スペック
乗員 | 1名 |
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全長 | 16.04m |
全幅 | 11.76m |
全高 | 2.80m |
自重 | 12,040kg |
基準離陸重量 | 18,998kg |
最大離陸重量 | 不明 |
エンジン | MHF-1180-JFターボファン(推力9,778kg(ミリタリーパワー)、11,030kg(アフターバーナー使用時))×2 |
巡航速度 | マッハ0.88 |
最高速度 | マッハ1.8(高度12,000m) |
実用限界高度 | 21,200m |
機体荷重限界 | 9G+ |
武装 | 20mmガトリング砲×1、胴体内ウェポン・ベイに各種ミサイル、誘導爆弾など最大6発。または偵察ポッド、ドロップタンクなどを搭載可能 |
概要
神林長平によるSF小説「戦闘妖精・雪風」のOVA化作品「戦闘妖精雪風」に登場する、日本海軍(※)の主力戦闘攻撃機。
- ※:フェアリィ戦争勃発によって海上自衛隊が改名したもの(同様に陸上自衛隊も日本陸軍に、航空自衛隊も日本空軍に改称している)。なお、日本の野党や一部メディアは「フェアリィ戦争は自衛隊の軍昇格を目的としたでっち上げ」と主張しているらしい。
小説版にも日本海軍所属の戦闘攻撃機は登場するが、機体名称や各種設定などは登場せず、これらはOVA版で初めて設定された。その為、実質的にはOVAオリジナル機体といえる。
なお本項目では、本機を搭載する航空母艦「アドミラル56」についても解説する。
機体解説
日本海軍の原子力空母「アドミラル56」の艦載機として開発された主力戦闘攻撃機。アメリカ・ヨーロッパが艦載機を共同開発するのを尻目に、国内産業育成と技術水準保持を目的として100%日本国内で設計・開発された。
本機自体は「F/A-27」のバリエーションの一つらしく、他にも
- 地上での運用を想定した空軍向け支援戦闘機のA型
- リフトファンとベクタード・スラストを併用した陸軍向けSTOVL型近接航空支援機のB型
が計画された。現実にもそんな戦闘機あったような.....
設計は高機動性とステルス性を重視したもので、変形後退翼に外半角のついた双垂直尾翼とカナードを有する実質的な3サーフィス機。艦隊防空や対地/対艦攻撃、SEAD(敵対空火器制圧)、偵察など多様な任務に対応可能なマルチロール機であり、大きな兵装搭載能力と航続能力を有している。
性能と問題点
そんな本機だが、いざ出来上がってみると性能自体は同級機と比較しても劣らないものに仕上がっている。が、一方で様々な問題点を有していた。
生産数の少なさ及び一機当たりの単価
本機一番の問題点。全て国産にした結果、代償として開発費と開発期間が延びに延びてしまった。それだけで済めば良かったのだが、生産数はA型で98機、C型で55機と格段に少なく、結果一機当たりの単価がとんでもなく跳ね上がってしまった。
その価格は同級機の8倍、一説によるとフェアリィ空軍のスーパーシルフと同等とされるほどである。
B型の計画中止
先述の通りSTOVL型となるはずだったB型は、陸軍・空軍間の縄張り争いによって最終的に計画中止に追い込まれてしまった。が、実は縄張り争いが原因というのは建前で、本当は計画自体研究開発費獲得のための方便だったらしい。
ソフトウェア開発の遅延
本機の開発期間が延びた原因。主にエンジンとアビオニクスの2つが存在する。
エンジン
本機のエンジンはご多分に漏れず国産のものであり、額面性能やスペックは世界一流とされているが、実戦的な高機動飛行時の推力マネジメント等のエンジンコントロール用のソフトウェアは、一応満足できる実用性を確立するまでに相当苦労したといわれている。
アビオニクス
本機のアビオニクスは、機首の多機能型アクティブ・フェーズドアレイレーダーと機首下部の光学センサー、そして機体各部のコンフォーマルアンテナを、操縦・航法システムや攻撃システムと統合させている。
しかしこのシステム統合が難物であり、結果として機種転換訓練部隊の編成から実戦運用承認まで2年半も要する要因となった。
アドミラル56
基準排水量 | 89,000トン |
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基準排水量 | 12,3000トン |
全長 | 390m |
全幅 | 110m(飛行甲板部の最大幅85m) |
全高 | 80m |
喫水 | 12m |
機関 | 加圧水型原子炉×8、蒸気タービン発電機×4基、モーター8基4軸、合計出力298,000馬力 |
速力 | 30ノット+ |
乗員 | 3200名 |
兵装 | 局点防御用対空ミサイル発射機×4基、近接防御システム×4基 |
搭載機数 | F/A-27C艦上戦闘攻撃機、E-2C艦上早期警戒機、CH-53E大型ヘリコプターなど約80機 |
日本海軍唯一の原子力空母。各国軍の戦力を統合的に運用する「地球軍構想」の一環として建造された空母群の内の一隻で、同級艦にはアメリカ海軍の「ヒラリー・クリントン級」、イギリス海軍・オーストラリア海軍共同の「イーグル」、ヨーロッパ各国共同の「グラーフ・ツェッペリン」がある。
本来ならばこれらは共通の同型艦として完成する予定だったが、各国の要求性能や建造時期の違いから完全な同型艦とはならず、それぞれ差異が存在している。アドミラル56はそんな中でも後期に就役した艦で、他の同級艦と比べて様々な改良が加えられた。
飛行甲板の配置はヒラリー・クリントン級と同様で、カタパルト4基とアングルド・デッキを有する一般的なCATOBAR空母のそれである。しかし、基本設計完了後に実用化されたアクティブステルス機能を搭載することとなったため、飛行甲板そのものを大幅に拡張し、各所にアクティブステルス用アレイ構造物を設置している。そのため、ステルス性重視のために統合・コンフォーマル化がなされるはずだった各種アンテナは独立装備された(艦橋構造物がステルス性が高い形状であるのは名残)。
しかしこの構造物のために4基のエレベーターのうち2基はインボード式となった他、艦載機の搭載スペースは他国の空母と比べて縮小されてしまった。ただ、艦のECM能力自体は大幅に向上しており、艦載機搭載数もやや小型のF/A-27Cを主力機として採用することで標準的な搭載機数を保つことに成功している。
- ECM能力の高さは空母航空団から電子戦機の割合を減らすことにも寄与しており、そのため日本海軍の空母航空団は戦闘機/攻撃機の割合が他国のそれと比べて高くなっている。
機関方式は加圧水型原子炉を動力源として採用した電気推進であるが、アメリカが大出力原子炉の技術移転を渋ったため、原子力潜水艦用の原子炉を世界初の原子力空母よろしく8基搭載している。また、発電能力が新型センサーの消費電力に食われたため、航空機射出用カタパルトは電磁カタパルトではなく蒸気カタパルトを採用している。
なお特徴的なその艦名だが、原作では読み方は表記されていない(OVA版では「アドミラルゴジュウロク」と発音されているが、OVA版公式サイトでは「アドミラル56(イソロク)」と表記されている)。
由来については「旧大日本帝国海軍時代の連合艦隊司令長官」「建造が承認された年度である皇紀2656年(西暦では1996年)の末尾2桁に因む」など様々な説が挙げられているが、近隣諸国への配慮から日本海軍は公式には発表していない。