「アハッアハッアハッッ!! その顔ッ!! いい顔するねッ」
概要
プロフィール
刺青囚人の一人。顔や身体には自作の刺青を施し、派手な帽子やブレイズ風の三つ編みなど、道化師のような見た目をした男。
子供を狙うシリアルキラーで、何人も攫っては庭に埋めていたという。脱獄後は飴売りを装って日本各地を渡り歩いていた。
人物
一人称は「僕」で、普段からおどけた喋り方をしている。
父親は箱館戦争で武功を挙げた新政府軍の軍人で、実は裕福な生まれである。しかし、常に父親のような優秀さを求められ、遊ぶことも出来ず勉強ばかりをさせられる鬱屈した幼少期を過ごす少年だった模様。現代風に言うなら、教育虐待を受けていたとも言えようか。
だが、ある時、心の支えだった愛犬「ジロー」の失踪がきっかけで不満が爆発し、自らの顔に「犬」という刺青を入れる。愛犬への想いと親への反抗を込めた行動だったようだが、父の「がっかりした顔」を見たことでこの上ない満足を覚える。この歪んだ経験によって上エ地の人格は修復不可能なレベルでねじ曲がってしまう。
以来、他人の「がっかりした顔」を見ることが行動原理となった。
また、上述のように子供ばかりを狙って殺して歩くシリアルキラーになったのも、鬱屈した子供時代を過ごしたが故であり、楽しく遊んでいる子供に対する嫉妬と苛立ちが根底にある模様。なお、父親は上エ地が子供を殺して逮捕された後に、いたたまれなくなったのか自殺している。これによって、上エ地は自分が最も見たかった『父のがっかりした顔』が見れなくなってしまい、行き場の無いフラストレーションを抱え続けることになる。
常習的に嘘を吐く一面もあり、過去には網走監獄で海賊房太郎とトラブルを起こしている(彼も知らなかった叔母が面会に来たがっていると嘘をつき、その身なりなどを事細かに話しては房太郎を期待させるといったもの。そんな女性はいないと知った本人に問い詰められた時には怯むどころか笑い転げている)。
そういったタチの悪さから、牛山辰馬には今でも「悪魔」と警戒される存在だった。
同時期に登場した囚人マイケル・オストログと共にキーパーソンになるかと思われたが…。
作中での活躍
子どもに飴だと嘘をついて石炭を渡したり、刺青の情報を集める杉元たちに顔の刺青を見せつけてがっかりさせるなど狡猾に暗躍する。
その後、いなくなった犬を探す子どもを嘘で呼び寄せて殺害しようとしたが牛山によって阻止されて逃亡(この際、本誌掲載時にはいなくなった犬と子どもの殺害の様子が描かれていたが単行本収録時にはカットされた)。
その後、麦酒工場で再登場。刺青争奪戦や火事騒ぎによって刺青人皮を探す第七師団、杉元・土方一派など大勢の人間が集まってることに狂喜し、注目を集めようと消火に駆けつけた梯子車を伝って煙突へと登り…
以降ネタバレを含みます。
「暗号はもう解けないよ〜」
父を超えるがっかりした顔を求める上エ地は、のっぺらぼうに彫られた暗号をもう解読できないよう、更に自分で無数の刺青を全身に施した身体を(フルチンで)煙突の上で晒して叫ぶのだった。
だが、自身の目論見に反して第七師団、杉元・土方一派は見向きもしない。
それもそのはず、彼らは刺青人皮が24枚全て揃わなくとも暗号解読できることに勘づいていたからだ。唯一、その考えに至らなかった上エ地は子供のように癇癪を起こす。
「金塊に呪われて醜くなった自分にがっかりしろよ!!」
「がっかりしたその顔を僕に見せろぉ!!」
『人をがっかりさせる』事に執念を注ぐ上エ地にとって、最も耐えがたい屈辱は『人から無視される』ことであった。
憤慨のあまりに煙突から足を滑らせ、そのまま落ちてしまう上エ地。だが、彼は落ちる中で窓に映った自分の「がっかりした顔」に気付き、そこにかつての父を重ねたのか大喜びしながら地面に激突し死亡する。
このコマでは読者の方に指が向いており、最後の囚人という事で期待されていた上エ地のあっけない最期を見てまさにがっかりした読者に喜んでいるという解釈も見られる。
重要人物と思わせてあっけない最期を迎えたが、彼は「刺青人皮は全て揃わなくても問題ない」ということを伝えるための重要なキャラクターであったことには間違いない。読者からは「アンチは黙殺すべしの典型例」「要らないことに意味がある」とも解釈されている。
もしも彼が二十四人の脱獄囚の中で物語の最終盤ではなく、もっと早く登場し刺青争奪戦に関われていたのなら、対峙した相手を一時程度はがっかりさせることができたかもしれないが……
備考
元ネタは恐らく実在の殺人鬼ジョン・ウェイン・ゲイシー。あの有名ホラー映画「IT/イット」に登場する殺人ピエロ「ペニーワイズ」のモデルとなった人物である。
特徴的な刺青などはアメリカのラッパー・6ix9ine(テカシ69)を彷彿とさせる。
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道化:二重の意味で