概要
神奈川県川崎市に本社を構える持株会社「ディーアンドエムホールディングス」を親会社とするオーディオ・メーカー。
ミニコンポ、Hi-Fiコンポーネント、ホームシアター向けの音響機器などを製造販売している。
元々は1953年にニューヨーク(アメリカ合衆国)で創業した高級オーディオ・メーカーであった。
略歴
1951年、インダストリアル・デザイナーのソウル・バーナード・マランツ(1911年7月7日~1997年1月16日)は友人に頼まれてモノラル・プリ・アンプ「オーディオ・コンソレット」を製作。当時はアナログ・レコードを再生する際のフォノ・イコライザーのカーブがまちまちで不便であったため(現在はほぼRIAAカーブに統一)、各種のイコライザー・カーブを備え簡単に切り替えできるようにした。
1953年、「オーディオ・コンソレット」が好評で依頼が殺到し、捌き切れなくなったため、ロングアイランド(ニューヨーク州)にマランツ社を設立した。
1954年、RIAA規格が制定されたのに合わせ、超高級モノラル・プリ・アンプ「#1」が一般向けに販売された。
1956年、超高級モノラル・パワー・アンプ「#2」が販売された。
1958年、ステレオ・レコードの登場に合わせ、超高級ステレオ・プリ・アンプ「#7C」が発売された。オーディオ・マニアからは伝説の銘機と評されている。
1960年、超高級モノラル・パワー・アンプ「#9」が販売された。マランツの真空管パワー・アンプの頂点と評される。
1961年、アメリカでFMステレオ放送が開始されたが、マランツはFMチューナーの開発で出遅れてしまった。
1963年、出遅れを挽回すべく超高級FM専用チューナー「#10B」を開発。真空管FMチューナーの最高傑作と評されたが、開発費を使いすぎてマランツ社は資金難に陥る。
1964年、マランツ社はスーパースコープ社に売却された。スーパースコープ社は映画の画面アスペクト比2.35:1の「スーパースコープ方式」で知られるが、当時は総合オーディオ・メーカーを目指していた。
1966年、マランツ初のトランジスタ・パワー・アンプ「#15」が発売される。
1968年、スーパースコープ社は低価格なプリメイン・アンプ市場に進出するため日本のスタンダード工業の試作機を採用し、マランツ・ブランドで「#25モジュラーステレオ」として発売。
1971年、スーパースコープ社はスタンダード工業の株50%を取得し、子会社とした。
1975年、スタンダード工業が「日本マランツ」と商号変更した。
1976年、トライ・トーン・コントロールやREC OUTセレクターを搭載した高級トランジスタ・プリメイン・アンプ「#1250」を発売。日本で大ヒットとなった。
1980年、拡大路線が裏目に出て資金難に陥ったスーパースコープ社は、北米以外でのマランツ製品の権利をフィリップス社(オランダ)に売却した。
1982年、フィリップス社が世界初のCDプレーヤー「CD-63」を開発するが、非常に高価になったため、マランツのブランドで発売。
1985年、傑作CDプレーヤーとして知られる「CD-34」を発売。
1987年、スーパースコープ社がダイナスキャン社に売却される。
1990年、ダイナスキャン社が北米でのマランツ製品の権利をフィリップス社に売却。
1991年、世界初のSACDプレーヤー「SA-1」を発売。
2001年、日本マランツ社がフィリップス社からマランツ・ブランドに関する全ての権利を買い取って独立。
2002年、DENONと共に持ち会社「ディーアンドエムホールディングス」の子会社となる。