「これは獣と獣の殺し合いよ 」
「猟師の魂が勃起する!!」
概要
プロフィール
網走監獄から脱獄した入れ墨を持つ脱獄囚の一人。
猟犬にアイヌ犬のリュウを連れている。
口癖は「勃起!」。
「冬眠中の熊もうなされる悪夢の熊撃ち」として知られる伝説の猟師。これまでに200頭以上の羆を仕留めてきた。
人物
豪放磊落を地で行く破天荒な性格で、自身を「獣」と称するほどにワイルドな男。
撃つ毎に再装填が必要な単発式の18年式村田銃を愛用しており、さらに予備弾を指に挟むような事もしない。
本人曰く「最初の1発で決めなければ殺される、だからこそ覚悟が決まる」。
刑務所に収監された理由も獣じみており、「自分を狙った山賊達を返り討ちにしている最中、最後の一人が警察に逮捕されてしまったが、熊が獲物に執着するがごとく、警察の制止を振り切って殴り殺してしまったため」である。脱獄理由も金塊ではなく「山で死ぬため」であり、「勝負の末に死に、獣に食い散らかされて山に帰る」ことを理想としていた。
豪快な一方で「女は恐ろしい」と語り、女への畏怖と警戒心を持ち合わせている。
実は子沢山で、妻との間に15人の子供がいたが、現在は音信不通となっている。その中で唯一の息子は日清戦争で戦死している。愛用の銃は息子が戦地で使用していたものであり、銃床にある7本の傷は、息子が敵兵を殺害する度に刻んだ物であるらしい。彼の息子がそのような傷を残した理由は定かではないが、二瓶自身が「息子は人を殺して喜ぶような奴じゃない」と語るところから察するに、殺した敵兵に対するせめてもの弔いのためであった模様。
10年ほど前には釧路のアイヌキラウㇱとも猟に出ており、キラウㇱから「一帯のヒグマが全部いなくなるのでは」と言われる程の腕を見せていた。
また、白石とは房を共にしていた顔見知りである。
作中での活躍
登場してから活躍した期間自体は短いが、彼が後の物語に残した影響は大きい。
また、人の世界の法よりも山の掟を重視する彼の価値観自体は一般社会とは相容れないものの、決して理解不能なものではなく、何より死してなお猟師の誇りを貫いたその生き様は、復讐や戦争に囚われて進むべき道を見失っていた谷垣源次郎の心を救い、彼の人生の道標、および行動原理の一つとなっている。
人物の項目にもある通り、収監前は凄腕の猟師として生活していたが、猟師を殺して獲物を奪う悪党に狙われたことに激昂し、逆に悪党一味を追い詰め警官の目の前で殺害したことで逮捕され、網走監獄にて服役していた。
脱獄後は最後のエゾオオカミであるレタㇻを仕留めるため山入りし、負傷して行き倒れていた谷垣と遭遇。レタㇻを狩るために行動を共にすることになる。その中で谷垣がマタギへの未練で揺れ動いていることに気づき、谷垣の迷いを吹っ切るきっかけを作る。
一方で、レタㇻを守り刺青人皮を狙う杉元一行と衝突。乱戦の末、やがてアシㇼパを人質に取ってレタㇻを誘き出すことに成功、念願の一騎討ちに挑む。片腕を犠牲にして接近戦となったことで勝利を確実視したが、直後に乱入してきたレタㇻの伴侶に首元を噛み切られ致命傷を負う。
だが本人はこの命がけの勝負に満足しており、笑みをこぼしながら静かに息を引き取った。
死後
二瓶の刺青人皮は杉元に回収され、本人の希望通り、その遺体は埋葬されることなく大自然の中に放置された。
彼の村田銃と猟犬のリュウはアシㇼパが回収。リュウはその後、その聡明さと勇気で杉元一行を度々助けることになる。
村田銃は尾形と二階堂に襲撃された際に谷垣が使用し、それ以降は二瓶の信念(と、勃起の魂)と共に彼が受け継ぐ事となった。
さらに、その魂は谷垣を慕うチカパシにも受け継がれることとなった。
「谷垣ニシパ、これが勃起?」
「そうだチカパシ、これが勃起だ!」
二瓶利光との関係
作者野田サトルの前作『スピナマラダ!』、そのリブート作である『ドッグスレッド』には二瓶鉄造とそっくりな二瓶利光が登場している。
特徴的な髪形や破天荒な性格、そして導く立ち位置などの多くの共通点から、ファンの間で「二瓶利光は二瓶鉄造の子孫なのではないか?」との憶測が度々なされていた。
これに対し野田サトルは「(両者に)血縁関係はあると思います。」と回答しており、二瓶鉄造の子孫説が現実味を帯びることとなった。
指導!
さらに、2015年9月にはBOOK☆WALKERにて、集英社が主催する「秋マン!!2015」のBOOK☆WALKER特別企画として、『スピナマラダ!』全6巻と『ゴールデンカムイ』(当時)最新4巻の同時配信を記念したキャンペーン、「ダブル二瓶祭」が開催された。そこでは期間中に『スピナマラダ!』を1冊以上購入した方に“二瓶利光”、『ゴールデンカムイ』を1冊以上購入した方に“二瓶鉄造”、それぞれの名言ピンナップをプレゼントし、『スピナマラダ!』全6冊を購入した方には、600コインをプレゼントするというキャンペーンが行われていた。
余談
二瓶鉄造のモデルとなったのは、日本史上最悪の羆害「三毛別羆事件」を終息させ、生涯で300頭もの羆を仕留めたとされる伝説のマタギ・山本兵吉と、熊谷達也の小説『銀狼王』の主人公である老猟師・二瓶である。
インタビュー記事等によると、作者としても特に思い入れの深いキャラクターらしく、当初は彼を主人公にする考えもあったらしい。(野田先生曰く「汚いオッサン猟師が主人公だったら、即打ちきりだったでしょうね」との事だが、それはそれで見てみたかった気はしなくもない)
また「勝負は常に最初の1発で決めなければならない」という美学は、実在するアイスホッケーの強豪チームの監督の考えから来ている。
アニメ版
TVアニメ版で声優を務めるのはベテラン・大塚明夫氏。元々大塚氏自身も原作のファンであり、アニメ化の報せを主要キャラのオーディション終了後に知って残念がっていたところ、製作サイドから直接二瓶役のオファーを受けて嬉しかったという。
収録にも強い思い入れを持って臨み、台本の台詞の一部を本人の強い希望で変更した事もあった模様。
(参考URL:https://kamuy-anime.com/special/interview/index01100000.html)