帰ってきたひげ船長!
かえってきたひげせんちょう
夜の暗い海辺に漂うグリーンの煙…
突如、黒い髭の船長の前に現れた海底の楽園!
それは、パラダイ星人の恩返しだった…
だが地上では、村人への怒りを込めてキングパラダイの報復が続く!
その時、MACは、ゲンは!?
みんなで見よう「ウルトラマンレオ」!!
MAC本部では、レーダーが謎の反応を捉えていた。反応はseaポイント6724で途絶えたことから、ダンは正体が潜水艇であり、海底へ潜ったものと推測。至急マッキー3号でパトロール中のゲンへ連絡を取り、seaポイント6724付近の海上捜索を要請した。
(場面転換)
時を同じくして、とある漁村の海岸にてトオルとカオルの兄妹が釣りをしていたが、トオルは折角魚がかかったにもかかわらず逃げられてしまう。すると、そこへ笑い声と共に立派な黒い髭を蓄え、パイプを咥えた男性が現れた。
彼は餌の付け方が悪いことを指摘し、代わりに餌をつけてくれた。二人が東京から来たことを見抜いたこの男性は、港に停泊していた漁船の船長であり、赤道を越えて遠くまで魚獲りに行ってきたのだという。
トオル達が感心していると、近くで騒ぎ声が。
見れば、村の漁師や子供達が群がっており、そこには緑色の長髪をした少年が棒を持った漁師や子供達にどつき回されながら助けを求めていた。
漁師A「人間じゃないぞコイツは!?」
漁師B「魚が獲れなくなったのはこの野郎のせいだい!」
漁師A「バケモンだ!殺しちまえ、殺しちまえ、殺しちまえ!!」
子供「可哀想だよ!バケモノじゃないよ、星人かも知れないよ?」
漁師B「そんなら尚のこと、殺せ!」
船長「やめろ!乱暴はよせ!可哀想じゃないか!!」
慌てて止めに入ったのは、船長と梅田兄妹。船長は星人を抱き上げ、漁師達から庇う。
そして船長が代わりにと取り出したのは、お守りの珍しいバロック真珠。それも2年前にインド洋でハリケーンにあった時も助かったとお墨付きの一品だった。
漁師らは「一思いに殺しちまわないと碌なことがないぞ」と渋りつつも諦めた。一方のトオルは、星人の子供を見たとゲンに通報。それを受けてゲンが間もなく村に駆けつけた。
トオルがゲンに事情を説明している間に、船長は星人を海辺近くの林へ連れて行った。何処から来たのかと尋ねると、星人は無言で海を指差す。彼が海から来た星人の子であることを知った船長は、誰かに見つかれば今度こそ殺されてしまうと弱る。そこへ、船長と星人を探しにゲンとトオル、カオルの3人がやって来た。船長は星人と共に隠れ、ゲン達が遠ざかるのを確認してから星人を一人で逃すことに。
「人間は怖い」と教えられた星人は、名残惜しそうに何度も振り返って一礼していたが、船長に急かされて走り去って行った。
星人はやがて波打ち際に辿り着き、両手を掲げて光を発する。
ナレーション「浜辺へ流れ着いて漁師達に殺されそうになったパラダイ星人の少年は、海底に潜むパラダイ星人の潜水艇に向かって救援信号を発した!」
海底には、大きな亀のような潜水艇が。信号を受け取った潜水艇は、ゆっくりと浮上を始める。
その夜、浜辺で煙草をふかしていた船長の元へ、あの星人の呼ぶ声が。
パラダイ星人「船長さーん!船長さん、昼間はありがとう!」
船長「まだ逃げなかったのか、捕まるぞ?」
パラダイ星人「大丈夫、船長さん!命を助けてくれたお礼に、いい所へ案内します!2時間後に、この場に来て下さい!」
