「お前ら面白そうだ 次はお前らとセッションしようか」
プロフィール
概要
SOULCATCHER(S)の登場人物で、鳴苑高校吹奏楽部トランペットのパートリーダー。
伸ばし気味のストレートヘアと、長い前髪の影のジト目が特徴。
演奏の為の保護か、左手に指抜きグローブを付けている。また、部活動中もジャージは着ずに、カッターシャツとジレの恰好で居る。
当初は真っ黒な目で描かれていたが、問題解決後は瞳にハイライトが差したタッチになる。
実家は滝沢桃子の入院する音羽ヶ丘病院を経営。院長を務める父親、母親がいる。
成績優秀、スポーツ万能、大病院の息子という、刻阪響に並ぶイケメン設定であり、ファンも非常に多い。
神峰翔太に見える「心」の形は「周りの音を喰らい尽くすほどの巨大な口を持つ、獰猛な怪獣」。
しかし、そのヴェールの下には「無邪気な赤ん坊」を隠している。
人物
その怜悧な風貌から何事に対しても飄々としているような印象を受けるが、実際は面白そうなことには首を突っ込んで楽しむというノリの良い人物。本作でよく使われるデフォルメ顔を披露することも多い。
面白そうなことをするためなら他者を巻き込む無茶もするし、時には恐ろしいくらいの行動力も発揮する。
また、冗談にならないギャグを真顔で言ったり、逆に冗談にしか聞こえないようなことを大真面目に言ったりとやや天然でもある。
邑楽恵の神峰への恋心にも気付いており(もっとも神峰以外全員気付いていることだが)、その反応を楽しむために神峰をけしかけて遊ぶことも多々ある。
その本質は「自分の好きなことを全力でやりたい」、「他人と共にいたい、独りでは面白くない」というもの。作中の台詞である「1人より2人…8人より55人で吹いた方が…面白いに決まってる……!! それが吹奏楽だ!!」は、正に彼の本質をあらわした一言といえる。
能力
全楽器内で最も華やかで目立つ楽器であるトランペットのパートリーダーとして、単独では最強クラスの学生奏者として描かれている。
音楽の実力は部内の実力者の中でも頭一つ抜けており、川向こうから刻阪がサックスを鳴らすやタイムラグを即座に計算、川向こうの刻阪に対してデュエットのように聞こえるよう、わざとズラして演奏するという神業を容易くやってのけている。これには作中屈指の実力者である刻阪からも「天才…いや化け物か……!!」と言わしめた。
吹奏楽専用雑誌である『吹奏楽ジャーナル』にも何度か掲載されており、更にはウィーンの楽団から電話が来るほどその実力は外部にも知れ渡っている。
問題
彼の抱えている問題は「周囲の理解」。
前述したとおり、彼の望みは「大勢の仲間と共に自分の好きな吹奏楽を本気で奏でる」ことである。
だが、神峰から「普通の人間が巨大生物と二人三脚をやらされている」と例えられるほどの周囲との実力差が壁となっていた。
その隔絶した実力から同パート、同学年で部長であるはずの奏馬俊平が音羽の才能に圧倒されて諦めを抱き、その「諦めの心」がパート全体に伝染した結果、パートの中で孤立し、パートに寄り付けなくなった。
自分の所属する部に失望しつつも、なんとかならないかと模索していた。その矛盾した思いは、入部してから一度もトランペットパートの練習には姿を見せず、勝手に他パートの練習に潜り込んでは、他者を喰らい尽くすような演奏で相手を叩きのめし、ダメ出しをして回るという身勝手な行動として現れてしまう。これにより周りからは「暴君」と呼ばれ、「いい加減」という評も受けるなど、孤立を深める結果となってしまい、部活に出てこれなくなる生徒も出るなど、全体にも悪影響を及ぼしていた。
更に、母親はともかく父親から大好きな吹奏楽への理解を得られていない。擁護するなら、父親からすれば「社会とはたった一人でも生きていける力が無ければやっていけないから」という親心からくるものである。他人と共にいたいと願う音羽からすれば容認できるものではなかったが、説得の取っ掛かりさえ掴めない状態であった。
活躍
問題解決前
劇中では2話で人知れず練習していた所と、ラストの見開きで興味なさげに神峰を見るシーンが初登場となる。
本格的に登場したときは、ホルンパートに乱入し、対等に演奏しようとしていた久住智香を潰しかけていた。この時は彼女の「心」が潰れる寸前で神峰が止めたために事なきを得ている。
神峰は刻阪と共に音羽に認められるよう動き出すのだが、ほどなくして父親からの命令で吹奏楽部を辞めてしまうという一報が入る。それまでの言動、そして父親への反応から、音羽自身の悩みと本来の望みを言い当てた神峰の言葉に動かされて、本音をぶちまける。その上で諦めようとする音羽だったが、神峰は刻阪と共に父親の説得に動くこととなる。
トランペットパートと刻阪、そして最初に心を開いた打樋透の協力の下、父親に認めてもらうために病院での演奏会を開く。そこで、演奏中の神峰の言葉で自信を取り戻した奏馬と、機転を利かせた神峰たちに助けられたことで、演奏会を成功に導いた。
