FirefoxとはMozillaによりオープンソースで開発されているWEBブラウザ。
バージョン5.0から高速リリースサイクルに移行した。
またはクレイグ・トーマス著の小説とそれを原作にした映画、それに登場する架空機→MiG-31
概要
Mozillaが開発するブラウザで、Netscape系タブブラウザの後継。
かつてInternetExplorer一強の時代に挑み、タブ機能や豊富な拡張機能によって、そのシェアを大きく崩したことで知られる。
しかし2010年代には大資本をバックにしたGoogleChrome(ないしオープンソース版のChromium)の登場により、かなりシェアを減らしている。
Chromeが採用しているBlinkレンダリングエンジン一強のブラウザ界隈において、FirefoxはGeckoレンダリングエンジンをデフォルトとして使用している(safariはWebkitだが、Blinkのフォーク先でもある)。
最終的にIEがサポート終了に伴い消滅した事で、今や非Chromiumなブラウザとしては(Firefox系列が)唯一の存在となっている。
ちなみにModzillaにはGoogleも出資しており、競合対象にしてサポート関係という複雑な状況が築かれている(Geckoブラウザが消滅すると、独占禁止法抵触の危険があるためと推測される)。
クロスプラットフォームなのでMacOS、UNIX系、Linuxディストリビューション、AndroidなどさまざまなOS上で動作する。
とくにLinuxディストリビューションではFirefoxまたはFirefoxのソースコードを改装した別ブラウザがデフォルトになっていることが多い(メーラーもMozilla提供のThunderbirdが搭載されている事が少なくない)。
またChromeで言うGoogleアカウントに匹敵するFirefox Syncもあり、各デバイスでブックマークやパスワードなどを共有出来る。
略称はFx、fxが推奨されるが日本国内では直訳の火狐が一般的。これはデフォルトアイコンの意匠になっている地球を取り巻く炎を纏ったような赤狐からきている。
しかし、Firefoxの本来の意味はレッサーパンダである。デザイナーによると、レッサーパンダを指すことは知っていたのだが比較的マイナーな動物だったこともあってイメージが沸かず、日本の狐の絵にいいのがあったのでそれを参考にロゴを描いたとのこと。なのでこれは勘違いとかではなくわざと狐にしている。
ちなみにMozilla Japan(現・WebDINO Japan)が制作したマスコットキャラの名前はフォクすけである。(Mozillaのマスコットは、赤いティラノサウルス)
「Quantum」以降の特徴
当記事では「Quantum」以前の情報も多いため、ここに記述。
長所
- Chromiumベースのブラウザは拡張機能(アドオン)を追加していくと動作が重くなっていくという欠点がある(後述通りこれは「Quantum」以前のFirefoxも抱えていた問題だった)が、こちらはほぼ独自規格によるリニューアルに伴いそこまで重くならない。拡張機能(アドオン)導入前提での立ち上げの速さは歴然である。
- Portableによる持ち運びが手軽。ChromiumベースのPortableブラウザはクラウドデータを維持できない事が多く(まともに出来るのはOperaくらい)、特にGoogle Chromeはほぼ初期状態同然に戻されてしまうため使い物にならない。Firefoxは「Firefox Sync」と連動の維持がかなり強く、ほぼそのままの状態で稼働できる。
- スマホカメラでQRコードですぐに「Firefox Sync」を同期可能。これは他の一部ブラウザにもある機能だが、FirefoxはQRコードの読み込みスピードがとても速い。なお、同期にQRコードに依存しない場合は紐づけしたメールアドレスに送信されたパスコードを入力する必要がある。
- Android版もアドオンが使用可能※。この拡張機能が使えるという一点を取っても、原則拡張機能に対応していないChromeに大きく勝る。
- PC版でも他のブラウザでは広告ブロッカー関係で締め付けが強まっており、「ublock Origin(オープンソースの広告ブロックアドオン、任意のマイフィルターを導入することで広告だけでなくウェブサイトの気に入らない部分を消去したりもできる)」などを愛用している人はFirefoxをお勧めする。
- 他のブラウザの初期設定時にありがちな、(通信量稼ぎの)あなたへのおすすめ系ニュースが無い。最近は炎上狙いのクソニュースも増えているため、それらを見なくて済むのは地味にメリットである。
※Quantum当初はFirefoxの認めたごく少数のアドオンしか使えなかったが、2023年12月より対応の完了した複数のアドオン導入が解禁されている。
短所
