繋駕速歩競走
けいがそくほきょうそう
古代の戦車競走に由来するレース形態で、一人乗り二輪馬車の繋駕車を馬が引っ張って競走をする。
馬の歩調によってトロットとペースに分かれる。トロットで走る馬はトロッター、ペースで走る馬はペーサーと呼ばれ、それぞれの走り方で調教・レースが分けられており、トロッターの馬がペーサーのレースに混じることやその逆はない。
繋駕速歩競走に出走する馬はサラブレッドではなく、スタンダードブレッド、フレンチトロッター、オルロフトロッター、スウェーデントロッター、ミズーリフォックストロッターなどのトロッター種が使われる。
日本では大正時代に軍馬育成の奨励を目的に繋駕速歩競走が行われ、太平洋戦争前は出走頭数20頭以上が当たり前という状況であった。
品種はスタンダードブレッド種(特にアメリカントロッター)は軍馬の改良に適さないという理由から排除され、ハクニーやアングロノルマンとサラブレッドをかけ合わせたものから血統不明の雑種が大半を占めていた。
太平洋戦争終結後、まず地方競馬から繋駕速歩競走が再開され、中央競馬でも1950年から競走馬資源が特に不足していた関西で繋駕速歩競走を再開した。
一時の関西地区の中央競馬を支えた繋駕速歩競走だが、サラブレッドの生産数が増えて平地競走の出走頭数や競走数が増加した一方、速歩馬は高齢まで出走を続ける馬も多く、レースに対して馬の数が多すぎる状況になりつつあった。競馬ファンからもスピード感に乏しいなどの理由から興味が失われていき、1968年12月に中京競馬場で行われたレースを最後に日本の中央競馬における繋駕速歩競走は姿を消した。
一方、地方競馬は中央での繋駕速歩廃止後も競走が継続され、1971年6月までレースが行われていた。
馬券発売を伴う繋駕速歩競走は日本で行われなくなって久しいが、畜産振興などを目的とする草競馬として北海道の道東エリアではよく行われ、愛馬の日などのイベントで競馬場で模擬レースを行ったこともある。
この競走で58勝を挙げたウラジは、フランスで最も知名度が高い馬となった。
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