概要
High-Definition Multimedia Interface(ハイ・ディフェンション・マルチメディア・インターフェス)の頭文字で通称「エイチディーエムアイ」と読む。SiliconImage、ソニー、東芝、トムソン、パナソニック、日立製作所、フィリップスの7社の共同開発である。なお、公式サイトの取扱い言語は英語で提供されている。
映像・音声をデジタル信号のままテレビやAVアンプに送れる端子であり、それまでのアナログAV端子などと違って一本のケーブルで済むシンプルさも特徴である。
2000年代に発売されたパソコン向けのDVIをベースに、著作権保護機能、音声伝送機能などを追加したもので、伝送中に画質や音質が全く劣化せずに送信元のデータ品質が維持できるようになった。
家電向けの規格であり、テレビ、テレビレコーダー、BD・DVDプレイヤー、家庭用ゲーム機などで利用されるのが主。
パソコンなどでの使用はあまり想定されていなかったが、DVIより小型であるとか、テレビとの接続が楽になるなどでパソコンでも普及していった。
フルハイビジョンや4K2K、8Kのような高画質映像も、その性質上HDMIのようなデジタル端子でないとスペックを発揮出来ないため、新しい映像規格が出る度に性能を更新している忙しい規格である。ために、同じHDMIケーブルであっても古い製品だと新しい映像規格に対応していないため、最新機種と繋ぐと使用出来ない場合もあり、少しややこしい。
バージョン
HDMIには世代があり、時代が進むごとに機能が進化している。
コネクタの形状を変えずに後方互換性を維持しているが、古い機器で上位の通信を実行することは出来ない。
- HDMI1.0
初代。フルHD秒間60コマが限界。
- HDMI1.3
通信速度が二倍に。巨大なサラウンド音声データを送れるようになったほか、色のデータを細かく遅れるようになった。
- HDMI1.4
先代で増えた通信速度を利用して、4K解像度に対応。(秒間30コマで、色にじみ許容で秒間60コマ)
3D映像も送れるようになるなど、大きな進化となった。
- HDMI2.0
通信速度が初代の3倍以上にUP。4K解像度を秒間60コマで送れる。
HDR映像に対応するために、2.0aや2.0bなどのサブバージョンが後から追加された。
- HDMI2.1
現行の最新バージョン。通信速度は最大で初代の10倍に達する。
4K解像度の秒間120コマや、8K解像度の秒間60コマを送れる。理論的には10Kなどの未来の解像度も通信する余地を残している。
しかし、増えすぎた通信速度はノイズなどに弱く、正常に通信するには高品質ケーブルが必要になるなど、ハードルは高い。
通信方法に少し変更が入っており、競合品のDisplayPortに近いパケット通信が採用されている。
主な規格
- 端子部のサイズ
スタンダード、マイクロ、ミニ
DVIの端子と比べて小型かつ、薄い。
- 映像
映像信号の中身はDVIと全く同じである。(TMDSという規格)
ただし、DVIでサポートされていたアナログ映像はサポートしなくなった。
高精細な映像を送る際に、DVIが「ケーブルを2本、4本と複数接続」であったのに対し、HDMIは「ケーブル一本で通信クロックを上げる」というアプローチをしている。
4K映像まではHDMI一本でも何とかなったのだが、8K映像では信号線を疑似的に増やして対応したり、映像をデジタル圧縮して伝送するなど、限界が見え始めている。
- 音声
DVIとの最大の差異で、同じケーブルで音声を、しかもデジタルで伝送できるようになった。
送れる音声の品質や種類も豊富で、サラウンドなどで大量の音声を送る必要のある家電業界ではありがたい存在。
更にHDMIの音声で特徴的なのは「双方向通信」が可能という点で、機器から画面に送られてきた音声を、別の機器(サウンドバーなど)に向けて中継することが出来る。(ARC、eARC)
- 互換性
DVIでは基準を明確にしなかったために、メーカーごとにあれやこれや独自機能を搭載するのが目立ち、最悪の場合ケーブルを接続しただけで機器が破壊されるという事案が発生していた。
この反省からHDMIは明確な基準を設け、製品名に「HDMI」を入れるには接続テストなどに合格しなければならなくなった。
- 機器制御