- 拡張機能(アドオン)が独自規格のため、Chromium用の拡張機能や旧Firofoxの拡張機能の遺産は利用できない。しかし、Quantumに移行してかなり経つため大抵のものは補完されている。
- レンダリングエンジンが独自のものであるため、まれに正常に動かない場合がある。
- 自動更新が入るとスペックによっては重い。更新頻度も多いため、パソコンが異様に重くなった→仕方なくFirefoxを終了→Firefoxを更新していますとなるのは日常茶飯事。このため一応手動更新に変更することも可能だが、知らない間に自動更新設定に戻っていることも…
- Android版の画像保存場所にSDカードを指定できない。SDカード内のファイルを見ると一応ダウンロード用ファイルは作られているようだが、今のところSDカードに指定する方法が存在しない。このため、SDカードへの移動の手順が必要になる。
- Android版のホームページに表示される「以前表示したタブ」の生命力がやたらしぶとく、同期先のブラウザがCookie含めた全履歴を削除したとしても履歴が表示されてしまう。そのためスマホを覗かれたりするとペアリングしているFirefoxで何を見てたかバレるセキュリティホールになってしまっている現状「余計なお世話」な機能でしかない。
リリースチャンネルと非公式ビルド
公式ビルド
- Firefox正式版
安定版。普通はコレがインストールされる。
2015年12月にはFirefox 43のリリースに併せて64ビット版が提供開始。
32ビット版と比べ処理速度が2倍になり限界メモリ量も増える。
リリースサイクルは6週間。
- Firefox Focus/Firefox Klar(ドイツ語圏での呼称)
あらゆるトラッキング要素を排除し、プライバシー保護を掲げたモバイル向けバージョン。
常時プライベートモードであり、ブラウザ自体のロック機能も搭載。上級者向け。
- Firefox Beta
安定化前のベータ版。正式版+1。
基本的にNightlyで加えられた変更へ安定性や互換性の修正が行われている。
その為正式版よりも若干不安定なものの、普段使いにはさして問題ない。
リリースサイクルは1週間。
- Developer Edition(Aurora)
開発者向けのブラウザで様々なツールが提供されている。
セキュリティー要件が緩かったりする以外は基本的にはBeta版に準ずる。
なおAndroid版は存在しない。リリースサイクルは1週間。
- Nightly
ベータ版より先にリリースされるアルファ版。正式版+2。
開発中の新機能の追加が行われているが、その分かなり不安定。
基本人柱になりたい新し物好きかゴリゴリのデバッガー向け。
リリースサイクルは毎日。
Nightlyとは毎晩ソースコードをビルドすることに由来する。
非公式ビルド
Mozillaの関与していない派生カスタム版で、基本有志が開発している。
PC向け
カスタマイズ性とプライバシーを重視した、日本学生発のブラウザ。
Vivaldiを意識した機能などが追加されている。
直訳で「冷たい月」。派生のGoannaエンジンを使用。
わりと有名なカスタムビルド。64bit版あり。
Android版もあったが、Ver30以後はパソコン版に一本化している。
バージョンがオリジナルより進んでいないが内部は同じ。
直訳で「水狐」
64ビットの改造版でレガシーアドオンを使用可能。
ただし開発が鈍重で整備が遅い。
通常版はFirefox 102esrを、クラシック版ではFirefox 56をベースに開発が続けられている。
Android向け
本家Firefoxからオープンソースでないコードを抜いて再コンパイルされた、プライバシー重視のブラウザ。
よりプライバシーに厳格なMullというブラウザもある。
Quantum移行後アドオンが少数しか使えなかった時代に、より多数のアドオンを使用可能にした派生ブラウザ。
開発終了
- Cyberfox
直訳で「電子の狐」(ただしアイコンに狐はいない)
64ビット版ありで黒をベースにした見た目がカッコイイ。
それ以外はかつてのWaterfoxとほとんど同じ。唯一の違いは更新速度が早いということ。
残念ながら2018年6月に公開されたCyberfox v52.9.1を最後に更新終了。
公式サイトも閉鎖されており、早急な他ブラウザへの乗り換えを推奨する。
拡張機能(アドオン)
他のブラウザでは到底真似のできない豊富な拡張機能(アドオン)をウリにしていた。有名なものはGoogleChromeにも移植され猛追を受けていたものの、そのソフトウェア遺産という点では歴史の長いFirefoxが圧倒していた。特にハッカー文化が生きていた2000年代に作られたものは、有志の探究心で作られていたために信頼性が高いものが多く、スパイウェア騒動が度々起こるChorme拡張機能より安心できるものだった。