船長「おい、誰か来た!逃げろ」
パラダイ星人「きっと来て下さいね!」
船長「あぁ…!」
船長が星人を逃した直後、そこへやって来たのはゲンとトオルだった。
トオル「船長さん!」
船長「やあ」
ゲン「探しましたよ!」
船長「あぁ…」
トオル「MACのおおとりさん!」
船長「あぁ、MACの事ならよく知ってるよ。あっそうか、俺が逃した星人のこと?」
ゲン「えぇ…」
船長「あれは悪い星人じゃないよ、俺に恩返しをしてくれるそうだ」
ゲン「恩返し?」
船長「俺を招待してくれるんだ、じゃ」
ゲン「あっ、待ってください!危険ですよそれは!」
船長「危険?」
ゲン「えぇ」
船長「人間の方がよっぽど危険だと思うがね、あんな可愛い星人の子を殺そうとしたんだからね」
ゲン「船長…!」
トオル「船長さん!」
船長「俺はもう船長じゃないんだ、去年は不漁でね…船から降りろと言われてるんだよ」
トオル「本当!?」
船長「魚が獲れなかったんだ…いや、獲らなかったのかな…他所の国の権利を侵してまで…しかし酷いよな、俺だって長い間あの船に乗って、インド洋からアフリカの方まで命を懸けてね…おおとりさんと言ったね?」
ゲン「はい」
船長「俺はあの星人の招提を受けるつもりだ」
ゲン「帰れなくなるかも知れませんよ?」
船長「ハハハ、冗談、冗談!」
ゲン「星人は?」
船長「知らない、昼間逃してやった…じゃ、お休み…しかし、俺がこの辺の漁師だったら、助けてやったかなぁ」
すると、突如悲鳴が。そこへやってきたのは、昼間の漁師。なんと彼が言うには、昼間出会った星人よりも大きな星人が追いかけてきたのだと言う。船長は寝ぼけていると相手にしなかったが、漁師は本当だと主張。親の星人が怒って仕返しに来たのだと言い、すっかり怯えてしまっていた。
ゲンは了承し、トオルを船長と一緒にホテルへ返す。別れる時、近くの草むらで緑色の煙と共に二人の星人が覗いていたことに、気付く者はなかった。海中の潜水艇も浮上を開始する…
(場面転換)
それから約束の2時間後。船長が岩場でパイプをふかしていると、あの星人の子供が呼ぶ声が。見れば、海上にパラダイ星人の潜水艇が浮上してきたのである!
船長が驚いていると、辺りは緑色の煙に包まれ、船長は姿を消した。そして潜水艇は、再び深い海底へ潜りゆく。
船長が連れられてきたのは、窓の外で数々の魚が泳ぎ回る不思議な部屋。壁にかけられたおたふくの能面の目が光り、船長に話しかける。パラダイ星人の女王だ。
女王「ようこそ、船長さん!」
船長「ここは…ここはどこだ?」
女王「我々の潜水艇の、貴賓室」
船長「貴賓室?」
すると、どこからともなく立派な椅子が降りてきた。
女王「どうぞ…」
船長「…どうも」
船長が座ると、椅子はひとりでに浮かび上がる。船長は笑顔でご満悦。
船長「こりゃあ楽だ、雲の上に乗ってるみたいだ!フフフハハ…」
すると今度は、クロスのかけられたテーブルが流れてくる。そこには、あのバロック真珠が置かれていた。
船長「あっ、俺のお守り…」
(場面転換)
その頃、すでに陸上は朝を迎えていた。昨日星人を殺そうとした漁師2人が、林の中で話していた。
どうやら真珠がなくなってしまったようだったが、独り占めする気だと思い込んだ片方と揉みくちゃの喧嘩になってしまう。その時、林の向こうから大人の星人2人が襲ってきた!
