術を身につけ、サクラ大戦の本編が始まる以前に天海を蘇生させ偽りの主人として悪の組織「黒之巣会」を結成。葵叉丹を名乗る様になった。
このような状態になった経緯は不明であるが、演じた家中氏からは『正義』を信じていたが故に叉丹になってしまった、と解釈されている。
黒之巣会においては、光武の発展機である専用機、漆黒の神威をはじめとする魔操機兵を開発していた。
黒之巣死天王としては「黒き叉丹」を名乗り、「くろきさたん」で「あおいさたん」なので何だか紛らわしい。
また初期設定によれば、「葵」の名の通り彼自身が徳川に連なるものであったということになっているが…。
六破星降魔陣を完成させた天海が帝国華撃団によって倒されると、自らは地下に潜伏し黄昏の三騎士をはじめとする降魔軍団を結成、彼らと数匹の下級降魔を従え正月に明治神宮を襲撃する。
その後、花組との戦いの中藤枝あやめを降魔殺女へ変化させ、自らの僕としてしまう。その際に強奪した魔神器によって、古の呪われた要塞「聖魔城」を復活させ世界を破壊しようとするも、決戦の末花組によって倒された。その時、魂の中にひそんでいた悪魔王サタンが復活する。
しかし、同じくあやめの中にあった大天使ミカエルの加護を得た花組によって、ついに滅び去ったのだった。
本編では彼が悪魔王サタンとなった詳細は不明であるが、小説版では徳川に仕えていた生前の天海が、人間達に敗れ負傷し日本に漂着したサタンを江戸の霊的防衛の核として組み込み(六破星降魔陣も本来の用途は破壊ではなくこれに関連した術であり、天海は叉丹の反魂の術で蘇生された際に記憶を改竄されていた)、その存在を知った葵叉丹が封印された状態のままで自らの肉体に取り込んだ事実が明らかになっている。
また、降魔達を操っていた事から叉丹自身も降魔と思われがちだが、彼自身は人間である(ゲーム本編では触れられていないが、公式設定集では人と明確に記述されている)
余談であるが、リメイク版である「サクラ大戦 〜熱き血潮に〜」では、本編以外にクリア後のおまけゲームの一つである「こいこい大戦」において、他の敵キャラクターと共に花札の対戦相手としても登場している。(ちなみに、もう一つの姿である悪魔王サタンも葵叉丹とは別枠で登場している)
サクラ大戦3の「カジノ大戦」と同じく、対戦相手は状況に応じて様々なセリフを口にするのだが、叉丹が圧勝した際のセリフは何故か華撃団のお馴染みである「勝利のポーズ決め!」。このセリフ以外に新録された家中宏氏の声は、初期の頃に比べて低く演じられているため、そのギャップは凄まじい事になっている。世界じゃなくプレイヤーの腹筋を破壊してどうすんだアンタ。
サクラ大戦2
光刀無形目当てと、ある男のついでに京極慶吾により蘇生される。この際は陸軍の軍服にマントを羽織った姿で、髪も降ろしている。
OPと第一話の最後のみに登場した揚句、捨て駒扱いで鬼王によって始末されてしまうという悲しい役回りではあったが、ここで本編において初めてはっきりと葵叉丹=山崎真之介であった事が語られる。米田曰く、彼は以前より「力だけを信じ過ぎていた」節があったようで、魔道に堕ちた所以もこれにあるようである(※1)。
ここでは神威の改良型である黒い闇神威を使用したが、復活したばかりだった為か必殺技がない等、充分な力を発揮出来なかった。
余談であるが、サクラ大戦4のラストでは、米田の見た対降魔部隊の面々の幻影として、上記の服装で登場している。また、サクラ大戦2を皮切りに山崎真之介として姿を見せる際は、左右両方の前髪を降ろすようになった。
※1……下記のTV版での降魔戦争当時のエピソードが特に顕著であるが、漫画版での紅蘭との“科学者として”の会話でも、自ら力への渇望を語っている。
サクラ大戦TV、および漫画版
TV版では、そもそもの目的が天海を復活させようというところから始まっているため、最初から敵の親玉として活躍した。作中では過去に天海が自らを封印するために使用した秘石「天封石(てんぷうせき)」を破壊(=封印解除)するために暗躍している。この作品での彼は使用する魔術や妖力も桁違いであり、後述のあやめに撃たれ傷を負った以降では肌の色も血の気が失せたように青白くなっており、より人間離れをしてしまっている。
神威もこの作品での脇侍と同じく、ある程度の機械部品に魔術を施し造り上げる、降魔兵器にも似たほぼ生身の機体であった。
人物像としてはゲーム版を準拠に普段は理知的で冷静沈着だが、その一方で主に怒りの感情で平常を失う脆さと危うさを併せ持っている(これらは漫画版においても共通している)。
