高野文子は新潟県新津出身の漫画家、イラストレーター。
デビュー35年以上で単行本7冊(と、絵本1冊)と極めて寡作。しかし、前衛的な表現手法で常に漫画の表現領域の限界に挑戦しつづけてきたとして、同業者や漫画評論家からの評価は極めて高く、後続の作家に与えた影響は大きい。
作風
卓越した画力に定評があるが、画風は何度も変遷している。デビュー当初の萩尾望都風の絵柄から始まり、浮世絵調、大友克洋風、童画調...といったように、初期は作品の題材に応じて画風を大きく変えていた。1980年代なかばから上田トシコの影響を受けた絵柄が定着しているが、近年はまた大きく絵柄を変えている。
題材は多岐にわたるが、短編作品では少女時代を過ごした昭和中期をモチーフにした作品が比較的多い。本職が看護師であるためか、「田辺のつる」、「病気になったトモコさん」、「二の二の六」など、生と死、病に関する作品に定評がある。
単行本リスト
『絶対安全剃刀』(1982年 白泉社)
『おともだち』(1983年 綺譚社/1993年 筑摩書房)
『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』(1987年 小学館/1998年 マガジンハウス)
『るきさん』(1993年 筑摩書房/1996年 筑摩文庫)
『棒がいっぽん』(1995年 マガジンハウス)
『黄色い本』(2002年 講談社)
『ドミトリーともきんす』(2014年 中央公論新社)