2人が大慌てで逃げた先には、ゲン達3人が。ゲンが星人の元へ銃を構えて向かうと、途端に星人達は緑色の煙と共に消えてしまった。立ち尽くすゲンにトオルらが駆け寄る。
カオル「きっと昨日の子供の星人の、お父さんと叔父さんよ!」
トオル「うん!」
ひとまず脅威は去ったので、ゲンは漁師達を安心させようと近寄る。
漁師A「助けてくれ…!」
ゲン「もう大丈夫だ」
漁師B「昨夜、俺を追っかけて来た奴らだよ!」
漁師A「俺達を殺そうとしやがったぁ」
漁師B「あんた、MACの隊員だろ?俺達を助けてくれ!」
ゲン「心配するな!」
トオル「おじさん達、星人の子供を殺そうとしただろ?だから仕返しに来たんだよ、きっと!」
カオル「そうよ!」
漁師B「助けてくれよ、なぁ!」
漁師A「夢じゃなかったんだな…」
ゲン「どうしたんだ?」
漁師A「昨夜、夜釣りの帰りに大きな亀のようなものが浮かび上がるのを見たんだ!」
ゲン「何!?」
(Aパート終了)
ゲンは岩場へ移動し、手がかりを探す。中々見つからないでいると、足元にはパイプが落ちていた。ゲンは拾ってすぐにそれが船長のものであることに気がつき、ふと波さざめく水面を見つめる。
その頃、海底の船長は潜水艇内で食事を楽しんでいた。窓の外にはエイやサメ、ウミガメが美しく舞う。宙を浮かんで次々並ぶご馳走達。ふと、何もない光る皿が落ちて来たかと思えば、フォークを突っ込むと光のパスタが巻かれる。船長は絶品料理の数々に舌鼓を打つ。今度はワイングラスも降りてきたので、船長は香りを堪能してからいただく。
昔々、浦島は
助けて亀に連れられて
竜宮城へ来てみれば
絵にも描けない美しさ
乙姫様のご馳走様に
鯛や比目魚の舞踊り
ただ珍しく面白く
月日の経つのも夢の内
女王「お料理は如何?」
船長「うん、うまい!こんな美味いものは食べた事がない、それにこのワインの様な酒の味!舌が蕩けるようだ」
女王「これっ…」
すると、空のグラスに自然とワインが湧き出て来た。無邪気に手を叩いて喜び、ワインを口に注ぐ船長。そして一服タバコを吸おうと服を探るが、どこにもない。
船長「パイプを落としたぞ…?」
すると手元のテーブルが光り輝き、何かの入れ物が現れる。開けてみれば、光り輝くパイプが入っていた。船長は驚きパイプを手に取る。
船長「黄金のパイプだ!」
女王「でも、そのパイプでタバコは吸わないでください…」
船長「大事にするよ。でも、どうしてこんなに親切にしてくれるんですか?」
女王「殺されそうになった私達の子供を助けてくれたからよ」
船長「地球の人間だったら誰だって助けるさ!」
女王「しかし、私達の子供を殺そうとした人間もいた…地球には心の中に悪魔の住んでいる人間もいる…!我々は悪魔が憎い…見ているがいい…!」
船長「…おい、返事をしてくれよ!?おい、おい…」
しかし、船長がいくら呼び掛けても女王は答えなかった。
(場面転換)
その頃、地上の村ではあの漁師2人が銛や鎌を手に歩き回っていた。すると、煙と共にあの少年が目の前に現れる。2人は仕返ししようと襲いかかるが、これは罠だった。たちまち岩陰から大人の星人2人が飛びかかり、1人を捕まえて殴り気絶させる。一方、少年は岩場で潜水艇の女王へ呼びかける。
パラダイ星人「女王様!地球の人間はやはり悪魔です、また僕を殺そうとしました!」
女王「あの2人ですね?お前はすぐ帰りなさい…人間は危険です、悪魔が住んでいる村を襲いなさい!」
同じく岩場にて大人の星人2人は指令を受け取っていたが、目を覚ました漁師に逃げられてしまう。もう片方の漁師は村に駐留していたゲン達MACに星人が襲って来たと駆け込み、すぐさまゲン達は星人を探しに向かう。すると、林の方から助けを求める声が。向かってみれば、星人2人に追われる漁師の姿があった。ゲン、梶田、白土は3手に分かれて探す。
漁師の男性は必死の抵抗を試み1人投げ飛ばすものの、囲まれてしまい叩きのめされる。しかしすんでの所でゲンが駆けつけたので星人2人は逃げ去った。ゲンはすぐ漁師を助け起こす。
