「この姿はほんとうのオレじゃない 本当の俺なんて無いけどね」
概要
CV:楠大典
演者:山路和弘
刺青を持つ脱獄囚の一人で、天才的な詐欺師。対象者の内面から模倣する変装術を得意とし、巧みな話術で相手の心を掌握する。米軍の大佐になりすまし、裕福な家の女性に結婚詐欺を繰り返した罪で網走監獄に収監されていた。
脱獄囚の中では珍しい頭脳犯だが、その一方で戦闘力は皆無。
脱獄後は、政府の上級役人になりすまして樺戸監獄に現れ、集団脱獄を引き起こす。この時に脱獄させたヤクザたちと共にアイヌのコタン(村)を乗っ取り、「村長のレタンノ エカシ」として潜伏していた。「息子のエクロゥ」を始め、仲間には各々アイヌの設定を与えていた模様。また、同時に脱獄させた天才的な贋作師の熊岸長庵を監禁し、偽札作りに従事させていた。尚、村の女性たちは、脅迫して従わせていた本物のアイヌである。
作中での動向
樺戸に向かう道中だった杉元佐一一向をアイヌの村長として出迎える。しかし、その立ち振る舞いは和人の杉元たちは兎も角、本物のアイヌのアシリパからすればツッコミどころが多く、彼女には早々に偽物と見抜かれてしまう。
そのため、アシリパが一人になった瞬間を狙って彼女を仲間に拉致させ、引き続き杉元らを騙し続けたが、不審な点が次々と出てしまい、遂には杉元にアシリパの所在を聞かれたエクロゥが『刺繡に夢中』と答えたことが決定打となり、偽物とバレてしまう。怒れる杉元らや村の女性の反撃によって仲間が次々と殺されていく中、一人逃げようとするも、元々コタンで飼っていた熊が脱走して襲撃される。この際に網走の脱獄囚であったことが判明したため、牛山辰馬に助けられた。
その後は、姉畑支遁の情報を売ることで何とか殺されることは免れ、杉元や土方歳三らに合流(実質拘束)。第七師団に白石が捕らえられてしまった際は、救出作戦に白羽の矢が立てられる。当初は協力を拒んで逃げ出したが、杉元、キロランケ、尾形、牛山といった面々に散々に追い掛け回され、遂に観念。網走監獄の典獄である犬童四郎助に化ける方法を思い立つ。犬童と鈴川は元々似ていなかったが、髪型、髭、そして表情を真似た姿は、犬童を知る者達が驚くほどそっくりで、変装名人の本領を見せた。
部下の看守に成りすました杉元と共に、白石が収監されている27聯隊を訪れ、聯隊長の淀川中佐を巧みな話術で手玉に取り、熊岸長庵(金で雇った偽物)と白石の交換を提案。実際に白石が呼びつけられる所まで成功する。しかし、あと一押しと言う所でこの動きを疑った鶴見中尉から派遣された鯉登少尉が乱入。薩摩弁の会話にも見事対応して杉元らを感心させるが、『相当な飲兵衛だと聞いた』という質問に対して、『近頃は弱くなった』と答えた直後、鯉登少尉に射殺された(本物の犬童は下戸)。
補足
鈴川自身は射殺されてしまったが、杉元の奮闘と待機していた尾形、アシリパの援護により、白石救出には成功した。最後は杉元の力技で決めたとはいえ、彼が無茶ができる(救出対象が眼前にいる)状況まで持っていけたのは鈴川の変装と話術によるものと言えるだろう。
脱獄後の行動からして、自発的に金塊を探す気は無かったようだが、もし、どこかの陣営に合流して金塊争奪戦に本格的に参加していれば、情勢に影響を与えていたかもしれない。