プロフィール
誕生日 | 7月26日 |
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身長 | 奏馬より少し低い |
メイン楽器 | テナーバストロンボーン・テナートロンボーン |
サブ楽器 | バストロンボーン |
好きな食べ物 | 天ぷら |
好きな音楽 | クラシック・フュージョン |
備考 | 外国語の発音がネイティブのようだと褒められるが海外での生活経験はない |
概要
SOULCATCHER(S)の登場人物で、鳴苑高校吹奏楽部トロンボーンのパートリーダー。
が特徴。
パートリーダーのうち、チューバの川和壬獅郎、ユーフォニウムの星合美子、ホルンの管崎舞とは同じ中学出身の幼馴染。
神峰翔太に当初見えた「心」の形は「深い穴とその中を動くエレベーター」。
心を閉ざすというよりも、墓場まで持っていきそうなほどの何かを隠しているように見えており、時折停電を起こしているが……?
人物
生真面目な人物で、OBの飯島俊輔からも気を張っていることを指摘されている。
能力
綺麗な音を出すために臨機応変に対応する必要がある「作音楽器」である トロンボーンのパートリーダーとして、その実力は全国クラスと認められており、谺からも「音羽と対等に演奏できるメンバー」の一人として信頼されている。
抜群に耳が良く、ただ「正確な音」ではなく、その時に一番美しく響き渡る「正解の音」を判別する力がある。
本来の実力を発揮できれば、作中最高クラスの実力を持つ音羽悟偉にすら勝るとも劣らない能力があるらしい。
問題
彼の抱えている問題は「過去の罪」。それについて語るには、彼の過去から語る必要がある。
今でこそトロンボーンの実力者である金井淵だが、幼少期はピアノを習っていた。ピアニストであった彼はコンクールでもいくつもの賞を獲っていたが、いつもある人物―――管崎咲良に敗れていた。
「塩素みたいな臭いがする」と彼の音を非難する咲良と、彼自身の「自分には才能が無いのではないか」という不安から彼を嫌っていた金井淵は、中学にて咲良と偶然同じ学校に進学。合わせて川和、星合、舞とも出会うことになる。
咲良の誘いで吹奏楽部に入り、トロンボーンとの出会いを果たす頃、ピアノを教えていたコーチから実はピアノの才能がない事を告げられ、「賞が獲れない生徒などいらない」と見捨てられる。その発言を傍で聞いてキレた咲良と共に、伊調剛健主催のコンテストで賞を狙うことになる。
そして大会当日、それまでコーチに叩きこまれた正確な音ではなく、あえてずらす事でより和音を美しく響かせる「正解の音」を出す力に目覚める。そこで偶然「桜の音」を知ることになった。
それ以来、咲良、川和、星合、舞とは大切なつながりとなった。特に咲良とはぶつかり合いながらも大切な絆となっていった。
しかし、中学2年の3月、咲良といつものようにケンカ半分のじゃれ合いをしながら登校している途中に、不用意に咲良を車道に突き飛ばしてしまい、咲良がトラックに轢かれてしまう。金井淵はとっさに彼を助けようと飛び出したが、咲良は金井淵を庇うために手を放し、助けることは叶わなかった。
それ以来、自責の念に駆られた彼は、咲良が目指した「桜の音」の完成に執着するようになり、現在のような性格となってしまう。
また、川和達と咲良の両親にも事故以来、一日も欠かさずに贖罪の手紙を、毎回違う文面で書き続けていた。
「自分が居ては川和たちを傷付ける」とも考えているようで、咲良との約束であった「桜の音」を完成させた暁には彼らの下を去るつもりでいた。
活躍
「舞う桜編」前
神峰が入部した日に初めて顔を合わせるが、この時は興味なさげに見つめるだけだった。
神峰が天籟ウィンドフェスで一曲指揮をするかの指揮者選抜投票では、「正直何も感じなかったな 何で賛成がいるのかわからない」と、神峰を全否定して反対票に入れた。
ウィンドフェスに入ってから神峰に対する敵意が露わになり始め、ウィンドフェス中に風邪で倒れた吹越花澄を病院へ搬送するため顧問の谺夕子が不在となるにあたって、神峰が臨時で指揮をすることに反対、演奏直前では彼を威圧した。この際は心の形状が怒りで燃えるハートとなっている。その後の打ち上げ会でも「神峰がいないと思って吹いた」と言う。その後、「自分の指揮より谺が指揮した方がもっとうまくいったか」と尋ねたときは「めでたい奴だ」と昏い瞳で返答している。
