概要
千空がコハクと出会い彼女に案内されてたどり着いた村。石化当時でいう日本の箱根の芦ノ湖と思われる湖のほとりに面した二つの小さな島を吊橋で繋いだ、子供と隠居を除いて人口40人の集落。
村人は石化の経験が無く、独特の形をした石のサンダルを履く。
『村の外に人間はいない、余所者=過去に追放された罪人』と考えられており、余所者を厳しく排斥する掟がある。嘗て常識だった文明レベルは縄文時代から弥生時代のものに近く、一方で科学につながるものは“危険な妖術”と異端視されている。
当初、千空は「自分達よりはるか昔に何らかのきっかけで石化を解いた者の子孫」と考えていたが、代々村の巫女により伝承されてきた後述の‟百物語″により、彼らの正体は「宇宙にいたために石化を免れた石神百夜たち6人の宇宙飛行士の子孫」である事が判明した。
宇宙飛行士6人のうち少なくとも4人がコーカソイドであったため金髪碧眼など白人の特徴を持った人間が一定数おり(特にアニメではその特徴を強調した配色になっている)、村人の髪色も黒~こげ茶系統、金髪系統の二種に大きく分かれている(例外もいる)。カセキやマントル他、村民の一部は小人症のような特徴がある。
村長は代々一世代に一度だけ行われる武術大会‟御前試合″の優勝者が巫女の夫となり、先代から長の座を継ぐというしきたりがある。
百物語
百夜が元教師という経歴を活かし、村人たちが生きるために必要な知識を残す目的で作った昔話。
当初は国際標準語として使われる英語で考えられていたが、リリアンの助言から日本語で作られた。
『桃太郎』のお供がゴリラ・クマ・ライオン等凶暴な猛獣になっているなど我々の知る内容とはかなり改変されているが、これは百夜が危険な猛獣を伝えるためにアレンジしたせい。村人はこの動物たちの実物を見たことはないものの、比喩表現等で使われる程に文化として浸透している。
他には食べられるものや民間療法、さらには物好きが集める(=科学技術の発展のために使える)可能性を願って石についての話も残されている。村民の名前が基本的に鉱物やそれにちなんだ無機物に関係するのはおそらくこの物語の影響によるもの。
『スピーカー』というおしゃべり好きな蜂が針を墓石に指すと死者の声をしゃべるという百夜の時代の技術を伝えるようなものがあり、そこには更に重要な物に繋がるヒントが隠されていた。
百物語は3千700年の時が経ってもほぼそのままの形で受け継がれ、使用言語や基礎語彙は維持されており、紙はおろか文字文化がほとんどなかった石神村の貴重な教養となっている。
その為、千空たち旧現代人とも問題なく意志疎通を可能とした。
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ネタバレ
百物語其之百 石神千空
百物語の最後の百番目はルリ達歴代の巫女によって伝承されている。
その内容は教養とは無関係ではあるが、始祖である百夜が自分の息子と石化後の世界での自分の生涯を綴ったもので、同時に彼へ宛てたメッセージと彼が復活したときに村人たちが協力してほしいという願いが込められていた。
巫女のみ内容を知っているという神秘性から予言としても機能することが想定されており、
百夜は宇宙出発前に千空へ持ち帰ると言っていた「科学みやげ」は「百物語が紡ぐ仲間たち」という形で3千700年の時を越えて千空の元へ届いたのだった。
巫女による口伝制にした理由としては、言語の変化と内容の歪曲を極力防ぐためと推測される。