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グリンチ

ぐりんち

児童文学作家ドクター・スースが1957年に発表した絵本『グリンチはどうやってクリスマスを盗んだのか』の主人公。及び、その絵本を元に制作された映画のタイトル。
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概要編集

児童文学作家ドクター・スースが1957年に発表した絵本『グリンチはどうやってクリスマスを盗んだのか』(「How the Grinch stole Christmas!」)の主人公。及び、その絵本を元に制作された映画のタイトル。クリスマスの商業化を題材にしており、アメリカでは60年以上に渡って読み継がれているベストセラーだが、日本では後述の実写映画公開時の2000年に翻訳版が出版されて以来、絶版となっている。

ちなみに、グリンチの本当の初出は1955年に発表された「The Hoobub and the Grinch」という詩の挿絵。


1966年にアニメ化、2000年に実写映画化、2018年に3DCG映画化されている。

2018年版の制作は「怪盗グルー」シリーズや「ペット」「SING/シング」のイルミネーション・エンターテインメント。2018年11月9日に全米公開。グリンチの声優をベネディクト・カンバーバッチ、吹き替えを大泉洋が務める。


ストーリー編集

クリスマスが大嫌いなグリンチは、眼下のフーヴィルに住むフー達がクリスマスの到来に浮かれているのが気に入らない。

グリンチはフーの村からクリスマスを盗み、フー達を失意のどん底にたたき落としてやろうと計略を巡らせる。

クリスマスイブの夜、サンタクロースの格好をしてプレゼントやご馳走や飾りつけを村中から盗み出すグリンチ。やがて夜明けになり、フー達が絶望する様を見てやろうとフーヴィルを見下ろすグリンチ。

だがクリスマスの朝が来た時、グリンチは驚いた。クリスマスが根こそぎ盗まれたというのにフー達は皆楽しそうに歌を歌っていたのだ。

もしかしたらクリスマスは、自分が考えていたよりも奥が深いものだったのかもしれない。そう思い直したグリンチは改心し、フーヴィルのフー達にクリスマスを返すのだった。


キャラクターとしてのグリンチ編集


The Evil Grin Grinch


Grinch グリンチ


グリンチ


演:ボリス・カーロフ(テレビスペシャル版)、ジム・キャリー/山寺宏一(実写版)、ベネディクト・カンバーバッチ/大泉洋(イルミネーション版)


常に不機嫌で意地悪なひねくれ者。他人の幸せを毛嫌いしており、中でも1年を通して最も愛と喜びに溢れるクリスマスシーズンを心底憎んでいる。

表情は基本的に不愉快そうな仏頂面が大半だが、悪事をおもいつくと邪悪な笑みを浮かべる。

その性格はドクター・スース自身が作詞を担当した「You're A Mean One, Mr.Grinch」での歌詞によると「黒ブチまみれの腐ったバナナ」「魂にニンニクが入っている」「斑点のついた食えないトマト」「微笑むと口からシロアリが溢れる」「洗ってない下着みたいな心の持ち主」という風に形容されている。

実写版ではより不潔で悪趣味で騒々しいキャラ付けがされているが、これはジム・キャリーのハイテンションな演技によるところが大きい。

こうした性質上、人との関わりはほとんど皆無で、唯一行動を共にする存在は飼い犬のマックスぐらいのもの。


クリスマスが嫌いな理由については誰にも分からないらしく、作中ではハートのサイズが普通よりも余りに小さすぎるからではないかと語られているが、実写版ではグリンチが孤独な幼少期に壮絶ないじめを受けていたことが起因している。


グリンチの人物像はチャールズ・ディケンズによる古典「クリスマス・キャロル」の主人公エベニーザ・スクルージと度々比較される。「クリスマス・キャロル」はスクルージの救済が全体の主なテーマなのに対しグリンチは最後の最後にようやく改心するという違いはあれど、いずれもクリスマスの本質に気づかされて心境が変化する点ではよく似ている(ジム・キャリーは2000年と2009年にグリンチとスクルージの両方を演じている)。

また、グリンチのモデルは原作者のドクター・スース自身がモデルであるともいわれている。作中でグリンチは53年間クリスマスに耐え続けてきたと語っているが、スース自身も絵本が刊行された1957年当時は53歳だった。さらに、スースの自家用車にも「GRINCH」と表記されたナンバープレートを付けていたという。


ちなみに、グリンチは今でこそ緑色の毛で覆われた容姿で知られているが、原作は赤と黒2色刷りであり、固有の色はなかった。1966年のアニメ化に際し、美術担当のモーリス・ノーブル(1940年の「ファンタジア」などに参加している)の提案で緑色に決定し、これをスースが承諾して以来、グリンチの体色は緑色というイメージが定着していったといわれている。