アンサンブルコンテストでは金管六重奏として奏馬俊平、音羽、星合、舞、川和と共に挑み、県大会を勝ち抜く。その際、賞を受け取った壇上で神峰に指を突き付けて「俺たちにお前の指揮は必要ない」というパフォーマンスを行う。その後も西関東大会を勝ち抜き、全国大会に進出した。
ロックフェス編では神峰と即興バンド『リンギン・ガーデン』のトロンボーンとして参加してもらえないかと頼まれるが、無表情で「やるわけないだろう」と一蹴。
アンサンブルの全国大会と同日に行われる野球部応援のために金管楽器のパートメンバーを借りたいと神峰から申し出があった時には、他の3人同様に特に断る様子は見せなかった。
アンサンブルの全国大会では、メンバー全体で最高のパフォーマンスを見せるも、銀賞に終わる。観客席で聞いていた神峰、伊調鋭一、吹越聖月は、それぞれの持つ「感覚」で金井淵が実力を発揮しきれなかったことが原因と確信。ただ、鋭一と聖月は金井淵に「足りない」ものがあると感じたが、神峰は逆に時折「何かがあって」が彼の頭を遮り、演奏に集中しきれなかったと見た。
大会終了後に鋭一から才能を見込まれ、竹風高校への転校を誘われるが、「お前の指揮が一番無い」と言ってこれを断る。彼に「あなたは鳴苑から離れない方が良い。鳴苑には神峰翔太がいる」と言われ複雑な表情を見せた。
「舞う桜編」
新年度に天籟高校吹奏楽部のメンバーである弾に「風がよどんでる」と指摘される。そこから弾は春に起きた自身の挫折と再起を語るのだが、その時には悲しそうな表情をしていた。
その夜、神峰が誰にも言っていないはずの「5人目」の存在を指摘すると、金管のメンバーが驚く中で一人無表情で肯定。そこからかつては彼ら5人で「桜の匂いがする音」を目指しており、未だに当時奏でていた音は「最も美しかった」と話すも、「5人目はもういない」と断じ、その音を失ってなお、その音で部内を満たすことを望み、演奏をそこまで導ける人間が必要だと語る。
つまり、指揮者を否定しているどころか、理想の指揮者を探していたことを認めた。そして、その指揮者の存在価値を理解していない弦野、自分が志す音と真逆の方向性を持つ伊調を否定しており、更に神峰は「論外」と断じたのちに「邪魔をするな」と告げてその場を去った。
後に神峰が川和の手引きで咲良と出会ったことを知り、顔を合わせた神峰に対し、改めて邪魔をするなと告げる。だが、神峰から「悪いけどあんたにはやらせられねぇ」と言い返される。
伊調剛健主催によるスプリングコンサートの演奏直前、神峰からコンサートでやる二曲のうち一曲を課題曲から変更し、混声六重奏による別の曲とすること、それに金井淵が参加してほしい旨を伝えられる。当然金井淵は断り、突如現れた咲良の登場には驚くものの、説得には応じようとしなかった。そこで神峰から、「一曲目が終わった段階で演奏する気になったら壇上に残ってほしい」と条件を持ちかけられる。
そして始まったコンサートの一曲目で、「桜の音 あんたにはやらせねェ!!!」と啖呵を切った神峰と遂に激突。ピアニスト時代の不安や咲良への負い目から生まれる葛藤と敗北感は「ピアノ線によるワイヤートラップ」として、咲良が見出し、鋭一や剛健が認めた演奏の才能は「身の丈を超える怪物」として、心の中でずっと流していた涙は「異常な深さの水の層」として、事故の瞬間からいつまでも流れ襲い掛かる無数の罪の意識は「中学時代の金井淵の姿をしたゾンビの群れ」として、神峰曰く「正気なんて保てねぇ」と感じるほどの脅威が次々と神峰に襲い掛かるも、神峰に味方する者達の助力で突破される。そして「桜の音」に辿り着いた後に金井淵がどうするかを看破される中、神峰が金井淵より一段上の「正解の音」となる指揮を取り出す。自分の音感を神峰の指揮が超えることを認められない金井淵は指揮に逆らい続けるが、演奏者として嘘はつけなかったのか、最後の和音で遂に神峰の指揮に従う。それと同時に、神峰の「心」は金井淵の「心」のそこにある「本心を隠したカプセル」に届いた。
二曲目で壇上に残るか否かは金井淵次第だったが…金井淵は残った。壇上に残ったのはピアノを弾く神峰、ボーカルを務める咲良、伴奏で星合、舞、川和、そして金井淵。演奏するのはかつて桜の音に辿り着いた時の曲…松任谷由実の「春よ、来い」。