CEC(Consumer Electronics Control)という機能が備わっている。これは、画面(テレビ)が受け取ったリモコンからなどの制御信号を、HDMIケーブルを通して、他の機器に中継する機能である。
これにより、リモコンを持ち変えることなくBDプレイヤーやレコーダーを操作したり、テレビの番組表からレコーダーに録画命令を出すことが出来るようになった。
CECはメーカごとに独自名称を設けていることが多い(例:パナソニックの場合はビエラリンク等に該当する)
- 著作権保護
デジタル通信は情報の劣化が少ないことから、「BDやDVDなどの映像ソフトを、デジタルケーブルを介して完璧にコピーされるのではないか」という問題が映画業界などから叫ばれていた。
そこで、映像通信時にデータに暗号化をかけて、外部からの盗聴を防ぐ仕組みが作られた。これが「HDCP」である。
HDMIでは、信号線の数本を利用して、暗号化に必要な鍵などの交換を行っている。(なおDVIでもHDCPは使える)
- 追加機能
世界的に普及した規格であるため、新しい端子に取り換えるのではなく、HDMIの通信を更新する形で追加機能が付与されている。
HDR映像の再生機能や、フレームレートを同期させるVRRなどが後から追加された機能である。
初期の費用などのコストについて
アナログケーブルに比べるとピンや端子内部などの機構が複雑で製造に手間がかかることもあって、当初HDMIケーブルは全体的に約5000円以上と割高だったがその後値下がりしていき、ダイソーや家電量販店では400円から2000円で販売されている。
安さから品質を心配したくなるが、「HDMI」と名乗っている以上、同規格団体が設けている試作試験をクリアしているはずなので(団体公式の説明によれば)そこは別に気にしなくてもいい。
活用法
ケーブルの形状は様々で、代表的なものではHDMI専用のAD変換アダプタ(ただし、音声の転送は不可)や曲がったタイプもある角度を変えるだけのアダプタ、延長アダプタや端子部分が元々左右上下別に曲がった向き別のHDMIケーブルが売られている。
ドッキングステーションと呼ばれるUSBを利用したハブタイプの周辺機器にも搭載されている。
対応する製品同士をHDMIで接続することで1台のリモコンで複数の機器を操作することができるようになる機能を積んだ製品もある。
また、それに伴い上記の同機能を持つ監視カメラ(主に業務用等)や防犯カメラ(一般用等)のストレージサーバーの機器にもこの映像出力(ケーブル)に切り替えてしまった様である。(理由は、画質低下による犯人が全く特定できない事があると言う問題点から)
USB(Type-C)端子からHDMIケーブルをパソコンやスマホのUSB端子に接続して出力できるものもある。
USB-PD対応モデルもある。
問題点
一見いいことづくめのように思われているが、実際はAV機器配線でのトラブルを増やした加害者の一人でもある。
前述の通りDVIとの互換を有しているため、DVI-HDMI変換ケーブルでも音声が通るのだと勘違いしている人や、ビデオカードに合わせた設定切り替えが出来ず泣きつく人がこれに該当する。もう勘弁して下さい。
Blu-rayプレイヤーやゲーム機器がHDMI以外の端子に対応していない場合や防犯カメラの録画機器などはAV機器を丸ごと買い直す必要に迫られる場合もあるため、古い機器を使っているユーザーにしてみれば鬼門でもある。
AV機器(防犯カメラ等を含む)もデジタル化が進んだ結果、アナログ端子を最初から排除してHDMIのみで済ませてしまうパソコンやゲーム機を始めとする機器が大半となっており、古参ユーザー泣かせな状況は当分続きそうである。しかし、実際のこの背景には著作権保護の欠点問題を解決すると言う理由らしいのだが…。
競合品
パソコン業界での音声&映像デジタル通信規格として、DisplayPortがある。
こちらは、HDMIより後発である上に、内部の通信規格もパケット通信という新しいアプローチがとられており、高解像度映像への耐性が高い。
関連タグ
端子 D端子 DVI端子 VGA D-sub DisplayPort RCA端子 コンポーネント映像 AV端子 光デジタル音声 ケーブル AV機器 コピープロテクト(コピーガード信号関連として) デジタル放送 映像
プレイステーション3 プレイステーション4 プレイステーション5 XboxOne
WiiU ニンテンドースイッチ(Liteを除く)