しかし、当時のFirefoxはChromeに対して拡張機能を多く付けていくと重くなるという欠点があった。耐えかねた開発陣は旧来のFirefoxの廃止を決定。2017年11月14日に「Firefox Quantum」と名付けられたFirefox 57がリリースされ、Chrome系と同じWebExtensionsに移行し、旧式の拡張機能は使用できなくなった。現在は移行もかなり進んだが、当初は代替の拡張機能が不足しておりこれでFirefoxを見限った人も多く出るなど混乱した。
現在はChromeの新たな拡張機能仕様「Manifest V3」への反発の結果、柔軟な対応を見せたFirefoxへの再評価も進んでいる。
旧来の拡張機能が使いたい人はWaterfox ClassicかPale moonを使おう。
著名な拡張機能一覧
以下の情報には、古いものもあるので注意
五十音順。
使って当然!なアドオン
いわゆる広告ブロッカー。ウイルス対策ソフトと同様、複数入れると互いに競合しあい、Webサイトがまともに表示されなくなる可能性があるので、どれか一つに絞ること。
広告ブロックの先駆け。激うざバナー広告やYoutubeなどの動画広告をほとんど非表示にできる。
不要なサーバーアクセスを減らすことでインターネット全体の無駄なトラフィックを減らすことができるが、専有メモリが多い。
現在は日本語圏のフィルタ更新がされていないため非推奨。下のuBlock Originを使おう。どうしてもこちらを使いたいのなら、一緒に豆腐フィルタを入れるとマシになる(ちなみにuBlock Originでもコレは使える。というか、作者様はそっちへ切り替えてほしいとの事)。
ウェブページ上の見えないウェブを見つけ、トラッカーやウェブバグ、ピクセル、そしてビーコンなどを検出し動作をブロックする。
こちらはCookie(たまにCookieを許可してくださいなんて出るアレ)もブロックするので頭にアルミホイル帽子を被りたい陰謀論者……。もとい自分の情報をサイト運営者に渡したくない人にお勧め。
ただしWebサイトの挙動がおかしくなる事もあるので、場合によっては無効にする必要がある。ある意味過剰ともいえる広告ブロッカー。
上記のAdblockと同レベルの、優秀な広告ブロック機能を持つアドオン。
こちらは上述の通りAndroid版との連動運用も出来る他、マルウェアを配布するサイトに接続するのを防ぐこともできる。メモリ使用量も少なめ。
作者は他の資本からの誘導を防ぐため、寄付すら一切受け付けていないという徹底ぶり。
注意点として、マイフィルターの反映はGoogleドライブなどのクラウドコンピューティングからだと読み込みが中断するため、前もってSDカードや端末などの物理メディアに保存したファイルから引き継ぎを行う必要がある(ちなみにKiwiBrowserだとドライブからでも直接読み込める)。しかし2024年10月のアップデートでデータの引き継ぎ画面が変更され、Googleドライブからでも直接読み込めるようになった。
余談だが、ChromeやEdgeでは上述のManifest V3に対応したuBlock Origin Liteがリリースされているが、Firefox版はMozilla側が公開停止にし、その後のMozillaの対応に怒った開発者がアドオンストアから当該アドオンを削除してしまったため、先行きは怪しかったりする(開発者曰く、将来的には自動更新可能なセルフホストバージョンをGitHubで公開するとのこと)。
あると手放せなくなるアドオン
YouTubeなどの動画サイトにて、デフォルトのプレイヤーからバッファリングを最小限に抑えたものに置き換えるアドオン。uBlock Origin開発陣の一人から(近年厳しさを増す)YouTube広告ブロックの別解として紹介された。
著作権の都合上、DRM保護されたコンテンツ(おそらくNetFlixなど)では機能しないため注意。
Nightlyビルドのテスターを支援するためのアドオン。ビルドIDや拡張機能のリストをまとめて出力することができる。
ウェブサイトのデザインには必須な痒いところに手が届くCSS編集用アドオン。
CSSの知識がなくても、専用のスタイルシートが数多く用意されているため扱いやすい。
実はかつて全く同じ機能を持っていたStylishが名を轟かせていたが、作成者が突然機能を改悪し、さらに無断でユーザーデータを他社に提供していた事が問題になり利用者離れが続出した。そしてかつてのStylishの利便性を取り戻したい有志によって新たにStylusが作られたという経緯を持つ。
近年改悪激しいX(旧Twitter)のUIを改変(して元に戻したりする)アドオン。
元々は色を変えたりするだけのものだったが、情勢の変化に伴いかなりの項目が追加された。あまりに多すぎて分かりづらくなったためか目的別のテンプレートも完備。