一次的に悲しみから解き放たれ、桜の音を純粋に目指していた頃の、咲良曰く「本物の金井淵涼」となった金井淵の「心」は「怪物の仮面を被った本人の姿」となり、カプセルの中にある金井淵の本心を探ろうとする神峰に襲い掛かる。ボーカルを務める咲良が金井淵を抑える中、2番になってから観客も歌い始め、やがてそれはコンサート会場全体の合唱へと変わる。離れ難かった辛い別れからの再会を望む2番の歌詞に自身を重ねたことで金井淵の心が揺らぎ、遂に神峰は金井淵の本心……「咲良がいてくれたら」という想いを見つける。
桜の音に導ける指揮者を探せば探すほど、桜の音に導いた咲良の存在がどうしても頭をよぎり、比較してしまう。それでも咲良は自分が傷つけてしまったがゆえに、金井淵が絶対に思ってはいけないと考えていた。咲良はもういない、だから自分が代わりに「桜の音」を完成させなくては、それを導ける「咲良の代理人」を見付けなくてはという想いこそが、彼の本当の心であった。
その心に触れた神峰は「咲良さんは咲良さん以外に務まらない」と金井淵に、そして金管パートのメンバーに語りかけ、誰一人欠けても駄目だと、何年でも何十年でも信じて待ってると言えばいいと伝える。
そして演奏終盤、突如咲良が席を離れてピアノの前に立つと、3年以上全く動かなかった腕を動かしてピアノの鍵盤を叩いた。そしてその瞬間、楽器の音だけでなく、会場内の反響や残響、演奏者全員の心、聴き入ろうとする観客の心、それらが一つにつまった「空間」………「桜の音」に辿り着いた。
演奏終了後に5人で抱き合う中、金井淵はこれまでの事を咲良に謝罪するが、咲良は涙を流しながら笑顔で許す。仲間の絆と咲良の両腕、あの時から無くなった全てが元に戻り、背負い続けた罪を許されたことで、金井淵は目尻に涙を浮かべながら、年相応の笑みを浮かべるのであった。
問題解決後
問題解決後、正式に彼を認める描写こそなかったものの、他の金管パートリーダーと共に彼の指揮を肯定するようになる。
そこから先は「全国コンクール金賞」という他の仲間たちと同じ場所へ辿り着くために、谺とは別に各パートを回っての練習にも参加しており、彼が聞き取ることができる「正解の音」を全メンバーに教えて共有していた。
コンクールの県大会・西関東大会では要所で活躍。
県大会ではソニトゥス学院高校の「核」にして同じトロンボーン使いである曲山・クリストファー・晴海と対峙。変幻自在のトロンボーン捌きに個人では幾度も上をいかれるも、自身が全メンバーに教え、バンド全体で共有している「正解の音」を次々と繰り出してこれに対抗。一進一退の激戦の末にソニ学との闘いを制し、西関東大会出場の決め手となった。
なお、本人的には晴海個人に対しては「完敗だった」と感じているようで、その上で勝利出来た理由は「自分は正解の音を出すことに100%集中できたから」「客と演奏者のことを考えてくれる指揮者がいるから」と答えている。
全国大会では神峰だけでなく鋭一も「桜の音」に辿り着く中、「桜の音」と今の自分について思い返していた。
後ろ向きな理由で音楽をやっていた自分では「桜の音」に辿り着けなかったこと、全てが元に戻ったことで音楽を続ける理由が失われ、「自分には何もやることがない」と思い返す中、自身を救ってくれた神峰が全国大会前に言い出した「虹の音」に興味を持ち、「全音正解」を以って神峰が目指す「虹の音」に辿り着くピースのひとつとなった。
余談
名前について
金管パートのリーダー格らしく、名字には「金」の字が入っている。
ネタキャラとして
彼自身は至って真面目で、神峰の課題における最大の難関として相応しいキャラなのだが、作中における数々のセリフがどういうわけかファンからはひどく遊ばれている。
作者側も分かっているようで、番外編では神峰への誕生日メッセージを送ることになるのだが「『祝うわけないだろう』が欲しいのか?言うわけないだろう」という謎のツンデレっぷりとネタっぷりを発揮し、読者に「味方になっても金井淵先輩はやっぱり金井淵先輩だ」という印象を深く刻み付けた。
関連イラスト
関連タグ
川和壬獅郎 星合美子 管崎舞 - ”反神峰”を掲げる金管楽器のパートリーダー達。金井淵とは高校入学以前から音楽を続けていた仲。