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「‥‥やあれ!我が混沌の宴へようこそ‥‥」

声:関俊彦(アニメ版)


概要編集

逆転裁判3』第2話『盗まれた逆転』に登場。年齢34歳。身長173cm。


私立探偵を職業とする中年男性。助手は不在で、1人で探偵事務所を経営している。名探偵を自称しており、メイン画像からも解る様に、胡散臭い事この上ない人物。自己主張と自己顕示欲が非常に激しく、常日頃から口調も態度も、矢鱈と仰々しく芝居がかっている。出会ったばかりの春美からも「年の割に落ち着きの無い人」と認識されている。


「やあれ!」「あいや!」「ズヴァリ!」等の特徴的な口癖を始め、長母音が入る様な言葉については、当該部分が「アイウエオ」に置き換わる等、どこか古風で独特な言い回しをする。自分の賢さをアピールする為、無闇に複雑な言葉や四字熟語を乱用して会話する為、何を言っているのか解らない時も多い。『3』の攻略本では「何を喋っているのか、誰かに訳して貰いたい位」と突っ込まれていた。極度の見栄っ張りなので「大抵の場合、発言の意図は格好付けも兼ねての事」なのは察しが付くのだが。


稲妻にも似た金と黒のツートンカラーのギザギザ頭、少し嘘を吐いたピノキオの様に高い鼻、豪華な装飾を施した黒スーツ、モノクル代わりにしている虫眼鏡が特徴。高い鼻は「天狗になっている事の暗喩」かもしれない。「虫眼鏡を取り外して鑑定に使用する時の動き」は、ケント・デリカットの一発芸が元ネタ。後述の「『メジーナ婦人像』を奪還した報酬として、関係者から贈与された、大きな赤い宝石の指輪」を「自身の栄光の象徴」として愛着を持ち、常に左手の薬指に嵌めて、それを正面にいる相手に見せつけるポーズを取る(メイン画像参考)


探偵パートでは、哀牙の探偵事務所を訪問する事が出来る。所長室は「シャーロック・ホームズ等、西洋の名探偵を参考にしたと思われる、西洋文化一色の内装」となっている。それに彼なりに、都合の良い妄想や改変を加えている為、何とも珍妙な調度品がひしめき合う、異様な空間でもある。


「部屋の主のナルシズム全開の内装」なのは『1』の小中大と同じだが、悪趣味なだけの彼とは大違いで、一見すると優雅に見えるが、随所に笑いを誘う仕掛けが施されている。自分の巨大な肖像画や、先頭で手を振る自分の人形付きのボトルシップが飾られていたり、自分が科学にも精通しているアピールの為か、科学実験キットが置かれたりしている。本棚には哀牙本人の著作物である、数々の本も並んでいる。「私は優秀で特別な存在」とアピールする為なら、些細な事から手間の掛かる事まで幅広くこなす、彼の人間性が反映された部屋と言えよう。


現在では「大怪盗・怪人☆仮面マスクとの数回に渡る、宿命の対決」を展開し、世間を大いに盛り上げている。仮面マスクの影に隠れがちだが、哀牙に対する世間の注目や評価も高水準である。


『高菱屋百貨店』で開催される筈だった『倉院の里 秘宝展』の目玉『倉院の壺』が、怪人☆仮面マスクに盗まれた事を知り、その現場で成歩堂達と出会う。探偵としての実力は確かな様で、仮面マスクの2回目の犯行から独自の調査を開始し、仮面マスクの4回目の犯行を阻止して『メジーナ婦人像』という秘宝をたった1人で取り戻した。それからというもの、目に見えて調子に乗っているのもあり、イトノコ刑事からは目の敵にされている。


観察眼に優れており、髪型や服装、閃きや勘から、相手の職業を察する事が出来る。弁護士バッジやポスターを見れば一目瞭然なのだが、何故かそちらには目が向かないらしい。聞いている、こっちの方が恥ずかしくなる、当たり前の推理の時もあるが、本人曰く「‥‥それを涼しい顔で言ってのけるのが、名探偵なのですよ」との事。現場では捜査の為、誰にも見つからない場所に1人で隠れている。