大勢の中で生き生きとした顔をした息子を見た父親は考えを改め、高校吹奏楽の全国大会で最優秀の成績を収めることを条件にだが、吹奏楽を続けることを許し、音羽は無事に部活に復帰。トランペットパートにも受け入れられる。
問題解決後
問題解決後は「神峰に指揮を振らせた方が面白いから」という理由でだが、積極的に協力している。一方、他パートへの乱入は続いているが、乱入で得た他パートの成長点を奏馬に伝え、バンド全体の成長へより還元できる形に変わっている。
問題解決の翌日のパートリーダー会議では神峰にも参加を促し、会議中には打樋、奏馬と共に神峰の支持を宣言した。
会議直後に神峰が天籟高校の視察を望んだ際には刻阪、歌林優菜と共に同行。天籟高校、竹風高校のメンバーによるセッションに目を奪われながらも笑みを浮かべる神峰を見て、刻阪と共に部屋に押し出して登場させる。その後の合同セッションでは神峰の指揮に食らいつこうとするが、完成された天籟サウンドを単独で食い尽くすことはさすがに出来ず、失敗に終わる。その後、基礎不足が露呈した神峰に御器谷忍を紹介し、一度神峰から離れた。
天籟ウィンドフェス編では打ち上げでビンゴに当たるも、最優秀曲の祝いの為に景品を神峰に渡した。しかし、中身がサックスとクラリネットのリードであった為に「必要としている奴にあげれば確実に喜ばれる」と吹き込み、神峰が邑楽に、刻阪が歌林にこれを渡すように仕向けた。
これには「ダブルストライク!!」「二枚抜き!!でかした音羽」と周囲も大喜びだった。
アンサンブルコンテストでは金管六重奏として奏馬、金井淵涼、星合美子、管崎舞、川和壬獅郎と共に挑み、県大会を勝ち抜く。
一方、木戸雅を「吹奏楽部には必要ない」と言い放った神峰に対し静かに激昂。他のパートリーダーと共に心から必要な言葉である「木戸は吹奏楽部に絶対に必要だ!!」だと言う言葉を神峰にぶつけた。
アンサンブルコンテスト県大会の先にある西関東大会も勝ち進んで全国行きを決める。その後、全国のアンサンブルコンテスト支部大会を神峰と見るためにチケットと航空券を手配、さらに説明役として御器谷を拉致して巻き込んだ。近畿大会の視察で、後の強敵となる室節広大と出会う。
ロックフェス編ではトランぺッターとして神峰主導の即興バンド『リンギン・ガーデン』に参加。ちなみにメンバー全員分の衣装代は彼が出した。
直前の練習で弦野政彦に言われた「叩っ斬る」という言葉を根に持っていたのか、彼とはジャムセッションでバトルを繰り広げた。ちなみに結果は引き分けとなる。
岡山で行われるアンサンブルコンテスト全国大会当日、同日に行われた春の選抜高校野球大会で行われる応援のための演奏にも参加したかった彼は、わざわざJRの乗換案内を綿密に調べ上げて演奏に間に合うよう時間を計算し、岡山から神峰を迎えに甲子園球場までやってくるという尋常でない行動力を見せた。だが、その行動力のおかげで神峰はピンチを免れることに成功している。
なお、間に合いそうになければヘリコプターを使うつもりでいたらしい。周囲からは金持ちジョークかと思われたが本人曰く「マジだ」と回答して周囲を絶句させた。のちに発売された5巻のおまけイラストで、本当に会場までヘリを使って移動したことが明かされた。
リハーサルをすっぽかしたがテンション全開で挑んだ全国大会では、顧問の谺夕子が聞いたことがないほどの力がこもった演奏を見せる。しかし結果は銀賞に終わり、自分がコンクールで全国大会金賞を獲るにはまだまだ壁を越えなければならないことを痛感、直後のパートリーダー会議ではさらなる成長を誓った。
一応言っておくと銀賞に終わったのは彼のせいではなく、どちらかといえば未説得のメンバーが問題を抱えていたことが原因だった。
新年度では幼稚園の演奏会には子供が苦手という理由で不参加。
その後のスプリングコンサート、県大会、西関東大会では要所で活躍。西関東大会では刻阪の驚異的なソロパフォーマンスに戦慄していた。
そして迎えた全国大会、高校最後の大舞台では下無高校の室節との勝負に興じたいがために、室節の演奏した曲を脳内で再生しながら課題曲を演奏するという無茶を実行。「他者と一緒に吹いている」という実感を鳴宛バンド以上としたことで200%の力で暴れまわる。後半では成長を続ける室節に押さえ込まれるが、演奏中に笑い出した神峰を見て、様々な出来事が起きた1年間に感謝しながら更なる300%の底力を引き出し、「七色の虹の音」を超える「神峰だけの虹の音」に辿り着く最後のピースとなった。
高校卒業後どうするのかについては、大学や地域の吹奏楽団で吹奏楽を続ける事を宣言している。さらに神峰との縁については「神峰ほど面白いヤツはそうはいない」という理由から、「どこにいようと何をしていようと どこからでもどこへでも呼び出してやる」と述懐していた。