プロフィール
概要
SOULCATCHER(S)の登場人物で、鳴苑高校吹奏楽部ホルンのパートリーダーである管崎舞の双子の兄。
髪先の色が違う長髪を一つに束ねているのが特徴。
パートリーダーのうち、トランペットの金井淵涼、チューバの川和壬獅郎、ユーフォニウムの星合美子とも強い縁の持ち主であり、作中の長編「舞う桜編」のキーパーソンである。
少しずつ砂を取りながら、棒を倒そうとしているが…？
人物
子供の頃から物怖じしない性格で、間違っていると思えば大人だろうが平気で噛みつく。
ロクに物を片付けられないなど、ガサツでズボラな一面があるが、時折核心を突くような一言を放つこともある。
「音」から「匂い」を感じる共感覚の持ち主で、幼少期からの知り合いである星合からは「変なことばっかり言う奴」と言われている。
能力
天才的なピアノの名手で、幼い頃からいくつもの賞を獲っていた。
共感覚についても苦しむような描写はなく、音の良し悪しを判断するのに共感覚で得た表現を用いるなど、使いこなしているように見受けられる。
問題
彼の抱えている問題は「諦めの心」。それについて語るには、彼の過去から語る必要がある。
幼少期は天才的なピアニストとしていくつもの賞を獲っていた。
「塩素みたいな臭いがする」と音を非難して殴られたこともある金井淵とは、中学にて偶然再会。合わせて川和とも出会った。
その頃、金井淵にピアノを教えていたコーチが「賞が獲れない生徒などいらない」と言って金井淵を見放したことを聞いてしまい、キレた咲良は伊調剛健主催のコンテストで自身の進退を賭けて賞を狙うことになる。
そして大会当日、金井淵はトランペットで、あえてずらす事でより和音を美しく響かせる「正解の音」を出す力に目覚めたことで賞を受賞。そこで偶然「桜の匂いがする音」を知った咲良は、以降幼馴染達と共に「桜の音」を目指すことになる。
しかし、中学２年の３月、金井淵といつものようにケンカ半分のじゃれ合いをしながら登校している途中に、金井淵が不用意に咲良を、トラックが迫っていた車道に突き飛ばしてしまう。金井淵はとっさに彼を助けようと手を掴んだが、咲良は金井淵を庇うために手を放し、咲良だけがトラックに轢かれてしまった。
一命はとりとめた咲良であったが、両腕は感覚が失われて全く動かせなくなり、共感覚も失われてしまう。金井淵たちと同じ中学の後輩にあたる演藤さやかが咲良のことを知らなかった事から察するに、通っていた中学校にもその後通えなくなった様である。
表面上は明るく振る舞ってリハビリに努めていた咲良であったが、「何時まで経っても両腕が全く動かない」という事実は徐々に彼の心を蝕んでおり、いつしか二度と演奏が出来ない諦めと絶望が彼の心に巣食うようになる。その諦めの気持ちは入院中に知り合った、難病で視力を失いつつある西口実理にも「治らない恐怖」を植え付けていた。
概要で紹介した咲良の「心」において、「怪物」は「諦めと絶望」の象徴、「砂遊びに使っていた砂や棒」は演奏家としての気持ちのオマージュ。砂の中には「演奏家としての咲良」が埋められていた。
活躍
音羽ヶ丘病院で川和の案内の元、神峰、刻阪響と邂逅。「実理のために腕を直して見せる」と強がるが、神峰は西口に「手術を受ける気を失くし続けていないか」と問いかける。手術を受けない理由が自分だとされた事も含めて神峰に怒りを見せるが、その際に神峰は自身が「見」た西口の心に、行く手を阻む咲良がいる事を告げられる。さらに「西口が不安を募らせる理由に心当たりがないか」と聞かれ、一度は神峰を拒絶するが、神峰は演奏者のメインを咲良に据えた病院内でのコンサートを提案。腕の動かない咲良は困惑するが、神峰も「座っているだけでいいから」と一歩も退かなかった。
演奏が開始される中、執拗に咲良へ「ピアニストとしての指示」を出す神峰に「やめてくれ」と当初は思うが、真剣に「演奏者」として自分を見てくれる神峰に対し、自分が「演奏者としてこの場に立っているか」と問いかけ、二度と演奏が出来ない諦めと絶望に倒れそうになっている自分がいることを自覚。何が出来るか考える咲良に対し、「気持ちを噴き上げろ」と神峰からの指示を受けて、声を上げて歌で演奏に参加、「演奏者としての自分」を蘇らせる。以降、咲良の「心」は「両腕を中心に怪物の甲殻で出来たプロテクターを装備した本人」に変化。演奏終了後は西口から勇気をもらったと言われたことを受け、神峰を認めて自分達に起こった過去を語った。
その後に行われたスプリングコンサートでは２曲目の混声六重奏にボーカルで参加するためにコンサート会場へ向かい、金井淵と３年ぶりの再会を果たす。
ピアノを弾く神峰、ボーカルを務める咲良、伴奏で星合、舞、川和、そして金井淵で、かつて桜の音に辿り着いた時の曲…松任谷由実の「春よ、来い」を演奏することになる。
他パートの印象を、何より本心を知ろうとする神峰を潰さんとする金井淵に対し、咲良は歌でこれに対抗。混声六重奏はいつしか会場中の観客やスタッフ達による合唱となり、金井淵の本心を探り当てた神峰が５人に語り掛ける中、曲の終盤で突如異変に気付いた咲良は、自身が倒れるのも構わずにピアノの前に立つ。そして、3年間全く動かなかった腕を動かして、鍵盤を叩いた。演奏終了後、拍手喝采の中で５人は抱き合い、金井淵の許しの言葉も「たかだか３年休んでいただけだ」と笑ってこれを許した。
その後はリハビリも順調に進み、衰えた腕の機能も徐々に回復している。
現在は「スプリングコンサートでボーカルの歌がうまくないと言う視線をすごく感じたから」ということで歌の勉強中。
今後の進路についてはピアノだけでなく、シンガーソングライターの道も考えるようになった。
小説版３巻ではその後について記述がある。
腕が復活したことで従来のワガママぶりも息を吹き返し、コンサート西関東大会と全国大会の合間に「海に行きたい」と言って、幼馴染達と共に海へ遊びに行っている。幼馴染達のサプライズで水着姿の西口と再会することになり、咄嗟に良い言葉が浮かばずにドギマギさせられた。（幼馴染達からは生暖かい目で見守られていた）
また、別の回では大検を取るために幼馴染達と勉強していることも明かされている。（なお、作中の時間軸（2014年）なら大検は廃止され、代わりに高認が制定されている。）
そして全国大会終了後の鳴苑高校で行われた文化祭で行われた演奏会にボーカルとして参加。…が、その出番前に舞台裏で複雑な指使いを必要とするピアノを不完全ながら弾けるレベルまで腕が機能回復したことを幼馴染達に明かす。夏にドッキリを仕掛けられたことへの意趣返しを込めて幼馴染達には内緒で特訓していたが、「ピアニスト管崎咲良の復活」という衝撃で星合と舞は抗議しながら大泣き、金井淵と川和は感極まって悪態が続かなくなり、演奏会の楽しい空気を取り戻そうと咲良がフォローに回る羽目になった。