現在でも『逆転』シリーズではトップクラスに入る、大変インパクトの強いキャラクターの為にファンが多く、バレンタインにはカプコンに彼宛ての大量のチョコレートが送られて来た事がある。キャラデザイナーの岩元辰郎の開発ブログで、この話題が取り上げられた際、順位も同時に公表され、第1位は哀牙、第2位はゴドー、第3位は成歩堂であった。この集計結果に岩元は「納得行く様な、行かない様な人達ですね‥‥」とコメントした。


名前は文字通り「愛が欲しいだけ」に由来する。当初は「哀牙」という名前は、ゴドーの本名に使用する予定だったが、たまたま脚本家が 「愛が欲しいだけ」と思い付いた為、彼に転用される事となった。哀牙が欲しているのは愛と言うより、地位や名声だが。


英語版での名前は「Luke・Atmey(ルーク・アトミー)」で、英語で「私を見て」を意味する「look at me」の捩りになっている。自己主張の強い名前なのは日米共通である。


関連タグ編集

逆転裁判3

逆転裁判・逆転検事シリーズキャラクター一覧

怪人☆仮面マスク 成歩堂龍一 糸鋸圭介 華宮霧緒


シャーロック・ホームズ(大逆転裁判)‥同シリーズの名探偵























この先ネタバレがあります!






















『哀れなピエロ』の終幕編集

第2話の仮面マスク事件の黒幕にして、毒島黒兵衛殺害の真犯人である。


仮面マスクの最初の事件で、その正体が天杉優作である事を突き止めた哀牙は「正体を世間や妻の希華にバラされたくなければ、盗んだ秘宝を渡せ」と彼を脅迫して盗んだ秘宝を取り上げ、闇ルートで高値で売り払って大金を得た。これに味を占めた哀牙は、その後も優作を使って、美術品を盗ませては、闇ルートで売り捌いて私腹を肥やして行き、得た金の一部を報酬として、優作に送っていた。優作の方も犯罪者が嫌いな妻・希華に「自分が泥棒である事」を知られては困る上に、会社の情報を売り捌いた罪で『KB警備』をクビになって以降、収入が無かった為、脅迫者に従って盗みを繰り返していた。


前回の事件では「優作に盗ませた秘宝『メジーナ婦人像』を自分が取り返した事にする、マッチポンプ」で名探偵として名声を得た哀牙には「依頼者からの報酬として、大きな赤い宝石の着いた指輪」が贈与された。これこそが常備している、あの愛用の指輪である。過剰な名誉欲や金銭欲から「大怪盗と名探偵の対決を自作自演で行う、劇場型犯罪」を引き起こし、計画通りに天才探偵としての名声も、裕福な生活も手に入れた哀牙だったが「自分が仮面マスクを使って、美術品を盗ませている事」を警備会社『KB警備』の社長・毒島黒兵衛に知られてしまい、優作を脅迫する側から一転、毒島から脅迫される側になってしまう。毒島からの脅迫状には「要求に従えなければ、宝物である指輪を処分する事だ」とも書かれていた。こうして哀牙は毒島の殺害を決意し、完全無罪として逃げ切るのは不可能だと悟り、殺人罪よりも刑罰が軽くて済む、窃盗罪で逮捕される事を目論む様になる。

アニメ版では、前述の宝石自体が盗品という事に変更された。


ここからの哀牙の犯行は「『逆転』世界での、現行法に影響されての自己保身」が目的となっている。第2話の作中では裁判長が「現行法では被害者が1人でも、悪質な犯行であれば死刑も有り得る」と語っている。今回の事件は真犯人、共犯者、被害者、いずれも落ち度のある人物の為、悲劇性は薄いとは言え、哀牙の犯行も全て立証されれば、最悪の場合、死刑判決や終身刑が待ち構えている可能性は十分ある。毒島殺害の罪は優作に着させた上で、立証された自身の犯罪が窃盗罪のみならば、有期の懲役刑で済むと、哀牙は考えたのだ。