ゲン「おい、しっかりしろ!大丈夫か!?」
漁師A「村が襲われる、村が襲われる…!」
ゲン「何だって?」
漁師A「子供が、俺の子供が村にいる…」
ゲン「子供?」
漁師A「そうだ、俺の子供がうちに…頼む、助けてくれ…!」
ゲン「あんたは星人の子供を、殺そうとしたんだぞ…!」
漁師A「悪かった…何もかも俺達が悪かったんだ…!」
ゲンもただ助けるのではなく反省を促し、それを見届けると星人を追う。マックガンを打ち鳴らし2人の星人を追い詰めると、2人の星人は空中へ跳び上がり、緑色に光って空中回転で重なり…
ナレーション「子供が殺されそうになったことに怒った2人のパラダイ星人は、合体して星獣キングパラダイに変身した!」
キングパラダイは尻尾を振り回してゲンを牽制し、鉄塔を破壊。引火して大爆発が起こる。
ゲンも連発される尻尾攻撃に怯んで倒れ、気絶。その隙にキングパラダイは村へ迫る。
(場面転換)
その頃、潜水艇では空飛ぶ椅子の上で船長はゆっくり昼寝をしていた。すると、彼を呼ぶ声が。
パラダイ星人「船長さん!やぁ」
そこには潜水艇へ帰ってきたパラダイ星人の少年の姿が。目を覚ました船長がそれに頷くと、潜水艇はどこかへ移動を始める。
(場面転換)
その頃地上では、マッキー2号と3号が荒れ狂うキングパラダイに猛攻を仕掛けていた。地上のマックロディーで本部と連絡を取り合っていた白土と梶田も、それにしてもすごい怪獣だなと思わず舌を巻く。
キングパラダイの尻尾は山に命中し、土砂崩れが発生。下の工場は大爆発し、罪なき村の人々が列を成して逃げ惑う。
更に空中から向かってくるマッキー2機に対してもキングパラダイは強い闘志を燃やし、口から水色の煙幕を吐き出し、更に頭の2つのヒレから鏃型のビームを連射。隊員はパラシュートで脱出したものの、マッキーが纏めてやられてしまった。続けてキングパラダイは村の家屋にもビームを発射し、次々と村は燃えゆく。この怪獣を止められるのは、もう誰もいないのだろうか。
否、ここに1人いる。気絶していたゲンは目覚め、燃え盛るコンビナートを目にして立ち上がる。
そして船着場へ移動し、その獅子の瞳を勇ましく掲げた!
ゲン「レオーッ!!」
ウルトラマンレオが降り立ち、キングパラダイとの戦いが始まった。まずは向かってくるキングパラダイを足払いで崩し、後ろからマウントを取る。しかし、キングパラダイの長い尻尾がレオの首に巻き付いた。そのままレオは吹っ飛ばされ、尻尾攻撃を受けるがジャンプで躱す。
その勢いでキングパラダイの首に飛び乗り攻撃。地面を転がって対峙し、突っ込んできたキングパラダイを巴投げで投げる。
キングパラダイは煙幕を張って姿を消し、レオの後ろに回ってビームを発射。しかしレオは華麗なバク転で回避し、工場を飛び越える。工場は代わりにビーム攻撃を受けて砕け散った。
悔しがるキングパラダイの隙をつき、レオはジャンプでキングパラダイの背後に飛ぶ。そして尻尾を掴んで地面を打ち鳴らし、更に結んでしまう。これで尻尾攻撃はできなくなった。そのまま尻尾を振り回してスイングで投げ飛ばし、ダウンしたキングパラダイに飛び乗るレオ。そして、頭のヒレを両方とももぎ取り、ビーム攻撃をも封じてしまった。引きちぎられたヒレから激しい火花が散る。
すぐに距離を取ったレオにキングパラダイはアルマジロの如く丸い姿になったが、レオも2枚のヒレを手裏剣の様に投げつけて爆破。堪らず元に戻ったキングパラダイに、ここぞとばかりにレオは激しい打撃や投げて攻めに出る。尻尾を狙って弾き飛ばされるも、前転の勢いをつけた両足蹴りで逆襲。再びキングパラダイを投げ飛ばすと、キングパラダイは転がりながらまた丸くなって転がり、そのまま空を飛んで逃亡を図る。
だが、そうは問屋が卸さない。レオは掲げた左手に右手を重ね、それを大きく広げる。そして額のビームランプの前で両拳を重ね、一気に開くと共に光線を発射。これぞレオの隠し技・レオクロスビームだ!
