概要
焼き鳥製造機とは、史実において、大改造前の空母「加賀」に付けられた蔑称である。pixivでは主に、この空母をモチーフにした『艦隊これくしょん』のキャラクター加賀に対してネタとして用いられる。
元ネタ
空母において、大きく上に立ち上がる存在そのものが邪魔で、さらに排煙・気流で艦載機の着艦を妨害する煙突をどう処理すべきかは大きな問題である。
旧日本海軍の初期の空母「加賀」においては、建造当初、イギリスの空母フューリアスに倣って、煙突を大きく艦尾にまで導設するという試みがなされた。
結果としては失敗で、気流はやっぱり邪魔になっただけでなく、長く大きな煙突はスペースの無駄遣いでもあった。ついでに軍縮条約で排水量が制限されている中、重量増で枠を無駄遣いすることにもなった。
そして、大きな問題として、煙突に隣接する内部区画が熱さで耐えられなかったのである。あまりの熱さに乗っている飛行機や飛行機乗り(海軍の搭乗員は海鷲と称えられていた)が焼けてしまう、と、ついたあだ名が海鷲の焼き鳥製造機である。
しかし、予算を特型駆逐艦や重巡洋艦、金剛型の改装にと食われていた関係から、日華事変初期までこの状態で運用され続けた。
その後、三段式甲板を取っ払う大改装の際に、赤城と同じ下向き湾曲煙突に変えられた。
これによって居住性は大幅に改善されたが、それでもこのあだ名は払拭できなかった。
どういうことォ!? 実は赤城と比べてみれば分かる。元々長門型と同程度の速力を想定していた加賀に対し、赤城は金剛型の次代として建造されていたため、船体の設計からして赤城のほうが高速向きだった。この為、赤城の方がボイラー数が少ない(同型の艦本式ロ号缶で、赤城9缶、加賀12缶)のに高速(赤城32ノット、加賀28.5ノット)である。つまり加賀はその分ボイラーの熱効率が悪かったのだ。タービンで消費しきれない熱量は当然上部の居住区を加熱してしまったのである。
ちなみに
赤城の方は加賀以上に事態は深刻だったそうで、船内の衛生環境が極端に悪く乗組員に多くの病人を出していたことから“人殺し長屋”というとんでもない蔑称が付けられていた。
艦これのネタ
『艦隊これくしょん』の加賀は第二次世界大戦時、つまり改造後をモチーフにしているため、あまり関係はないはずだが、黒歴史として加賀をからかうネタとしてだけでなく、現に体温が高いことが示されたりもしている。
英国面
ちなみに、同じ失敗をやらかしたフューリアスはどうしたのかというと、煙突を取っ払ってなんと格納庫内に排気し、これを電気換気扇で外部に排出していた。
一般に英海軍艦はその国防ドクトリンの関係もあって居住性が良いとされているが、何にでも例外は存在する。