哀牙は仮面マスクの犯行と、優作が『KB警備』の元社員である事を利用して、彼に罪を着せる計画を立て、本当は毒島から、自身へと送られた脅迫状を優作に送り、『倉院の里 秘宝展』が開かれる『高菱屋百貨店』に仮面マスクの予告状を出すと、探偵として警備するふりをしつつ、毒島からの手紙に記述された、指定時刻に合わせて、仮面マスクの衣装に着替えて『倉院の壺』を盗み出した。衣装は最初の事件で、優作が隠しておいた物を発見して手に入れていた。今までの盗難品は、いずれも高価な芸術品だった反面『倉院の壺』は金銭的価値は0であり、これを盗み出す事でアリバイを作ろうとした事からも、如何に哀牙が切羽詰まっていたかが解る。


そして事件当日、哀牙は地下倉庫を抜け出して、優作よりも先に『KB警備』の社長室に向かい、毒島を殺害。時間通りにやって来た優作を殴って気絶させて、防犯ブザーを鳴らして社長室から逃走し、『高菱屋』の地下倉庫に戻って、現場工作と警備システムへの細工を施した上で「壺が盗まれた」と通報した。


優作が仮面マスクとして自首する等、想定外の事態が幾つか起こったものの、概ね哀牙の計画通りに事は運び、最後に検察側の証人として裁判に登場し、優作の弁護を行った成歩堂に暴かれる形で、「自分が仮面マスクである」と暴露する事で「毒島が殺害された時、自分は壺を盗んでいた」という鉄壁のアリバイを作り上げた。こうして哀牙はまんまと殺人罪から逃げおおせ、その罪を優作に着せる事に成功したのである。


後日、行われた優作の殺人容疑を巡る裁判では、別室の法廷で窃盗容疑の裁判にかけられ、減刑を目指して、得意満面で被告人をしていた。その途中、成歩堂によって優作が被告人の法廷に引きずり出され、改めて証人に加わる事となる。


「毒島殺害の罪を優作に着せる計画」を暴かれたが、決定的な証拠が無かった為に、成歩堂はあと一歩の所で、哀牙を取り逃がしそうになってしまう。だが勝利を確信した油断から、不用意な発言をしてしまった事で真宵が霊媒した千尋によって、最後の尋問の機会を設けられてしまう。更に証言中に「毒島社長の殺害当時、優作は仮面マスクの衣装を着ていた」と口を滑らせてしまった。事件当時、現場にいた者しか知り得ない情報を述べた事で、とうとう成歩堂に「自分が毒島の死亡時に殺害現場にいた事」を立証されてしまい、今度は殺人罪で逮捕される事となった。


最後まで「我こそが、名探偵にして大怪盗である、大物の中の大物」という主張を頑として譲らなかったが、成歩堂からは「あなたは誇り高くも怪盗でも‥‥まして名探偵でもない。脅迫者にして殺人犯。それが、あなたの正体なのです!」と引導を渡された。


ちなみに、人物ファイルで千尋を「この人をどう思うか」と突き付けると、鼻の下を伸ばして「今度、是非、紹介して頂きたい」と願い出る。その千尋に知らず知らずの内に、失言によって生じた弱点を突かれて、自滅へと追いやられるのは皮肉と言える。


他の事件の犯人が皆「自分は何の罪も犯していない」と主張して、何が何でも逮捕から逃げ切ろうとする中、「即座に警察の追跡をかわすのは不可能と判断し、あえて逮捕される事を受け入れ、軽微な刑罰を得ようと画策した、哀牙の犯行と動機」は今も尚シリーズ中でも異彩を放っている。この着眼点の鋭さだけでも、知能犯としては評価に値する。


それから2周目のプレイで解る事だが、「成歩堂の発動させた、サイコ・ロックの内容を欺くという偉業」を『逆転』キャラでは唯一、成し遂げている。彼のサイコ・ロック解除後の証言は「地下倉庫で後頭部を、仮面マスクに殴られて気絶した」とあるが、全くの嘘八百である。実際には上述の通り『KB警備』の社長室で、逆に本物の仮面マスクである優作を、殴って気絶させている有り様である。法廷でも最後の失言が無ければ、逃げ切れていた上、優作に送る「仮面マスクの窃盗計画」をトレーニング段階から立てたりする等、名探偵としては役者不足でも、犯罪者としてはある意味、天才かもしれない。コミカルな外見、性格、言動に反して、シリーズ屈指の知能犯にして強敵だったと言えよう。だからこそ『逆転』ファンからの高い人気も獲得出来たのだろう。


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