テレビスペシャル版編集

1966年12月18日にCBS系列によって初放送された。監督はドクター・スースの長年の盟友であり、ルーニー・テューンズトムとジェリーなどを手掛けたチャック・ジョーンズ。放映後、一部では原作の魅力を損なっているという意見も少なからずあったが、結果的に全国規模で大好評を博し、本国ではクリスマスシーズンになると毎年のように放送される世代を超えた人気番組となった。

ジョーンズは友人の本を可能な限り最高レベルで映像化しようという希望のもと、制作に破格の予算をつぎ込んだ。結果的にこの作品は当時のテレビアニメ史上最も高額な費用のかかったものとなった(スティーヴン・キャヴァリア著「世界アニメーション歴史事典」195頁)。


内容は原作に忠実だが、グリンチの飼い犬マックスや、原作では3ページしか出番のなかったフーの少女シンディ・ルーらの登場場面が多くなっている他、ジョーンズ特有のギャグシーンもあちこちに散りばめられている。特にグリンチが悪巧みをするシーンでの非常にユーモラスなアニメーションが特徴である。

本作ではミュージカルパートのために3曲の挿入歌が作曲されており、作詞をスースが担当した。特にグリンチの悪質さを散々に謳いあげた「You're A Mean One, Mr.Grinch」は象徴的な歌となった。歌ったのはホーンテッドマンションの「Grim Grinning Ghosts」などで知られるサール・レイブンズクロフト


グリンチの声とナレーションを担当したのは当時79歳のボリス・カーロフ

噂によるとスースは当初、子ども達が見るには怖すぎるのではないかと懸念したらしいが、それ以前からカーロフの朗読を好んで聴いていたジョーンズは彼の起用にこだわり続けていたという。参照

カーロフの気品あるナレーションはスースからも高く評価され、第10回グラミー賞で最優秀児童音楽アルバム賞を受賞した。参照


実写映画版編集


Where Are You Christmas


2000年12月16日公開。主演はジム・キャリー。ナレーションはアンソニー・ホプキンス。監督はロン・ハワード

大まかな話の流れは原作と同じだが、長編映画化に際し大胆なアレンジを施しており、主人公グリンチと犬のマックス、フーの娘シンディ・ルー以外の登場人物は映画オリジナルである。また、今作では原作にはないグリンチの少年時代が追加されていたり、クリスマスが盗まれた朝にフー達がグリンチの思惑通りに嘆き悲しんでいたりするなど、様々な意味で大幅な改変が加えられており、視聴者の間で評価が真っ二つに割れた作品でもある。

賛否が極端に別れたものの、興行的に成功した本作はその後もクリスマス映画の定番として親しまれるようになった。

グリンチの特殊メイクはリック・べイカーが担当し、その精巧さが高く評価され、アカデミー賞を受賞した。


ちなみにマックスを演じた犬は総勢6匹であり、非常に難易度の高い撮影をこなした後、それぞれスタッフらに引き取られた。参照

また、制作にあたってキャリーはドクター・スースの妻であるオードリー夫人と対面した際、彼女の前でグリンチになりきって演技をしたところ気に入られたため(曰く「グリンチそのものだった」)本作に抜擢されたという。参照

その後の2008年に、キャリーは再びドクター・スース原作のアニメ映画「ホートン/ふしぎな世界のダレダーレ」で声優として主演した。


キャスト編集

役名俳優日本語吹き替え(ソフト版/NHK版)
グリンチジム・キャリー山寺宏一/同左
シンディテイラー・モンセン大谷育江(台詞)最上梨奈(うた)/川田妙子
ルービル・アーウィン江原正士/石塚運昇
ベティモリー・シャノン小宮和枝/
マーサクリスティーン・バランスキー駒塚由衣/
市長ジェフリー・タンバー佐々木勝彦/石田太郎
ナレーションアンソニー・ホプキンス高嶋政伸/森本レオ
マックスの声フランク・ウェルカー

関連動画編集


イルミネーション版編集


Break Time


キャスト編集

役名声優吹き替え
グリンチベネディクト・カンバーバッチ大泉洋
シンディ・ルーキャメロン・シーリー横溝菜帆
ドナラシダ・ジョーンズ
ブリンクルバウムケナン・トンプソン秋山竜次
マクガークル村長アンジェラ・ランズベリー京田尚子
グルーパートトリスタン・オヘア木村皐誠
アクセルラモーン・ハミルトン斎藤龍音
オジーサム・ラヴァニーノ山崎智史
イジースカーレット・エステベス大迫莉榎
ナレーターファレル・ウィリアムス宮野真守

関連動画編集


別名・表記ゆれ編集

Grinch


関連タグ編集

ドクター・スース

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