CV:千葉一伸
概要
アニメオリジナルストーリー『斬魄刀異聞篇』の主要人物。
かなりの実力者で金剛爆(こんごうばく)、牙気烈光(がきれっこう)、氷牙征嵐(ひょうがせいらん)など、独自の鬼道を操ることができる(氷牙征嵐は周囲の地形を凍結、さらに八十九番以下の鬼道を完全防御する「断空」をも破っており、かなり高性能なことが窺える)。
斬魄刀
解号は「囁け『村正』(ささやけ『~』)」。
敵対する死神の斬魄刀を操る能力を持つ。
- 卍解【無鉤条誅村正】(むこうじょうちゅうむらまさ)
始解と同じく能力開放に伴う形状変化はないが、「村正」本体を他者にも視認できる形で実体化する。
実体化した村正は、斬魄刀の意識に語りかけることで、刀が持つ本能を刺激して斬魄刀の本体を実体化させて操る能力を持つ。
村正はこの能力を使い「斬魄刀の反乱」を引き起こした。
経緯
統学院時代に屈服済みだったが、この能力を恐れた他の死神から危険視されるのではないかと考えた「村正」が、卍解できる事実を響河に隠していた。しかし「自分が将来どんなに迫害される事になろうと、今仲間を救えるなら構わない」という仲間を想う響河に心を打たれ卍解を伝授した。
とてつもない能力ではあるが、心を閉ざすことで能力から逃れられるという弱点が存在している。
しかし、響河自身は斬魄刀抜きでも高い戦闘力を誇り、さらに相手の五感を狂わせる能力を持ち合わせているため、心を閉ざしたとしても彼を打倒することは困難である。
劇中での活躍
高い実力を誇る彼は、数多の反乱分子を制圧した功績を見込まれ、当時の六番隊隊長である朽木銀嶺の娘婿となり、次期当主として嘱望されていた。
清廉潔白で真面目な性格ではあるが、自らの力を過信しすぎる一面を持ち、その人間性が銀嶺に認められず次第に苛立ちを覚え始める。
反乱分子を制圧するため、総隊長・山本元柳斎重國直属の特務部隊隊長に抜擢された(実は響河の力を危惧する銀嶺と元柳斎が彼を監視するための措置)際に、響河の活躍を妬んだある死神一派の策に嵌り、同胞殺しの汚名を着せられ牢獄に繋がれる。
村正の助けを借り脱獄に成功した響河は、自分を嵌めた死神たちの元へ向かう。
その道中に卑劣な策を弄した彼らはきっと後悔しているはずと考えたが、対峙した死神たちの態度に我慢の限界を超えた響河は彼らを殺害し逃亡。
その後に神社跡にて銀嶺から自身の行いを問い詰められる。
元々何もしていなかったと弁明する響河に銀嶺は
「しかし今はどうだ。動機があったとしても刀を抜かぬ者を殺めるという大罪を犯した。お主は処刑されるだろう」
と糾弾されたことで彼は完全に歪んでしまった。
殺害した死神と同様に銀嶺に対しても自身の実力を妬んでいると思い込み殺害を試みるが、心を閉ざした銀嶺に村正の能力を回避され失敗に終わる。そして、身に着けていた牽星箝を銀嶺に投げ捨て朽木家・護廷十三隊への反乱の意思を固めた。
その後は皆が自分を憎んでいると被害妄想を抱き、生きるために多くの死神を殺害した。また、この頃から村正の言葉を聞かなくなっている。そして、村正を道具の一つと捉え始めた響河の言葉は村正に聞こえなくなっていく。その影響で響河の解号を聞き取るまでにタイムラグが生じてしまう。
しばらくして、響河による被害者が数十名に及ぶ事態を重く見た銀嶺は「彼の斬魄刀の能力を知ったうえで、彼の攻撃を防ぐために心を閉ざせるほどの霊圧と強靭な精神力を持ち、さらに心を閉ざした状態で彼と刃を向けることができる人物が自分の他にもう一人いれば太刀打ちできると考えている」と尸魂界の重鎮らに提案。そして、元柳斎自ら響河の封印に協力すると名乗りを上げる。
そのころの響河は流魂街の住民までも手にかけていた。かつての行動原理だった「生きるため」は「尸魂界全土に自分をはじき出したことの愚かさと己の無力を思い知らせるため」に変化。村正へは「黙って俺に従っていればいい」と吐き捨て、自分の身を案じる言葉にさえ「刀の分際で指図するな」と聞く耳を持たなくなった。
響河の言葉が完全に聞こえなくなった村正とともに、銀嶺・元柳斎と対峙した彼は隙をつかれ二人に封印されてしまう。
それから数百年後、響河の居場所をようやく突き止めた村正により解放される。しかし、封印される寸前に自身に手を貸さなかった村正を見限った。
斬魄刀の反乱には響河の関与があることをいち早く察知し、朽木家の誇りをかけ響河討伐のため独自に活動していた朽木白哉。響河は朽木家との繋がりを断ち切るため白哉と激闘を繰り広げる。
白哉との戦闘前に斬魄刀を自ら破壊し、「貴様などなくとも俺の力だけで充分」と村正へ言い放つ。
その言葉に絶望した村正は、これまで喰らった虚たちが暴走し虚化。さらに空座町に大量の虚や大虚が現れ大混乱に陥る。
このときの戦いでは自分を封じる際に用いられた武器や響河オリジナルの鬼道、不可視の縄状のもので拘束する技、さらに彼自身が持つ相手の五感を狂わせる能力を駆使している。
結末
白哉との戦闘は熾烈を極めた。五感を狂わせる能力を使って白哉から斬魄刀を離し、響河オリジナル鬼道である氷牙征嵐で下半身を氷結させ追い詰めた。しかし、白哉の斬魄刀である千本桜が主を守るため自ら始解したことにより形勢逆転され、卍解形態の一つ、殲景・千本桜景厳の空間に引き込まれてしまう。
この空間では五感を狂わせることも相手を拘束することもできない。
かつては朽木家在籍だった響河へ、最後の敬意を表し繰り出した終景・白帝剣の一太刀の前に倒される。
白哉によって斬り伏せられた響河は、見限った村正に助けを求めるが体勢を崩して、そのまま白哉と激闘を繰り広げた湖の中に沈み息絶えた。
白哉は「力に取り込まれ、力に支配された心弱き男の末路」と彼を称した。
原作との関わり
斬魄刀異聞篇と原作世界はパラレルの関係性である。
しかし、アニメオリジナルキャラである狩能雅忘人が未登場ながら原作世界にも存在し、小説版では斬魄刀異聞篇について言及があり、実体化した花天狂骨のキャラデザが採用されるなど、原作設定に繋がっている可能性がある。
ただしその場合、原作から110年前の時点で、銀嶺は隊長歴が100年未満であるのに、アニメでは数百年前に隊長であったり、原作では銀嶺より先輩なはずの京楽春水が、アニメでは銀嶺と響河の確執を知らないなどややこしい部分が出てくる。
…と思われていたが、のちに原作者が銀嶺も100年以上隊長を務めていると明言したため、これらの矛盾がほぼ解消されている。
アニメ版千年血戦編の5話のエス・ノト戦では白哉がこれまで戦ってきた相手の回想シーンが挟まれており、その中に響河の姿も映っているが、ファンサービスなのか正史に反映されたのかは不明