陶磁器
とうじき
土を好みの形に成型して炉に詰め、高熱で変性加工した器を指す。水分の吸収を防ぐ為、釉薬を塗り付けて表面をガラスコーティングしてあるのが土器との違いである。従ってタイルや土管も陶磁器の分類にカテゴライズされる。
わかりやすい違いは以下のようなものがある
よって洋食器のような丸皿を陶器で作成した場合、磁器より数倍の重さになりしかもずんぐりしてしまう為、両者はそれぞれ棲み分けが行われている。冬場に温かい飲み物を保温するには磁器より陶器の方が優れているといった点も見逃せないポイントであろう。但し、陶器は水分を吸うので予め、熱湯を入れて水を吸わせておく等の措置を施さないと飲料の味が変わる、飲料の色が付くといった欠点を持つ。
陶磁器は東アジアが原産地および主産地となっていて、英語でも陶器はchinaと呼ばれている。現在ではヨーロッパやアメリカでも優れたものが多く作られている。殊に古くから白磁に憧れていたヨーロッパは19世紀に入って磁器焼成の技術が広まると、見る見るうちに優れた食器を輩出するようになった。
元々、陶磁器は生活利器であった故にどの地域でも大抵は陶磁器が作成されていたが、輸送手段が確立されるに従って市場規模の小さい、或いは特徴に乏しい窯元は閉窯を余儀なくされているのが実情である。食器や家庭器物など、日常生活で気軽に用いられるものから、美術品として何千万円という価格の付くものまで幅広い。
日本では鉄道による物品輸送手段が確立された明治時代以降、東日本では陶磁器の総称を「瀬戸(或いは瀬戸物)」、西日本では「唐津(或いは「唐津物」)」と称されている。陶磁器の産地としては日本六古窯として「瀬戸」(瀬戸焼)、「常滑」(常滑焼)、「越前」(越前焼)、「信楽」(信楽焼)、「丹波」(丹波立杭焼)、「備前」(備前焼)がそれぞれ有名であるが、現在の市場シェアとしては陶器の大半を美濃国、可児から土岐に至るまでの所謂、東濃美濃焼産地が占めるに至る(瀬戸焼も実際には室町時代後期から美濃で焼かれた品が多い。瀬戸からの暖簾分けとも云われる)。逆に磁器で日本のシェアを多く占めるのは有田である。
が、前述の通り陶磁器は生活に欠かせない利器である為、今でも全国各地で様々な焼き物が焼かれているのが実際であり、逆に珍しい所では陶磁器の技術を派生させてセラミックへと転用した例もある(日本特殊陶業など)。
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