似たアドオンにControl Panel for Twitterがあり、こちらは機能面に特化したものとなっている。モバイル版ではUI Customizerは機能しない事もままあるため、そちらとの連携も視野に入れるなら導入を推奨される。
ブラウザの言語を検知してまるごと翻訳してくれる。Chromeのデフォルト機能と違いYandexやDeepLも使用できたりサイトごとに翻訳設定を編集できるのが強み。モバイル用もある。
近年は日本のマスコミの偏向報道が過激・露骨化しているのもあり、ニューヨーク・タイムズやBBCなどの英字ニュースサイトで日本人が「日本で報道されない日本の社会問題」を知るのに一躍買っている。
リンクの貼られていないURL(5chとかによくある、“ttp://www.pixiv.net/”のようなの)を開くことができる。
さらに、(かなりコツを要するが)メニューの編集とカスタマイズ次第により、ページ内で選択した文字列をキーワードに、特定のサイトでの検索までもできるようになる。
例:
- 「pixiv|http://www.pixiv.net/search.php?s_mode=s_tag&word=」で、pixiv内のキーワード検索(部分一致)ができるようになる。
- 「Wikipedia|http://ja.wikipedia.org/wiki/Special:Search?search=*&sourceid=mozilla-search」で、Wikipedia(日本語版)の記事が検索できる。
偏向的な記事の採り上げが目立つYahoo!ニュースにおいて、キーワードを指定した記事を非表示にできるアドオン。
元々はChrome向けのアドオンで、Firefoxでは使えなかったがいつの間にか追加されていた。
もっとも自分に都合のいい情報だけを見過ぎるとエコーチェンバー現象に陥って、意図せずに他者の異なる意見を排除し、差別的になる可能性を秘めているので使い方には注意が必要(ヤフコメ自体サイバーカスケードとも言えるか)。
Youtubeの検索結果から設定したブロックワードの動画を除外するアドオン。
現YouTubeはYoutuberの問題の項目にもあるように検索妨害としてあらゆる話題に便乗してくる乞食Youtuberやその切り抜き動画が跋扈しており、広告料欲しさに手段を選ばなくなっているYoutube運営が抜本的な対策を行う意思も全く見られないため、自己防衛手段としてほぼ必須レベルのアドオンとなっている。残念ながらモバイル版は非対応。
似たような運用をするアドオンにChannel Blockerがある。
あると便利なアドオン
ウェブ上にある特定のワードを別のものに置き換えられるユニークなアドオン。
例えば「Firefox」→「火狐」に置き換えたフィルタを作れば、ウェブ上で「Firefox」の文字は「火狐」に変換されて表示される(例外あり)。
pixiv専用ダウンロードツール。
だが保存設定をしておかないとデータが迷子になる。
RSSフィードの読み出しを行う。
強力な一括ダウンロードツール。利用不可のサイトもアリ。
こちらも保存設定をしておかないとデータが迷子になる。
現在の状態(=セッション)を保存できる。状態はいつでも復元できる。
だがセッションは結構場所を取るので保存しすぎると重くなる。
検索エンジンから特定のドメインの候補を不可視化する。
廃止されてしまったPersonal Blocklistの後継として使われることが多い。
ただし検索結果次第では全く機能しないこともあるため導入しないよりかははるかにマシ程度の信頼だと思ったほうがいい。モバイル版にも対応し、むしろこちらの方が正常に動作しやすい模様。
似た拡張機能にいかがでしたかブログをシューティングしたゴシップサイトブロッカーもあるが、こちらはublacklist以上に機能が不安定化しておりドメインブロッカーとしては脱落しつつある。
多重階層下のページで上位ディレクトリに上ることができる。
rootディレクトリでは使えない(当たり前)。
ウェブ上にある動画をダウンロード出来るアドオン。
ただし大半の動画はパソコン側にコンパニオンアプリを入れていないとダウンロード出来ない。
もちろんこれも保存設定をしておかないとデータが迷子になる。
アドオンストア
https://addons.mozilla.org/ja/firefox/extensions/
テーマ(Personas for Firefox)
Firefoxもchromeよろしく、ブラウザの着せ替えに対応している。
コチラから選んだ外観にFirefoxの見た目を変えられる。
例えば、見た目を初音ミクにしたりなんかいろいろできる。
外部リンク
関連タグ
InternetExplorer(IE)・GoogleChrome(Chrome)・Safari・Opera・Thunderbird
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