特に後述の米田との決闘時とあやめに撃たれた際、その後の帝劇襲撃時が顕著であり、明らかに顔が普通じゃなくなってる場面が散見されている。
元対降魔部隊の一員としての剣の腕前も披露し、剣術の達人である大神やさくらを圧倒する程。さらに米田との一騎打ちも制し、彼の愛刀である『神刀滅却(しんとうめっきゃく)』を折った上に、原作とは逆に自らに対し使われた隠し玉の魔神器をも完全に防いでみせた。
また、恐ろしい事に本名で帝都をうろついていたり、帝劇でシンデレラを観劇していたようだ。花組や月組は何やってんだ。
その際に彼が差し出した名刺によると、「山崎商会」を経営する実業家という肩書きになっている。
葵叉丹時の髪型が、若き日のあやめ女史や真宮寺さくら嬢とおそろいのポニーテールである事や、さくらのブロマイドを見てニヨニヨしたり(しっかりパンフレットも買っている)、罠を仕掛けるという目的があったとはいえ、さくらに声を掛け喫茶店で長々と話し込んだりしているため、彼女のファンではないかという説もある(※2)。ちなみに、対するさくらも彼に好感を抱いていたようで、満更では無い様子だった。
さらには、お守り(大嘘)を渡し、それを通じて体調を狂わせたり、さくら自身の遠隔操作を行ったりしたものの、光武にかすり傷を付けさせた程度であっさり解放させており、その後に剣を交えたが、実はさくらには一切傷を付けていない(※3)。
(ちなみに初期案ではファンどころか「西条さくら」の実の兄という設定。髪形が同じなのもその名残りか)
彼にとっては、さくらが以前より何かと思うところがあった真宮寺一馬の息女という事も含まれているようだが、いずれにせよ彼女を特別視している模様。
他にはTV版での彼は、あやめを自力でモノにすることに拘りがあったらしく、あやめを降魔にすることもなく直接向き合ったが、2度の撃てる撃てない問答の末に、米田との決闘時にイプシロンのごとくあっさり撃たれてしまい発狂した。
さらに過去の降魔戦争のエピソードでは、光武の設計や降魔との戦いを経て、その焦燥感や無力感から、次第に狂気に目覚めていく様子が描かれている。
漫画版では叉丹があやめの精神に介入した際にも、前述とよく似たエピソードが展開されている。また、同作では米田との決闘時に叉丹を撃ったのはあやめと共に駆け付けた大神であり、叉丹が大神を殺害する際に彼を庇ったあやめを誤って刺殺してしまい激しい慟哭を見せるなど、違った形で彼女への拘りを見せている。
※2……アンソロジーコミックの一部では、TV版放送前の段階で実際にそのような内容のパロディ作品が作られていたりしている。純粋にファンであったり、一目惚れして追っかけ行為に走ったり……。あとパロディ系ならではとはいえ、やっぱり普通に帝都をうろついている。
※3……ただし、さくらと最初に剣を交えたエピソードでは、愛刀の『霊剣荒鷹』が刃こぼれを起こし戦意喪失した彼女に容赦無くトドメを刺そうとしている。
しかし、この際は咄嗟に庇ったあやめが彼女の身代わりになった事で無傷で済み、斬られたあやめも致命傷には至らなかった。そのために、一部のファンからは前述も含め「最初から彼女を手に掛ける気は無かったのではないか」という見解もされている。
舞台
2003年新春歌謡ショウ「初笑い七福神」ではゲストで家中氏が出演。
メインは長屋に住む、山崎のそっくりさんである「政吉」という役ではあったが、歌のシーンではなんと葵叉丹の衣装で登場し、あやめと共に踊り付きでパヤパヤ!と夜のサンバを熱唱した。
紅蘭と山崎真之介
同じ科学者であり、実質的に彼の後継者に当たる紅蘭との関係も興味深いものがある。
ゲーム本編やその他メディアにおいても、彼女からは尊敬と憧れを抱かれている。ところが前者では直接“山崎真之介として”会う事も無く、TV版でいざ対峙した際は彼の正体を知ってしまった彼女の説得を歯牙にも掛けず、彼女が大事にしていた光武の設計図を斬り捨てるなど、さくらと比較すると軽視されている傾向があった。
その代わりに、漫画版では過去に彼が「神武」の設計時に意図的に仕掛けた暴走要因を見抜き改良を施した彼女を評価し、お互いに科学者としての理念を語るシーンが描かれている。さらに、去り際に残した彼の忠告が紅蘭に大きな影響を与える事となるなど、前述以上に彼女と深い関わりを持つようになった。
関連イラスト
関連タグ
真宮寺一馬:対降魔部隊所属の大佐。上司。
米田一基:対降魔部隊所属の中将。上司。
藤枝あやめ:対降魔部隊所属の中尉。部下。