2019年(令和元年)6月18日に山形県沖を震源として発生した地震。
※なお、この地震について気象庁は命名を行っていない。
「山形県沖地震、山形県沖の地震、新潟・山形地震」と呼ばれたりする。
※この記事が最新情報を反映しているとは限りませんのでご注意ください。
概要
令和元年(2019年)6月18日に山形県沖を震源として発生したM6.7の地震。新潟県下越地方で震度6強を記録した。
なお、*震度6以上・津波の観測、PLUM法を使用した緊急地震速報の発表は令和初となった。
また、気象庁によると、1922年(大正11年)から2019年現在に至るまで、山形県内で震度6以上が観測された唯一の地震であるとしている。
本震
2019年(令和元年)6月18日の22時22分頃、山形県沖を震源とする深さ14kmのMj(気象庁マグニチュード)6.7/Mw(モーメントマグニチュード)6.4の地震が発生し、新潟県村上市で震度6強を観測した。揺れは西は福井県、北は北海道まで到達した。当初はM6.8とされていたが、のちにM6.7と訂正された。 なお、この地震で津波注意報を発表し、津波を観測した。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
6強 | 新潟県 | 村上市 |
6弱 | 山形県 | 鶴岡市 |
5弱 | 秋田県 | 由利本荘市 |
山形県 | 酒田市 大蔵村 三川町 | |
新潟県 | 長岡市 柏崎市 阿賀町 |
※震度4以下は省略
※緊急地震速報「マグニチュード6.8 最大震度6強」と予測し、発表しています(気象庁資料より)。
※山形県鶴岡市の一部地域では、震度6強~7相当の揺れを観測していた可能性がある。
長周期地震動階級
山形県で最大で階級3を観測した。
長周期地震動を観測した地域は以下の通りである。
階級 | 地方 | 地域 |
---|---|---|
3 | 東北 | 山形県庄内地方 |
2 | 東北 | 宮城県北部 山形県村山地方 |
中部 | 新潟県下越地方 | |
1 | 東北 | 青森県津軽北部 岩手県内陸北部 岩手県内陸南部 宮城県南部 宮城県中部 秋田県沿岸北部 秋田県沿岸南部 秋田県内陸北部 秋田県内陸南部 山形県最上地方 山形県置賜地方 福島県中通り 福島県浜通り 福島県会津 |
関東 | 茨城県南部 千葉県北東部 |
(出典:気象庁ホームページ長周期地震動より)
地震活動
その後も山形県沖~新潟県下越沖で余震と思われる地震が相次いで発生しており、最大で震度4を観測するM4.1の地震が発生している。
地震のメカニズム
西北西~東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型の地震となっており、「ひずみ集中帯」に位置しており、東西方向からの圧縮運動が起きているため、比較的大きな地震の多い場所となっている。
なお、周辺では新潟県中越地震や新潟県中越沖地震が発生している。
津波
気象庁は本震発生から2分後、山形県、新潟県上中下越、佐渡、石川県能登に津波注意報を発表した。M6クラスの規模でありながら、メカニズムが逆断層型であったこともあり、山形県で最大11cm程度の津波を観測し、他の日本海側の地域でも、微弱な津波を観測した。なお、津波注意報は本震発生の翌日の1時2分頃に解除された。
都道府県 | 観測点 | 津波の高さ | 最大波発現時刻 |
---|---|---|---|
秋田県 | 秋田 | 8cm | 19日1時42分 |
山形県 | 酒田 | 5cm | 18日23時35分 |
鶴岡市鼠ヶ関 | 11cm | 18日22時34分 | |
新潟県 | 粟島 | 5cm | 18日22時48分 |
新潟 | 8cm | 19日00時06分 | |
柏崎市鯨波 | 4cm | 19日01時18分 | |
佐渡市鷲崎 | 4cm | 19日00時24分 | |
石川県 | 輪島港 | 8cm | 19日00時07分 |
(出典:内閣府「山形県沖を震源とする地震に係る被害状況等について」より)
被害や影響
7月31日の時点で、少なくとも合計で43人がけがをし、各県合わせて6000人以上が避難をした。また、住宅被害は1281棟に上った。教訓のおかげで幸いなことに死者はでていない。
都道府県 | 負傷者数 | 住宅被害 |
---|---|---|
秋田県 | 2人 | 1棟 |
宮城県 | 5人 | |
山形県 | 28人 | 667棟 |
新潟県 | 7人 | 613棟 |
石川県 | 1人 |
(出典:内閣府「山形県沖を震源とする地震に係る被害状況等について」より)
この地震の影響で、落石や土砂崩れ、停電などが発生し、主に日本海側に影響を及ぼした。
震度6強を観測した新潟県では、複数箇所で道路が隆起したり、土砂崩れが発生した。村上市の国道345号線では、通りかかった軽乗用車が乗り上げる事故も発生した。また、山形県でも落石や土砂災害などが発生した。特に被害は鶴岡市に集中しており、温海川などの2つの河川に土砂が流入ている他、亀裂や段差が生じるなどの被害がでた。なお、鶴岡市では北海道胆振東部地震、東日本大震災でも起きた液状化現象が発生し、さらに鶴岡工高の天井裏の水道管が破損し、水漏れが発生した。
屋根瓦が落下した家もあり、現在(2019年7月)でも屋根がブルーシートで覆われている民家が多数存在する。
また、他にも秋田県で住宅の敷地にある高さ1m30cm程のブロック塀が幅およそ10mにわたって崩れた。
液状化現象
山形県鶴岡市のJR鶴岡駅前で、駐車場などに使用される約3000㎡の範囲で地盤の緩みによる液状化が発生した。なお、地盤が緩んだ場所での土砂災害などの注意を呼び掛けている。
停電
山形県と新潟県内において延べ9232戸で停電が発生したが、6月19日6時44分に全て復旧した。
なお、鼠ヶ関にある国土地理院の潮位計の観測データが、この停電と非常電源の故障により気象庁に送られていないことがわかった。そのため、実際に山形県で11cmの津波を観測している。
(出典:東北電力より)
関連項目
周辺の地震
新潟県中越地震:2004年(平成16年)10月23日 17時56分頃に新潟県中越地方を震源として発生した地震。阪神・淡路大震災以来9年ぶりに震度7を観測した。死者数は68人。
外部リンク
山形県沖の地震について(気象庁) ウェザーニュース 山形県沖を震源とする地震に係る被害状況等について(内閣府) ひずみ集中帯 地震本部 毎日新聞「新潟・山形地震 停電で津波情報送れず 地理院、非常用電源が故障」 日本経済新聞「山形大、鶴岡の地震を墓石転倒から推定 震度7の可能性も」