プロフィール
概要
『SOULCATCHER(S)』の登場人物。鳴苑高校吹奏楽部のコントラバスパートリーダー。
パートリーダー中唯一、主人公の神峰翔太、相棒の刻阪響と同学年である。
神峰に見える彼の心は「抜き身の真剣」。
どんな相手にも物怖じせずに対抗心や向上心を燃やし、その炎で己の刀身を打ち鍛えている。研ぎ上げた刃は相手を斬り捨て、その相手を取り込んだ刀は幾重にも姿を変えていく。
「真摯」という言葉を好んで使う。
人物
やや長めの髪を前髪ごと後ろでハーフアップ気味にしている男子。
目つきが鋭く、不良じみた風貌をしている。
部活動を無断欠席することが多く、顧問や先輩の指示にも素直には従わず、反発どころか挑発までしてみせるという、生意気な面が目立つ破天荒な人物。
その態度は不真面目そのものだが、音楽にかけては言葉通り「真摯」であり、吹奏楽に拘らず様々な音楽ジャンルを吸収していき、自分の音楽を追求する激しい向上心の持ち主。吹奏楽部とは別に、個人で「Bonzean's curves」(ボンジャンカーブス)というバンドの活動に参加しており、ベースを弾いている。
部員の顔と名前を一致させて覚えておらず、楽器(パート)と名前で相手を覚えている。
能力
吹奏楽において唯一の弦楽器、演奏者に影響を与えて音楽を作り上げるコントラバスのパートリーダーとしての実力は本物。
演奏時のアクションの大きさが与える影響力はバンド全体にも影響を及ぼしており、指揮者が未熟であれば「第二の指揮者」としてバンド全体を自分のペースに持っていく演奏を行えるほど。
コントラバスだけでなくベース関連の楽器も十全に扱える知識と実力を持ち、吹奏楽以外の場面で活かしている。
音楽以外では腕っ節も相当なもので、劇中ではバンドの女子に絡んできた男2人を締め上げて撃退している。
問題
彼の問題点は「自分への挑戦」。
先に紹介した通り、弦野は音楽にかけては「真摯」であり、確かな向上心を持ち合わせている。
一方で「ベース楽器があれば指揮者は要らない」という信条を持っており、「部活動」よりも「自分の音」を優先する傾向がある。
実力はともかくその姿勢は音羽悟偉、奏馬俊平、刻阪響部内からも苦言を呈されているが、弦野は自身の指揮でバンドを自分のペースに乗せた事実を以って反論し、顧問の谺夕子も手を焼かせると改めて認めていた。
活躍
神峰が入部した日に初めて顔を合わせるが、この時は興味なさげに見つめるだけだった。
神峰の「天籟ウインドフェス」における壇上での指揮権を賭けた合奏練習にも不参加だったため、投票には棄権している。
ウインドフェス本番にはちゃんと出席したが、風邪で倒れた吹越花澄を病院へ搬送するため谺が不在となった途端、用意してあったコントラバスではなく自前のエレキベースを取り出して演奏に用いた。その後の演奏では全体に合わせる確かな実力を見せるが、臨時で指揮をすることとなった神峰には「オレを指揮しようと思うな オレはオレの音楽をやる」と言い放った。
掛け持ちしているバンドに参加する途中で神峰と刻阪に偶然遭遇、神峰が見守るステージでは主役とされていた別のバンドを自身の演奏パフォーマンスで「叩き斬り」、観客の注目を飲み込んだ。
その後、神峰が指揮する合奏練習に初めて加わるのだが、弦野は「指揮者」である神峰を差し置いてバンド全体を自分のペースに持っていく演奏を行い、更には、神峰に対して指揮者の必要性を否定する言葉を投げかけた。
そんな中、全国から様々なバンドが集まるライブイベントが開かれ、弦野は無論参加しようとしたが、バンドメンバー全員に予定が入っていて断られた。共演者をどうしようかと考えていたところ、ある人物の指導によって「指揮者として奏者と喧嘩する姿勢」を学んだ神峰から、刻阪と共にバンドを組んで参加しないかと提案される。提案が真剣か訝しむ弦野だったがその目を見て本気と判断。さらに「演奏する曲とメンバーは自分が選ぶ」と神峰が告げたことで、弦野が得意とするステージで自身をねじ伏せようとしている事を把握し、その挑戦を受けて立つ。
そして迎えたライブイベント本番において、弦野は神峰だけでなく刻阪や音羽ともぶつかり合いながら自分の音楽を主張し続けたが、「ロックのライブイベント」の最終曲で神峰が選んだのは、「クラシック吹奏楽の課題曲」だったことに絶句。自分では考えもしなかった選択を貫いた神峰を「一つの音楽ジャンル」として認め、神峰ごと『リンギン・ガーデン』のスタイルを自分の中に取り込もうと決意する。だが、あまりに前例のない事態に「奏者である自分」と「指揮者である自分」という向上心と先入観の葛藤が生じるも、弦野はそれを乗り越えんと意気込んで演奏。「自分」すら向上心の糧とするその姿は神峰をも感動させた。
疲労困憊となるまで弦野と神峰はぶつかり合い、多くの観客の心に『リンギン・ガーデン』の印象を残した中、二人の決着はつかなかった。しかし、神峰の「演奏者の価値観さえ破壊するパワー」のある指揮を見て、弦野は神峰をいつか「斬る」ことを宣告し、対して神峰は負けじと高い志を弦野に見せるのだった。
問題解決後
ロックライブ以降、神峰よりも上に行くために向上心を燃やす弦野は、練習にもちょくちょく顔を出すようになる。サボり癖は治っていないが、パートリーダー会議や部活動に欠席する際はちゃんと伝えるなど、変化がみられるようになった。
合奏練習ではしょっちゅう指揮を巡った喧嘩になるが、いつしか「二人だけの喧嘩」は「部内全体の主題(テーマ)」となり、鳴苑バンドに欠かせないものとなっていった。
新年度になってからはコントラバスの後輩として演藤さやかが出来る。真面目な性格は合わないが神峰や自分を超えようとする気骨は認めており、神峰の「目」には「神峰叩っ斬る同盟」の結成が見えていた。
スプリングコンサート前に行われた練習で川和壬獅郎のチューバに押し切られた時には、神峰の指揮で御器谷忍のバスクラリネットと共にぶつかり合った。
スプリングコンサート、県大会、西関東大会では要所で活躍。特に西関東大会では川和と共に「神峰の音楽」を貫くための力となった。一方、刻阪がソロで真価を発揮した音に対しては、その場では打ち勝つビジョンが見えずに「斬れない」と認めざるを得なかった。
全国大会ではスプリングコンサートで因縁をつけてきた、代表で同じコントラバス使いの詩村京也と対峙。
指揮者を否定して一人でバンドを支配する演奏を見せつける詩村に対し、指揮者はしのぎを削って音楽の精度を高めるための「砥石」だとして、神峰との喧嘩を通して一段と「切れ味」を増したバンド全体の音楽と、演藤の助力もあって詩村を引き離し、神峰が目指す「虹の音」に辿り着くピースのひとつとなった。
余談
- 名前について
部で唯一、弦楽器を操るパートリーダーらしく、名字には「弦」の字が。
- 好感度について
本作の単行本5巻から、冒頭にキャラクター紹介とは別に「これまでのあらすじ」が掲載されており、その中にはパートリーダーの神峰への印象が「好意的」「中立」「否定的」の3つで表現されているのだが、攻略後のメンバーが「好意的」となる中、最終巻に至るまで、弦野だけは「中立」のままであった。