一発目は外したものの、二発目が命中。キングパラダイは粉微塵に吹き飛んだ。レオは勝利を掴み、飛び立つ。
(場面転換)
海岸で座る梅田兄妹のもとへ、ゲンは帰還。浜辺で抱き合う3人。その頃、帰ってきた船長は岩場に座り、タバコに火をつけていた。
ナレーション「再び平和が戻った。しかし船長は、それっきり海へは出ていかなかった。港に停泊していた白い大きな漁船に新しい船長が乗り込んで、魚群を求めて南の海へ出港していった」
船長はあの黄金のパイプにタバコを詰め、吸ってしまう。すると、その体を煙が包み…
(場面転換)
東京のビル群が立ち並ぶ街の真ん中。歩道沿いのコンクリートの段の上に、1人座り込んで黄金のパイプを吸う1人の白髪・白髭の老人がいた。寄ってたかってくる子供達に、楽しげに話す老人。
老人「そうだよ?楽しかったなぁ…」
少年「お爺さんに恩返しをしてくれたんだね?」
老人「そうさ」
少女「それからどうしたの?」
老人「地球に帰ってきたらタバコが吸いたくなっちゃってさ…貰った黄金のパイプでタバコを…ハッハッ、絶対にこのパイプで吸っちゃいけないって言われていたのを忘れちゃってさ、スゥ‥ポワッ、フワ〜、モワモワモワ…おじさんの黒い毛が見る見る真っ白になっちゃった!ハハハハ…そんなにおかしいか?」
得意げに子供達に話をする老人を不思議そうに見つめるゲン。トオルもそこへ現れれ、ゲンに話しかける。
トオル「どうしたの?おおとりさん」
ゲン「ん?いや…」
老人「おじさんはちっともおかしくないぞう?フフフフ…さ、今日はこれでおしまい!じゃ、さよなら…」
少年「どうもありがとう!」
少女「さよならーっ」
子供達は笑って帰って行った。すると、老人はふとゲンを見て立ち上がる。
老人「おおとりさん…確か、おおとりさんと言いましたね?」
ゲン「え…あっ、船長!!」
トオル「船長!?」
老人(船長)「しぃーっ…」
遊びに飽きて気がついて
お暇乞いもそこそこに
帰る途中の楽しみは
土産に貰った玉手箱
帰ってみればこは如何に
元いた家も村もなく
道に行き会う人々は
顔も知らない者ばかり
心細さに蓋取れば
開けて悔しき玉手箱
中からパッと白煙
太郎はたちまちお爺さん…
ナレーション「広い世の中には、不思議な体験をした人がいるものです。この老人の様に…」
船長はタバコを吸うと、煙を吹きつつ横断歩道の向こうへ歩き去った。ゲンとトオルは顔を見合わせ首を傾げつつ、最後は微笑んで船長を見送るのでした…
本話は水中セットが組まれたため、本話よりopにマックシャークが登場する。
本話はシリーズでたまに見られる「本来無害な宇宙人を過度に恐れる地球人の過ちが大騒動に発展する」物語の一つだが、本話におけるパラダイ星人は明らかに宇宙人側にも責任があるため、一概にどちらが悪いとは言えない話になっている。
- 地上に身を守る術を持たない子供を一人で上陸させている。船長が止めなければ殺されていた。
- 地球人が一方的に攻撃してきたことは事実でも、自分達が勝手に他人の土地に上がり込んだ侵入者であることを自覚していない。
- 地球人に対して自分達の立場を一切説明していない。
- 子供を囮に大人が襲うという卑怯な真似を平然と行う。
- 事前の警告があったとは言え、船長は土産のパイプを吸ったらお爺さんになってしまった。結果的に見れば恩を仇で返したも同然である。
しかし村人達も大人の報復を逆恨みし、再び子供を殺そうとしている。あのとき襲うのではなく非礼を詫びたのなら、パラダイ星人もこれ以上の報復はしなかった筈である。
村人側と星人側、お互い一切歩み寄る姿勢に出ずひたすら暴力に訴えることしかしなかった為に今回の事件が起きてしまったのである。
村人側はゲンに詰め寄られてようやく反省したものの、星人側はその後どうなったのか分からずじまいであるため若干の後味の悪さが残る。
ウルトラシリーズで浦島太郎がモチーフの物語が展開されたのは『ウルトラQ』の6話に続いて2作目。後に本作『レオ』とは別の歴史を辿ったダンことセブンが『平成ウルトラセブン』にて同じく浦島太郎伝説と闘った。
コンビナートの破壊シーンは前作『ウルトラマンタロウ』最終回からの流用。
海底都市(劇中では「潜水艇」とも「宇宙船」とも)内の貴賓室は『スーパーロボットマッハバロン』の「KSS(キス)海底基地」のパーマネントセットの流用。「制作会社が違うのに何故?」と思うかも知れないが、両作品は当時同じ「東宝ビルド」を撮影スタジオとして使用しており、(日本現代企画が円谷プロOBの会社の側面を持つ事も有り)セットや小道具類の融通を互いに行っていた様だ。