概要
日常的な感覚では、おおむね気温10℃を下回ったあたりから「低温」と感じられるが、冒頭定義文にあるように「低温」とはあくまで相対的な表現である。たとえば「低温殺菌」とは加熱殺菌のうち100℃を超えないもの(60℃~70℃)を指し、後述の「低体温症」は体温が35℃を下回った状態を指す。
また主観的な「冷たい」「寒い」という感覚は、その人が直前にいた場所や触った物との温度差、さらには普段の生活環境・育ち・体調などにも影響される。
熱エネルギーは高い方から低い方へしか流れないので、無限に燃やし続けることは燃料を与えさえすれば可能だが、無限に冷やし続けることは困難である。また、物体の温度は絶対零度より下に行くことは無い。
主要な低温の例
- 35℃ 人間の深部体温がこの値になった場合、低体温症の初期症状と判断される。
- 20℃ 低体温症が重症化し、体温がこれ以下になると生命に危険が及ぶ
- 5℃前後 冬眠中の動物の体温
- 3~8℃前後 家庭用冷蔵庫・野菜室の設定温度
- 0~6℃前後 家庭用冷蔵庫・冷蔵室の設定温度
- 0℃ H²0(真水)の融点、すなわち氷点。1日の最低気温がこれ以下だと「冬日」、最高気温がこれ以下になると「真冬日」とされる。
- -1.8℃ 海水の結氷点
- -18℃前後 家庭用冷蔵庫・冷凍室の設定温度
- -20℃ 氷に食塩を混ぜて得られる温度
- ー30.9℃ 2010年代の日本最低気温(釧路 2019年2月9日)
- ー33.8℃ 2020年代の日本最低気温(網走・北見・紋別 2020年2月9日)
- ー35.8℃ 21世紀以降の日本最低気温(上川 2001年1月14日)
- -41℃ 日本で公式に観測された最低気温(旭川市、1902年1月25日)
- -41.2℃ 日本最低気温(非公式記録)(幌加内町、1978年)
- ー45℃ オイミャコンの1月の平均気温
- -56.6℃ 5.2気圧以上の条件下で二酸化炭素が液化
- -67.7℃ 定住地での世界最低気温記録(オイミャコン、1933年)
- -78.5℃ 二酸化炭素の昇華点(1気圧の大気中ではドライアイスは液化せず、直接気化する)
- -89.2℃ 地球上の最低気温記録(南極ボストーク基地、1983年)
- -161.6℃ メタンの沸点。土星の衛星タイタンの地表ではメタンが液化し、海・湖を形成する。
- -170℃ 月面の夜の温度
- -183℃ メタンの融点、酸素の沸点(液体酸素の記事参照)
- -196℃ 窒素の沸点(液体窒素の記事参照)
- -210℃ 窒素の融点。冥王星の地表には水の氷に加え、メタンや窒素の氷原が広がる。
- -246℃ ネオンの沸点
- -249℃ ネオンの融点
- -252.8℃ 水素の沸点(液体水素の記事参照)
- -259℃ 水素の融点
- -269℃ ヘリウムの沸点
- -270℃ ビッグバンから138億年後、すなわち現在の宇宙空間の平均温度
- -272℃ ヘリウムの融点
- -273.15℃ 絶対零度