概要
『銀河英雄伝説』における憲兵隊とは、テロ行為・反帝国運動を取り締まるための一般警察機関(行政警察活動や司法警察活動等)と軍内部の法執行機関(憲兵)をもつ国家憲兵として組織されていると思われる。
ゴールデンバウム朝銀河帝国では一般市民を弾圧するために狂奔、テロ行為・反帝国運動を取り締まるために密告も奨励されており、拷問・暴力、自白剤の投与に類するものも認められていた。
密告は、たとえそれが誤報だったとしても罰されることはなく、憲兵隊も取り締まりに誤りがあっても罰されることがなかったことから、犯罪者から賄賂を取るような人物が現れる素地となった。
当然、腐敗した彼らは「帝国の犬」として忌み嫌われることとなった。
転機が訪れたのはラインハルト・フォン・ローエングラム公爵が全権を握ってからだった。
帝国宰相に就任したラインハルトは憲兵総監兼帝都防衛司令官にウルリッヒ・ケスラー大将を任命、ケスラーは憲兵隊改革のため帝国軍将兵のなかから憲兵を任命し巧みに配置する一方、憲兵隊に対する密告を奨励、それが誤報だったとしても密告者を罰しない措置を取った。
しかし、それらの一見非常識な措置により私腹を肥やしていた多くの憲兵が逮捕・投獄され、ケスラーの措置に反発する素行不良の憲兵もケスラーを尾行したり、盗聴したことが発覚して同じように逮捕・投獄されることとなり、憲兵隊はケスラーの支配下に入った。
これらの措置はラインハルトがローエングラム朝・最初の皇帝に即位し、ケスラーが上級大将に昇進しても変わることはなかった。
ケスラーは自由惑星同盟との戦争が終わったことにより帝国軍艦隊を余剰となった将兵を憲兵に登用、巧みに配置することで帝都・オーディン後にフェザーンの治安を守ることに腐心した。
とはいえ、キュンメル男爵邸における「皇帝・ラインハルト弑逆未遂事件」には軍出身の部隊を派遣、事件の背後で糸を引いた地球教オーディン支部の制圧にも成功している。
その一方で皇帝・ラインハルトの治政下において策謀をめぐらす軍務尚書・パウル・フォン・オーベルシュタイン元帥、内国安全保障局長・ハイドリッヒ・ラングとは、内務尚書・オスマイヤーとともに政治的に対立、対立はオーベルシュタインが新帝国暦3年に不慮の死を遂げるまで続いた(ラングはそれ以前にフェザーン自治領前自治領主・アドリアン・ルビンスキーと接触し、フェザーン代理総督・ニコラス・ボルテックに無実の罪を着せた罪状により処刑されている)。